ザ・グレート・展開予測ショー

ハンター


投稿者名:運値
投稿日時:(03/ 2/ 2)

今、君の目の前に白い布切れが落ちていたと仮定しよう。
その布切れが、君が好意を寄せている者達の布切れだった場合、どういう反応を示す?

こっそり持ち出して保存する?

とりあえず、無視して放っておく?

それとも、手にとって匂いを思いっきり嗅ぐ?

勿論、懸命なる諸君は紳士然とした顔をして無視を決め込むであろう。
若しくは、それが持ち主の家の中だったら落ちていた事を呼びかけても良い。

…君達は理性的なのだから。



しかし、こういった偽善とは正反対の存在。横島君ならどうするだろうか。





「ちわーす」

横島は今日も、美神の事務所へ夕食をたかりに来ていた。最低限の賃金で、しかも一人暮しで働いている為、こういった機会は何度もある。

「あ、いらっしゃーい」

おキヌも、シロも、横島に何かしらの感情を抱く者達はそれを是として肯定し何の躊躇いも無く家に招き入れる。
彼女達にとって横島の来訪はYESであり、一緒の時間を共に過ごすことは喜ばしいことでもある。

残りの2人、美神・タマモはしれっとした顔で、その実、内情は分らないが皮肉を言いながらも歓迎する。

食卓で歓談が続き、皆思い思いに時間を過ごす。
オキヌは、最近学校で流行っている話題を。
シロは横島に食後の散歩の催促を。
タマモは、最近知った美味しい油揚げを売っている店の話題を。
そして、我等が美神はやはりというかお金の話題を。

楽しい歓談の時間も終わりがくるのが常である。
その時は、美神がシャワーを浴びる時であり、横島は何時も叩き出される。

その日も、いつもの如く覗こうとして失敗…で終わるはずであった。

「痛てーーー!!!」

横島が、窓から墜落し庭に落ちる。
いつもの光景である。


しかし、今日は落ちた所に横島の目は白い物体を発見する。

風で落ちたのだろうか?恐らく洗濯を干したときに落ちたと思われるその白い布切れを横島はおもむろに掴んだ。

そして…何故かは分らないがそれをポッケットに突っ込むと周りを一通り見渡して急いで逃げ出した。

横島の行動は誰も見ていない。美神除霊事務所のメンバーは誰も。

しかし、少し離れた所のビルの一室、そこに集まっていた2人の漢達はその光景をじっと見詰めていた。

「スノウ、やはり奴は引っ掛かったな」
「ああ、スター。奴は前々から素養があるとにらんでたんだぜ」
「そうか…」

スターと呼ばれた男―長身で長い髪を持つ―は、渋々ながらもその光景を見つめる。
思えば、自分もスノウの策略でこっちの世界に足を踏み入れてしまった。しかし、今考えれば、そのことは後悔していない。自分の抑圧された欲望が解き放たれ視野が広がったと思う。

スノウ―背が低く、目つきの悪い漢―は、無線を取り出し誰かに向かって呼びかけた。

「タイガー、ダンピール、奴さんが網に引っ掛かった。家の監視を頼む」
「…了解。しかし、僕をその名で呼ばないでください!!!」
「いまさら何を言ってんだよ、クックック」
「………」






横島を取り巻く様々な思惑。
一体彼等は何物なのか?
その目的は?

それは次号で明かされる。

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