生命の火
投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(03/ 1/31)
冷たい朝の光が、一人で眠る俺に投げかけられる。
もう慣れたはずなのに、窓を開け俺は叫んだ。
窓をたたく風に震えてお前を思い出してみた。
幸せだったか? 手に残る温かみに――
微かに呟いて、強く手を握り締めた。
初めてお前と出逢った時、俺は――
海の向こうの空を胡乱げに眺めてた。
お前が教えてくれたあの景色は、
海に溶けてしまいそうな小さな生命の火。
あの頃は俺は、お前という者永久だと思ってた。
二人で過ごした時間は、離れた瞬間それを裏切った。
時の行く末に確実はない。それは……解かっていた。だけど――
幸せだったか? あの時の時間に――
埋もれて俺達は、日常の中で微笑っていた。
時々俺は泣くことがある。『お前のために』
そんな事は絶対、言えないけれど。
あの時俺達が過ごした時間の証しは、
街に沈んでしまいそうな真っ赤な生命の火。
炎の塔の上で、少し卑屈になった俺に――
お前はそっと口づけた。
幸せだったか? 最期の口づけに、
お前は、微笑んだ。強く強く俺に向けて――
そして俺は、勝った。そして俺は、負けた。
紅い光の中に、お前は沈んでいった。
自分に歯噛みし、無力さに慟哭し――
だけど俺は微笑んだ……生命の火の中で。
今までの
コメント:
- 多分、知っている方も多いと思います。イメージをそのままお借りして、某有名曲にあわせて読んでみてください。原曲の詩も、あのときの彼のイメージそのままなんですよね…… (ロックンロール)
- 有名曲...ス○ィーヴィー・ワ○ダーですか?(ちが) 夕日の赤、そして東京タワーの赤を火や炎に見立て、そしてその中に生命・生そのものを見出す表現法に感嘆しました(平伏)。横島クンが悲しみにくれるだけで終わらずに、最後には自分に生があることにある程度の幸せを感じている点が良いですね。非常にキレイな作品だったと思います。投稿お疲れ様です♪ (kitchensink)
- et○tr○al f○ameですか?(○、要りませんかね、これ。)違うかもしれませんが。
最後の行の『微笑んだ』、本来なら違和感があるはずなんでしょうけど、それがすごく合っていました。違和感があってるってのも変な話なんですけど、何か妙にしっくり来るというか、良いなぁ、と思えるというか。
綺麗な話でした。kitchensnikさんとかぶっちゃいますけど、本当に。 (veld)
- もう、駄目駄目ですね・・・俺。本当にすいませんです。 (veld)
- きれいな文章でとっても、胸に染みこみました。
『生命の火』の比喩と使うタイミング・・・すごくいいです!!
みなさんのようにうまくコメントできなくてすみません。
これからもがんばってください♪ (Hittar)
- ども、皆様、コメント感謝でございます。正解は極楽でもネタに使われていた尾崎豊さんの『Forget-me-not』でございます。シチュエーションに合った曲なので、一度聴いてみるのもいいかも。
でわ、コメント返しに行きましょう。
キッチンさん江
原曲が思い出を『わすれな草』と表現していましたので、それを踏まえて『思い出』『想いそのもの』を『生命の火』と表現してみましたが、そう言ってもらえると嬉しいです。ありがとうございます。 (ロックンロール)
- ……って自分で賛成票いれてどうするぅぅ……っ!?
veldさん江
音楽に合わせるという必要から、今回はいつも以上に四苦八苦しました。最後の『微笑み』も、もう少し文を入れるスペースがあれば解りやすくなったのかも知れませんが……
Hittarさん江
使うタイミングそのものは、原曲そのままのタイミングなので私のオリジナルではありません(笑)。某所の連載、楽しみにしていますので頑張ってください。
本気で申し訳ないのです……これ(賛成票)、どうしよう。 (ロック@間抜け)
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