彼の大きさ(7)
投稿者名:ANDY
投稿日時:(03/ 2/ 3)
東京タワー入り口の前に美神達は重装備で立っていた。
「いい、みんな。多分中に入ればいたるところに罠があると思うけど、慌てずに行動するのよ。そうしないと全滅っていう最悪な結果になりかねないんだからね。わかった?特に、雪乃丞とシロ」
「「なんで(俺)(拙者)は名指しなん(だ)(でござる)!!」」
「あんたら二人が猪タイプだからよ」
雪乃丞とシロの抗議の声に対し、あっさりと理由を返す美神。
周りでは他のメンバーが首を縦に動かしながら同意の意思を表していた。
「「ぬううう〜〜」」
「さて、じゃあ、行くわよ!」
美神の掛け声を合図に全員が一つの弾丸となって移動した。
目指すは地上150メートルにある展望台。
そこにいるであろう心臓へと目掛けて、今、弾は放たれた。
―仮説本部指揮用テント内―
「西条代理、結界の設置終了いたしました!」
「ご苦労。では、これより東京タワーを中心に半径一キロ圏内に一般人を入れないようにするんだ。おそらく何らかの影響がこちらに現れるはずだからな」
「は!すぐそのように」
そう返事をし、西条の部下は走って行った。
今、西条は美知恵に代わり現場の指揮を取っていた。
なぜなら、美知恵が突入班のほうに回ってしまい、指揮を取れる人間が西条しか残っていなかったからだ。
部下に指示を出しながら西条は苛ついていた。
頭の片隅に「なぜいま自分はここにいる?」という答えのない疑問があった。
いや、答えを出そうと思えばいくらでも出せる。が、その答えに納得がいかないのだ。
なぜだろう?
多分、それはつい数十分前に怒りを顔に表せた美神を見たためだろう。
その顔を見たとき、西条は不謹慎だと思いながらも見惚れてしまった。
そして、今ここにいない男に嫉妬をしてしまった自分に嫌悪感を持った。
(横島君・・・)
横島忠夫と言う男は自分にとって一体なんだったのだろうか?と、自問してみる。
そして、一つの答えを導き出す。
「一人の女をめぐり戦い、そして共に命を掛けて戦った自分が認めた数少ない弟のような男」と。
だからこそ、西条はいま自分がここにいることに納得がいかなかった。
自分も展望台へと行き、弟を傷つけたであろう相手に自分の愛剣の一撃を浴びせたいのに。自分の愛用の銃の弾を全部撃ち込みたいのに。
なぜ?なぜここにいる?
そんな思いで西条はいま、自分に化せられた仕事をこなしている。
「隊長、頼みますよ・・・」
そう西条は膨らみのなくなった左脇を抑えながら、部下へと指示を出した。
―東京タワー内エレベーター前―
「・・・何の反応もないわね。まだ気付かれてないの?」
「いえ、それはありえないわ」
美神の疑問の声を、美知恵は切り捨てた。
「私達が対策本部を出来上げると同時に辺り一体にあったはずの魔力が消滅したのよ?相手は遅かれ早かれ何らかの妨害行動が行われると予測してあるはずよ。多分、我々を油断させるために今まで行動を起こさなかったのか、それとも自分の力に絶対的な自信を持っているかのどちらかね」
「まあ、そう考えるのが妥当じゃのう。で、どうする?このままここで悩んどくか?」
「いえ」
カオスのどこか人を試すような質問に対し、美知恵はキッパリと答えた。
「悩んでてもどうにもなりません。ですので、進みます。ですが、先ほども言った様に、罠が張り巡らされている可能性もあります。強制はしません。危険でも行く人だけが来て下さい」
美智恵の言葉に反応したものは・・・一人もいなかった。
「では、行きましょう!」
美智恵の掛け声と同時に、目の前のエレベーターのドアが突如開いた。
「・・・・・」
「・・・・・」
目でドアの近くにいた者たちにボタンを押したか尋ねる。
誰も押していないと答える。
全員の身に緊張感がまとわりつく。
そして―
『あ〜あ〜。マイクのテスト中、っと。え〜、親愛なるGSの皆様方。ようこそ東京タワーへ。本日はあなた方と僕達のために貸し切り状態にしてもらいましたので、どうぞ心行くまでお楽しみを』
「だれ?!あんた!!」
『お〜っと。そういえばまだ名乗っていませんでしたねえ。ですが自己紹介のときに相手の顔が見えないと言うのはエチケット違反なので、そうですねえ〜、では、お会いするまでJとおよびください。さて、皆様方の前にエレベーターがあるはずです。それにお乗りになられてどうか展望室までお越しを。丁重におもてなしをいたしますので。では、またのちほど』
「ちょ?!待ちなさい!!」
美神が慌てて声をかけるがもう反応はなかった。
「ふう。どうやら歓迎の準備は終わっているようね。では、行きますか?」
美智恵の問いに、全員が力強く頷き、エレベーターへと乗り込んだ。
動き始めたエレベーターより見える街並みを目にしながら、美知恵は銃の確認をした。
(さて、なにが出るやら。西条君、あなたの思い、必ずぶつけてみせるわ)
美知恵は自分の教え子より預かった銃を撫でながら、エレベーターの扉をにらみつけた。
そして、扉は開かれた。
そこには・・・
今までの
コメント:
- はい。今回のお話はいかがだったでしょうか?
今回は、自称美神令子の恋人。他称ナルシスト男の西条君にスポットを当ててみました。
彼は原作でも一番に横島君を敵視していました。
が、そんな存在だった人でも一年も会わなければ何か感じ方も変わるのでは?と思い、この話にへとなりました。
それにしても・・・かっこよすぎか?(笑)
う〜む。どう皆さんは受け止めてくれるか楽しみです。
さて、ついにファーストコンタクトを取りました。能面悪魔の一人と。
でもまだ偽名の段階ですが(笑)
さて、ついに次回は「能面ズ」の名前が判明し、バトル、バトル、バトルの展開になります!!・・・なるはず。・・なったらいいなあ〜。
さて、次回もお楽しみに! (ANDY)
- う〜ん、一年も行方不明状態になった恋敵(?)である横島クンを、多少は認めるようなことはあっても西条のことですからまず「弟」と認識するようなことはまず無いと思いましたので中立です。非常時であるにも関わらず令子に見惚れてしまうあたりは西条「らしい」と思いました(爆)。シロと雪之丞にもツッコミを入れたところで、満を持してタワー内へと侵入した令子たちでしたが、意外にも敵の方は余裕の構えですね。次回はバトルが中心の展開となるそうで、楽しみにしております♪ (kitchensink)
- ↑こんなカンジですか?
そして、一つの答えを導き出す。
―彼は…間違いなく敵だ!―と…
だとすれば、あの魔族には礼の一つも言わねばならないはずだが、なぜか納得がいかない。
横島忠夫。彼はただの敵ではない。一緒に命を掛けて戦った事もあれば、一緒に苦しんだ事も喜びを感じた事だってあったのだ。
苦楽を共にした、一人の女を巡っての宿敵。それは…
―概ね友人、のようなものだ―
(MAGIふぁ)
- 友人のようなもの、という事は…不本意ながら友人と同じ事なのだろう。
だから納得がいかなかった。
その友を傷付けた相手がすぐそこにいるのに、自分はここで何をしているのだ。
西条は悔やんだ。
「ああっ…こんな事なら指揮を任せられるくらいに部下を育てとくんだったっ…」
持てる者の義務、とばかりに指揮に、最前線にと部下に任せず常に全力で仕事に当たってきた自分を後悔した。
「隊長、頼みますよ……」
そう呟き、西条は膨らみのなくなった左脇を抑えながら、部下へと指示を出した。
私はここで西条をギャグに使ったらシリアス壊れちゃうと思うんで、賛成です。 (MAGIふぁ)
- 西条が横島君の事を弟だと思っていることに、何か微笑ましく思ったんですが・・・。
無手の恋敵に剣を向けたり銃を発砲したりするのって決闘なんか、おいっ!?と、思わず西条に小一時間ほど問い詰めたい気持ちでいっぱいになりました。
でも、賛成。何かかっこいいから。 (veld)
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