ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―15前半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 2/ 2)

「美神の案ってなんなの?」

タマモは、まだ目に涙を溜めていた。涙声のまま横島に問い掛ける。
それを受け、横島は今回の核心である所を説明しだした。

「俺の子供にルシオラを転生させられないか?って話なんだ。」
「先生の子供に・・・・・・で、ござるか?」

シロが首をかしげていた。

「その前に、ちょっと違う話をするな?」

横島はそれに答える前に、また一つ違う話を持ち出す。

「魂は肉体に影響を及ぼす。これは割と広く知られてる事なんだ。で、実は俺の身体にはルシオラの魂の影響が出てるんだわ。」
「えっ!?」
「それって・・・」

この発言には、シロとタマモ以外のメンバーも驚きの声を上げた。そんな話を横島から聞いた事が無かったから。
ただ、小竜姫やワルキューレはそれほど驚いた様子ではない。

「やっぱり・・・・・・ありえない話では無いと思っていました。」
「むしろ、当然だとも言えるな。」
「なのねー」

横島の話を聞き、逆に納得した表情を見せる小竜姫達。

「それって、アタシ達の魂と共鳴してる事と関係有るのかい?」
「ヨコチマ、なんか変わったんでしゅか?」

ベスパとパピリオも思った事を口にする。

「貴女達の魂と共鳴するのは、ルシオラさんの魂が取り込まれているという理由だけです。身体に影響を与えている事とは直接的な関係は有りません。」
「問題はその、魂が取り込まれたという部分だ。横島が言ったが、肉体は魂の影響を色濃く受ける。」
「だから、ルシオラの魂を取り込んじゃった事で、横島さんの身体になんらかの影響が出るって可能性は、前から予想していたのねー。」

小竜姫、ワルキューレ、ヒャクメが全員に向かって答えた。

「ちょっ!?アンタ達そんな事一度もっ・・・」
「影響ってどんな!?横島さんは大丈夫なんですかっ!?」

そんな事は初耳だった美神とおキヌが3人に食って掛かる。小竜姫がまあまあと手で抑えながらこう言った。

「あくまで、その可能性も考えられるという事だったんです。少なくともあの時点では少し様子を見てみようという事で・・・」
「ただ、そんなに変化が有った様には見えんぞ・・・・・・どうなんだ横島?」

ワルキューレが横島に尋ねる。

「ああ。影響が有ったって言っても、そんなたいしたモノじゃ無いんだ。基本的には前と変わってない。」

―― ホッ ――

横島の説明で、事務所の面子は安堵の表情を浮かべた。だが、次に横島の口から出された言葉は割と衝撃を与える事となる。

「簡単に言うと、ほんの少しだけ魔族化してるんだよ俺の身体。」

―― えっ!? ――

一同は固まった。

「よ、横島さんっ?!そそ、それって全然大した事なくないですーーーーっ!!」
「アンタ、何笑ってんのよっ!?魔族化よっ!?人間じゃ無くなってんのよっ?!」

おキヌと美神が横島に向かって叫ぶ。

「美神さんもおキヌちゃんも落ち着いて下さいって!だからさっき、ちょっとだけって言ったでしょ!?特に深刻な影響が出てる訳じゃ無いんですよ!俺はほぼ100パーセント人間ですっ!!」

そんな2人の剣幕に、横島は慌てて言い返した。

「本当にっ!?」
「大丈夫なんですねっ?!」

それでも2人は横島を睨みつける。

「本当ですって!ほんの少し、霊力値が上昇したんです。あと、本当に鋭い霊能者じゃなきゃ気づかない程度の、極々少量の魔族の気を発するようになったんです。その程度っすよ。」
「少しってどれくらい?!」
「え、えっと・・・・・・約110マイトっす。」

美神は少し考える。
確か前の横島の霊力は、煩悩を全開にした状態で90〜95マイト程・・・・・・だった。
自分が95〜100マイトだから、ちょうど自分と同じくらいである。
ただあの最終決戦で同期した時、キャラクターをオーバーフローさせた。という事はあの瞬間だけは自分の霊力を超えていた訳だから、その辺を考えれば・・・・・・
・・・・・・確かに少しだ。

「もう一度聞くわ。本当ね?」
「はい。本当です。」

美神はもう一度念を押して聞く。横島はキッパリとそれに答えた。

「そう・・・・・・・・・いいわ。じゃあ説明を続けて。」

本当は気になったが、横島がきちんとした返事を返してきたので、美神はそれを信じる事にする。
だが、表情が優れない者も居た。小竜姫達である。

―― 今はその程度なんでしょうが、もしかしたら今後・・・ ――

それもやはり可能性に過ぎない。だから彼女はそれを口にしなかった。
ワルキューレとヒャクメにも視線で釘を刺しておく。

「じゃあ、続けますね。何だっけ?・・・・・・そうそう、魂が身体に影響を与えるって話な。それを踏まえて次に、遺伝の話に移るんだ。魂は遺伝しないけど、身体情報は子供に遺伝するだろ?で、俺の身体はルシオラの魂の影響を受けている訳だから、俺の子供の身体っていうのは間接的にルシオラの魂の影響を受ける事になる。」
「・・・・・・・・・・・・」
「?・・・むむむ?」

タマモは興味深そうに横島の話に聞き入っている。
シロは既に理解が追いついていなかった。

「そして最後、さっき魂が肉体に影響を与えるって話をしたけど、逆も有るんだ。肉体が魂に影響を与える。結局、魂と肉体ってのは密接に関係しあっているって事だな。だから俺の子供だったらルシオラの魂を・・・」
「それっておかしくない?」

横島の説明を。タマモが遮る。

「話はなんとなく分かって来たけど、それって変よ?ルシオラって人は今、転生出来ないんでしょ?だったら横島の子供って別人じゃない。もしかしたら姿形はそっくりになるかもしれないし、上手くすれば記憶を受け継ぐ事だって有るかもしれないけど、魂が違う以上は最終的には別人だわ!」
「ん〜?むむむ・・・・・・」

シロは、タマモが理解して疑問をぶつけている事が悔しかったが、それでもうめく事しか出来なかった。
横島はタマモの質問に答える。

「タマモの言ってる事は正解。俺が普通に子供を産んだんじゃ確かにそうなる。結局、あの時美神さんが考えてくれた話じゃあ駄目だったんだな。」
「で、でも?さっきせんせいは、美神殿の考えた案を実行したと・・・・・・」

ようやく自分にも質問できそうな事が出来たので、シロは早速横島に聞いてみた。

「ん・・・そのままじゃあ駄目だから、少し手を加えてあるんだ。」
「それって何?」

今度は美神が聞いてくる。

「あの時集めた、ルシオラの魂の欠片が有りましたよね?魂が降りてくる前の俺の子供にアレを宿らせたんです。」
「それは無理なんじゃないかしら?」

今度は美智恵からそんな台詞が出て来た。

「アレは結局1人の人間になるには足りなかった・・・・・・転生なんて出来ないわよ?」
「はい。あるモノで補いました。」

横島が答える。

「だからそれも無理でしょう?他の魂が入ったらルシオラでは無くなってしまうわよ?いったい何で補ったって言うの?」
「俺の魂を少しだけ取り出して使ったんです。」

―― ?! ――

「そんな、横島さんっ?!だって、あの時土偶羅さんが言ってたじゃないですか?人間の魂は簡単に千切ったりくっ付けたり出来ないって?」

横島の言った台詞に全員が驚き、おキヌがあの時の事を思い出して横島を問い詰めた。

「その後に、そんな事をしたら魂の原型をとどめる事が出来ないっても言ってたろ?俺の中からルシオラの魂だけを取り出す事は出来ない。それは本当だ。でもね、ルシオラの魂と混ざり合った俺の魂を千切って取り出す事なら可能なんだよ。それをルシオラの魂の欠片にくっ付ける事もね。」
「馬鹿なっ!それじゃあやっぱり生まれてくるのは別人だぞっ!?」

ワルキューレが怒鳴る。

「実は・・・・・・・・・・・・そうなんだ。」

横島はワルキューレの言った事をすんなりと認めてしまった。認めてから続けてこう言う。

「元から有るルシオラの魂の欠片。ルシオラの魂が混ざっている俺の魂の一部分。ルシオラの魂の影響を受けている身体。これだけ揃えても完全なルシオラを復活させる事は出来ない・・・・・・」

そこで、横島の表情が目に見えて曇った。一瞬では有ったが。

「でもさ、それって俺もなんだよね。」
「なに?」

横島の言葉にワルキューレが怪訝な顔をする。


<後半に続く>

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