ザ・グレート・展開予測ショー

生命の火


投稿者名:ロックンロール
投稿日時:(03/ 1/31)

冷たい朝の光が、一人で眠る俺に投げかけられる。
もう慣れたはずなのに、窓を開け俺は叫んだ。
窓をたたく風に震えてお前を思い出してみた。


幸せだったか? 手に残る温かみに――
微かに呟いて、強く手を握り締めた。


初めてお前と出逢った時、俺は――
海の向こうの空を胡乱げに眺めてた。
お前が教えてくれたあの景色は、
海に溶けてしまいそうな小さな生命の火。





















あの頃は俺は、お前という者永久だと思ってた。
二人で過ごした時間は、離れた瞬間それを裏切った。
時の行く末に確実はない。それは……解かっていた。だけど――


幸せだったか? あの時の時間に――
埋もれて俺達は、日常の中で微笑っていた。


時々俺は泣くことがある。『お前のために』
そんな事は絶対、言えないけれど。
あの時俺達が過ごした時間の証しは、
街に沈んでしまいそうな真っ赤な生命の火。































炎の塔の上で、少し卑屈になった俺に――
お前はそっと口づけた。







幸せだったか? 最期の口づけに、
お前は、微笑んだ。強く強く俺に向けて――







そして俺は、勝った。そして俺は、負けた。
紅い光の中に、お前は沈んでいった。
自分に歯噛みし、無力さに慟哭し――































だけど俺は微笑んだ……生命の火の中で。

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