ザ・グレート・展開予測ショー

内緒♪の油揚げ


投稿者名:えび団子
投稿日時:(03/ 2/ 1)

こんにちは、人工幽霊一号でございます。
はてさて今回のお客様は誰でございましょう?ヒントを申し上げますと・・・とても大人しく冷静でそれでも感情的なところがあり素直になれない・・・そんな矛盾だらけで愛らしいお方です。お分かりですね?ふふふ・・・

――――ガチャッ・・・――――

おやおや、噂をすると何とやら早速お越しになったみたいです・・・えっ、すぐ終わらせろって?はいはい承知いたしました!全くせっかちなお方のようですね、では本人のご希望どうり迅速に話を進めて行きたいと思います。それでは・・・



「ん・・・う〜ん?私・・・」

その少女は目覚めるとまるで真っ黒な夜空にきらきら星を幾つも散りばめた満開の星空が見えた。――――草の匂い・・・夜風になびく雑草が顔の頬を擦ってくすぐったい♪ここは一体何処だろう?少女は大儀そうに立ち上がり周囲を見渡したが人っこ一人いない。それどころか地平線まで見える程、周りには何も存在しなかったのである。

「え・・・ここ何処なのよっ!?」

いきなりの事態に頭が混乱する、それもそうだ確かに自分は昨夜美神除霊事務所の屋根裏部屋のベットで眠りについた筈だったのだから・・・。

「一体・・・何がどうなってるのよ・・・!」

―――――訳わかんない・・・

夜風が体に纏わりつくかのように吹きつける。正直寒かった。

いつもはどんな状況下でも頭をフル回転させる彼女が今はそうもいかないらしい・・・思考が全然働かない。不安が暫時押し寄せてくる、そんな自分を認めたくないのか頬をつねってみる。―――痛い―――

「ゆ・・・夢じゃない?」

もう一度つねってみる。―――痛い―――

「じゃあ、ここは何処なの・・・」

一度は、はね返した「不安」が又も押し寄せてくる。今までだって一人で何とかしてきた・・・そしてこれからも!なのにこの気持ちは何!?一人が怖い。傍に誰でもいいから居て欲しい・・・。

―――――!!!?

「あれ・・・何で?」

瞳が潤んできた、堪えきれそうにない。

―――――ポロッ・・・ポロポロッ・・・ポロポロポロポロ・・・ポロリ・・・

最初は小粒だった涙が大粒に変わるのは時間はいらなかった。

「え・・・止まらっ――――――」

いつのまにか大泣きになっていた。その瞳は真っ赤に腫れていて声も鼻声に近い。
端から見ればどんなに不憫に見えただろうか・・・。

「うっ、ひっく・・ひっく・・・うえぇ〜・・・」

時は2,3分だった、ずっと泣き続けて涙が枯れるほど泣いた。








「・・・・・・・・・」

彼女はもう泣いていない―――すっきりした顔つきになっていたが目はウサギの目になっており涙の後がはっきりと分かった。

「久しぶりに泣いたな・・・」

そして一言ぼやくと満開の夜空を見上げていた。もう不安はない!

――――!!!?

心境が変わったせいか見えなかった物が見えてくる・・・周りにはにぎやかな街通り。人がざわめいている、声が聞こえる・・・姿が見える・・・温かさがひしひしと伝わって来る・・・。「いいな、こう言うのって――」彼女の第一印象はまあ、こんな具合。

「あ、あそこ!?」

視界に入ったのは一軒のうどん屋さん。古びていて営業しているかは分からないがのれんは一応垂れているので開店しているだろう。彼女は吸い寄せられるような足取りでそのお店に入って行った。

「らっしゃ〜いィーーー!!」

活気よく挨拶したのはこの店の主のような中年男性。顔は角ばっていてひげ面だ。いかにも山男な風格であった。無言でカウンターに座るがメニューがない。

「すいません。あの・・・」

言いかけた所で店主がいきなり

「家には油揚げしか置いてませんから・・・」

「は?」

ここはうどん屋ではなかろうか、何故に油揚げのみ・・・?理解不能なタマモにさらにもう一言。

「ここらは全部そうですよ・・・!」

「ええっ・・・!???」

外に慌てて出てみると確かにうどん屋とは書かれていない。それは何処の店でも同じでのれんの隅っこに「タマモ様限定」などと書かれていた。

「マジで・・・(汗)」

何と言う事だ!こんなことがあってたまるか!!そう思いながらもこの状況を満喫するタマモ。

「じゃあ、油揚げください。」

「はいよっ!」

目の前には一人では食べ切れそうにもない油揚げが。しかも上等の・・・
一人で食べるにはもったいない、みんなにもおすそ分け、おすそ分け♪
上機嫌のタマモ・・・こんな姿は二度と見られないだろう。そして・・・

――――はっ!!――――

又目の覚めたタマモ・・・

「あ、あれ?油揚げは・・・何処に!?」

いつものベットである。時間はまだ六時・・・

「夢・・・?って痛っ――――」

シロの寝相の悪さは半端じゃなく、タマモの顔に足が伸びていた。
彼女は「ったく!このバカ犬・・・」と言いながら払い退ける。
行動は荒々しかったが普段にない気分だった。うっとーしく思わなかった。いや、むしろ・・・心地よかった。その後彼女は夢のことを質問してきた。私は彼女の深層意識にある孤独がそんな夢を見せたのだ、と言った――――
あんまり信じてもらえなかったかもしれませんが最後に彼女はこう・・・

「このこと皆に・・・特にシロには内緒にしといてね!」

―――――内緒だからねっ!!

「はい、内緒ですね―――――」

朝の光が部屋中に差し込んできた、わあ―――眩しい♪
その日の彼女は妙に明るかった・・・♪






人工幽霊一号・・・お前って役得だな〜〜〜〜

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