ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(33)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 1/31)

 プルルルル……
 夜の8時、俺の家の電話がなる。
「はい!横島です」
「おう!忠夫か!俺だ!」
 電話先から聞き覚えのない男の声が聞こえた。
「俺だと言われましても……誰ですか?悪戯電話なら警察呼びますよ!」
「お前!親の声を忘れたか!!俺だ、父さんだ!」
 ……おお!横島の記憶の端に残っていたような……そうでないような……
「なんだ、親父か。いつもは、母さんが電話してたから分からなかったよ……」
 本当に、親父が電話に出たこと一回も無かったような気がするよ。
「まあいい、ところで忠夫!明日、俺は日本に来るから成田空港に迎えに来い!」
「明日!?」
 おいおい、なんで直前に電話する……普通は1週間前とか……
「そう明日だ、10時30分にそっちに着くから来いよ!ちなみに迎えに来なかったら、仕送り無しだぞ!じゃあな!」
「お、おい、親父!!」 
 ガチャ!と音を立てて電話が切れた。
「まったく、明日はバイトなのに……仕方ない、冥子ちゃんに電話して明日バイトを休むように言しかないか……」
 それにしても、横島の父か……何やらまた厄介ごとが起こりそうだな……



 次の日、成田空港。
『ただ今8番ゲートに到着の便は、ナルニア航空211便……』
 やっと来たか、30分も早く空港に来てしまったから暇だったよ。
『危険ですのでどちら様も白線の内側にお下がりください。なお、かけこみ搭乗は危険ですのでおやめください』
 いねーよそんな奴……それに電車だろ、それは……
「忠夫!!忠夫じゃないか!?」
 俺がツッコミを入れていたら後ろから親父の声が聞こえた。
「親父、ちゃんと迎えに来たぞ……って……だああ!!」
 ガクっと俺はこける。
「よー!!元気そーじゃないか!!」 
 そう、親父は美人のスチュワーデスを両腕にはべらしていた。
「お…親父……それは…?」
「わはははは!!途中で口説いたスチュワーデスさんだ!いいだろうっ!!うひゃひゃひゃひゃっ!!」
 そーだ……こんな親父だったんだよな……
「じゃ、これ電話番号よ♪」
「必ず電話するよ……!」
 親父は電話番号の書かれた紙を受け取り髪にキスをする。
 そして、スチュワーデス達は去っていった。
「何している忠夫!荷物持って来い!」
「あ、あんたって奴は……」
 俺は呆れ果てていた。
「どーだ忠夫!!俺もまだおとろえちゃおらんだろーが!?だがまー心配いらん!今夜はデートより親子の会話を優先させてやるからな!メシぐらい食わせてやろう!!」
 帰ってくるなりこれか……後で母さんに言ってやろう。
「……はあ〜、2年ぶりだってのにぜんぜん変わらないな親父は……!!」
「そうか……?おまえは随分変わったぞ、忠夫。たった2年ですっかり一人前の顔になったよ。まだまだ若いつもりだったが、こんな大きな息子がいたんじゃそう思ってもいられんな」
 まあ、俺は横島やあんたみたいに野獣じゃないからな……
「何老けこんだことを……俺だって大して変わってねーよ!」
「そうなのか?」
「そうだよ!」
 俺が頷くと……
「じゃ、あいかわらず女にモテねーのか!!しょーがねーなおまえはっ!!俺の子じゃねーなおめーわよ!ひゃひゃひゃ!!」
 絶対に母さんに浮気のこと言ってやろう、しかも2倍ほど多く……
 俺は、そう心に決めた。
 
 
 
 その後、親父とタクシーに乗り、親父の会社にたどり着いた。
「先に用をすませとくからな。そこのラウンジでしばらく待ってろ!」
「メシは美味いもの食わせろよ!」
 俺が親父と話していると、向こうに見知った人達を発見した。
「あれ〜〜?横島くん〜〜?」
「あ!冥子ちゃん!それにおキヌちゃんまで……何でココに?」
「今日は〜〜このビルでこれから仕事なの〜〜横島くんは〜〜?」
 そういえば、この会社は3日前に除霊を頼まれた所だったな……
「ここは親父の会社で……」
「まあ〜〜、それじゃ〜〜その人がお父さま〜〜?」
「ほー……!」
 げっ!親父が冥子ちゃんを見て目つきが変わった。
 ミシミシ!!ゴバァ!!!
 その時、いきなり天井が崩れて悪霊が冥子ちゃん目掛けて襲ってきた!
「出たなゴーストスイーパー!!GSは誰だろうが殺す!!」
「危ない!!」
 俺は冥子ちゃんを抱えようとするが、その前に親父が冥子ちゃんを抱えて避ける。仕方ないので行動を切り替えて悪霊の方に向かい霊波刀で縦に切り裂く。
「ぐぎゃあああああ!!」
「アンチラちゃん!あの悪い霊を切り裂いて〜〜!!」
 冥子ちゃんの声と共に、影からアンチラが現れ、悪霊を完全にバラバラに切り裂いてしまう。
「そ、そんな……おのれ、GSめええええ!!がああああああっ!!!!」
 バシュウウゥゥゥゥ!!
 悪霊は消滅した。
「ケガはないか……!?」
「ええ〜〜、おかげで助かりましたわ〜〜。ありがとうございます〜〜お父さま〜〜」
 冥子ちゃんが親父の腕から降りて礼を言う。
「……大樹です」
「えっ?」
「横島大樹です!あなたが息子がお世話になってる冥子さんでしたか……!こんな可愛らしいお嬢さんだとは思ってもみなかった」
 やっぱり始めたか……
「まあ〜〜、可愛いだなんて〜〜照れますわ〜〜!」
「どうでしょうか、忠夫の事とか、いろいろ話したいので明日の夜に食事でも!」
「ええ〜!構いませんわ〜〜」
 ほう〜、人の上司に手を出そうとは……これは報告を3倍にするべきだな……
 俺は親父を睨んでそう思っていた。



 夜、横島の家。
「親父、人の上司に手を出さないでくれよ!」
 俺は家に帰って、すぐにさっきのことを言う。
「別に構わないじゃないか俺の勝手だろう……それにしてもおまえ、モテる父さんに嫉妬するのはわかるが、冥子さんに声をかけた時の態度は尋常じゃなかったな。おまえ、ナニか、彼女とデキてるのか?」
「い、いや、そ……そーゆーワケでは……」
 親父が冥子ちゃんを傷物にしたら、俺が六道さんに殺されそうだからな……それ以前に、式神が暴れる可能性も……いや、絶対暴れるな……
「なら、父さんが彼女と食事しよーが酒飲もーが不倫しよーが、ぜんぜんかまわんじゃないか!」
「かまうわい!!」
 文珠「録音」を発動して、俺は親父のその言葉を録音しておいた。
 フフフッ!これでオシオキは確実だな(笑)
「もー寝るぞ!明日はデート前に片付けにゃならん仕事が山のよーにあるんだ」
「……仕事!」
 そうだ、ついでに仕事場での昔の浮気状況も確認しとくかな。



 次の日、村枝商事一階。
「ごくろーさま」
「はい、ごくろーさんです!」
 俺は向こうから歩いてきた、親父に声を変えて挨拶する。
 ふう……どうやらバレてないようだな。
 俺は親父が向こうに行ったのを見計らって、頭の布を取り親父の後をつける。
 しばらくすると……
「!横島部長……!!」
 親父の前にいた一人の女性が、驚いて持ってた書類を落としてしまう。
「おお、久しぶりだね美奈子君!」
 まずは一人か……
 俺はビデオカメラで親父達を撮影する。
「いつ日本へお戻りに……」
「昨日だよ。報告のための一時帰国だがね」
「こ…今夜、あの……」
「君とはもう終わったんだよ。私のことは忘れてくれたまえ」
「部長……」
 女性はその場にうずくまって泣いた。
 俺はその横をすり抜けて、親父の後を追う。
「何!?横島だと!?追い返せ!私はおらんと言え!!そーでなくても血圧が……!!」
 またしばらく歩くと、今度は先にある部屋から大きな声が聞こえてきた。
 親父はその部屋にすぐに入る。
「やあ、専務!!」
「わああ!」
 今度は悲鳴が聞こえた、俺はドアから中の様子を見る。
 そこには、親父とバーコード頭の男とメガネをかけた男がいた。
 あのバーコード頭が専務でメガネの人がクロサキさんか……でもクロサキさんって、確かアニメ『パトレ○バー』で見かけたような……気のせい?
「そう邪険にするこたーないでしょう専務!はるばるナルニアから報告書を持ってきた元部下に、それはないです」
 ここでニコニコしていた親父の顔が変わり、専務を睨む。
「もっともあんたの汚い工作がなきゃー、立場が逆になってたでしょーがね……!!」
「なっ…何の証拠があって……!!」
 いや、証拠も何も、顔に出てるぞ……
 バサバサッ!バキャアアアア!!
「はああ〜〜っ!?ぱべぽあ〜っ!!」 
 その時、親父は専務に書類を投げつけ、専務の顔をぶん殴る。
「ナルニアで私がてがけたレアメタル鉱山の決算報告です。これだけの利益を出せば私は2年後確実に元の部署に戻れる。アテがはずれてお気の毒ですな!」
「お…おのれ横島ああっ!!認めんっ!!私は認めんぞおおっ!!貴様のような奴に勝手なマネをさせておけるかああ〜!!」
 もしかして、この人って親父がモテるのに嫉妬していたんじゃ……
 専務は近くにあったゴルフのアイアンを親父目掛けて振り下ろそうとする。
「な…っ!?」 
 だが横にいたクロサキさんがアイアンを止める。
「2年後の帰国、お待ちしております。横島支社長!」 
 クロサキさんは出口に向かおうとする親父に向かって言う。
 あんた……絶対『パトレ○バー』に出てたクロサキさんだろう……
「ありがとうクロサキ君…!」
 おっと、こっちに来そうだから隠れないと。
「では専務!いずれその部屋は私の物になるんですからあまり汚さないでくださいよ!」
「畜生〜っ!ナルニアなどでなく月の裏側にでもとばしとくべきだったああ〜〜っ!!」
 いや、月にとばしても月神族の人達をナンパして戻ってきそうだな……
 俺は親父の後ろ姿を見てそう思った。
 その後、親父は10人近くの女性に声をかけられた。
 もちろん、チェックしておきましたよ♪

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