ザ・グレート・展開予測ショー

プリティ・ウーマン!!(後編)


投稿者名:ライス
投稿日時:(03/ 1/31)





 で、その除霊の帰り………、二人は美神(と言っても運転してるのは美智恵だが)のコブラに乗り、帰路に着く。横島は何故か助手席で放心状態になっている。すると美智恵が横島に声をかけた。

「どうしたの、横島クン?ボーっとしちゃって。」

「い、いやその、まださっきのことが信じられなくて……。」

 
それは一時間前……。

「それじゃあ、横島クン。一人で除霊してもらおうかしら?」
 現場での美神(美智恵)の第一声。

「………幻聴……かな?今、一人でやって来いって聞こえたような……」

「そう言ったのよ!!」

「…………イヤじゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

「大丈夫よ、私がサポートしてあげるから。」
「え、マジッスか?………でも後でなにかあるんじゃ……、」
「ないわよ、そんなの……。」
「イ〜ヤ!そんなこと言って、絶対アトでこき使うつもりなんだぁ〜……!?」

「(……アイツ、一体…。…後で叱っておこ。)そんなこと言わずに………ね?」
 そういうと、美神(美智恵)は横島の腕を抱きしめる。すると腕には胸の当たる柔らかい感触が………!!
「!!……、やります、やらさせていただきます!!」
 横島は肩に残る胸の柔らかな感触を感じながら歓喜し、涙を流しながら言った。


 で……、
「今よ、横島クン!!」
「ハ、ハイ!!」

 バシュ〜ン………!

「ア、アレ?」
 美神(美智恵)の指示で自分でも驚くぐらいアッサリと文珠で襲いかかってきた悪霊を倒してしまった横島。そして再び場面は帰りのシーンに戻って……、



「いやぁ〜、まさか俺一人で倒せるなんて信じられませんでしたよ……。」

「それだけ、横島クンが成長してるってことよ。あとは霊気の使い方を上手くすれば、もっと進歩するはずよ?」

「成長してたんですねぇ、俺…。」

「そうよ。だからこれからも頑張ってちょうだいね?」
 美神(美智恵)は女神の如く優しく微笑む。しかし横島はそれに違和感を感じ取った。

「(やっぱりおかしいよ、今日の美神さん…。妙に優しいし、普段は絶対見せないような笑顔は見せるし……、……なにか悪いモンでも食ったんかな?)」

 そうこうする内に車は事務所に近づく。さて、美神の事務所の隣のビルの一室にあるオカルトGメンの日本支部では、西条は休憩をとっていた。

「ふぅ……。」

 報告書の製作の合間の一休み。コーヒーの入った紙コップを片手に窓の外を見た。すると美神のコブラが窓の端から西条の視点に入り込んできた。

「令子ちゃんは仕事の帰りか……。」
 しかし次の瞬間、西条は唖然とした。なんと美神の隣には横島が堂々と座っているのである。
「な…………!?」

 驚きのあまり西条は窓に頬を押し当てて、コブラが事務所に着くのを食らいついて見る。コブラを停車して降りると、美神がなんと横島の腕を捕まえて抱きしめながら、一緒に歩いていくのを窓の横から西条は目撃した。

「い、一体これはどういうことなんだ!?何があったんだ、あの二人に……。僕ですら、令子ちゃんに腕を組まれたことなんかないのに………。許せん、ゆ・る・せ・ん・ぞ、横島クン!!」
 嫉妬の炎を燃え上がらせた西条は、紙コップを握りつぶすと霊剣を片手に猛ダッシュで部屋を出ていく。

 事務所に戻った二人はいつもの応接間に帰ってきた。おキヌちゃんに迎えられると、彼女は二人のためにお茶を入れに台所へと出ていった。横島は先程再び胸の感触が腕に当たったことに感激して恍惚に浸っている。美神(美智恵)はというと、椅子には座らず窓の外を見つめていた。

「(さぁ、西条クンがどう出てくるかしら?)」

 美智恵は西条があそこにいることを見越して、横島と腕を組んだのであった!!

「(いつもあの時間は西条クン、報告書を作成している時間だしいつも決まった時間に休憩するから、必ずさっきの出来事を見ているはず…。アレを見てどう出るか、楽しみだわ……!!)」

 そう思っていると、下でドアが勢いよく開く音がした。「来たわね…。」と美智恵が思っていると、その足音は階段を駆け上がり、応接間のドアの前まで来ると止まった。そしてドアノブが動いた瞬間、西条が剣を振りかざしたまま窓のガラスを蹴破り「横島クン、成敗ぃぃぃ!!」と叫びながら、それを横島に振り下ろした!!

「横島クン、往生際が悪いぞ!!」

 横島はとっさに白刃取りをしている。
「西条、テメーどっから入ってきやがるんだぁ!?ていうか、ドアの前にいたんじゃねぇのか?」

「それはただの演出だよ、横島クン!!」

 二人とも一歩も譲らない。すると西条が、
「グググ……、抜け駆けは許さんぞ、横島クン…!」

「お、男の嫉妬は醜いぞ、西条……!ギギギ………、」

「なんだとぉ〜!?」
 西条はさらに力を入れる。横島はそれに耐えきれず、思わず剣を手から離した。すると剣は床にサクッと突き刺さり……、

「ぬお!?ぬ、抜けん!!」
 押しても引いても深く突き刺さった剣は床から抜けない。焦る西条に対して横島は「しめた!!」と思い、
「西条、覚悟しやがれ!!」と言いながら、殴りかかる。が……、


 ドキュ〜ン……!!


 その音が聞こえると、何かが物凄い速さで横島の頬をかすった。頬から血を垂らしつつ、横島は恐る恐るすぐ後ろを振り向くと、壁には穴が……。そしてゆっくりと元の方向を振り向くと、そこには拳銃をかまえた西条が、横島を狙っていた。

「フフフ…、さぁ、観念したまえ、横島クン!!」

「テ、テメー、キタねぇぞ!!銃まで持ち出しやがって!!」

「フッ、僕は西洋合理主義なんでね!!」
 そういうと西条は横島めがけて、銃をこれでもかと言うほど連射した。横島はそれをいちいち悲鳴を上げながら、全て紙一重の差で避けている。

 …すると今までの西条と横島の攻防を見ていた美智恵は、
「(あぁ!!娘を巡って、横島クンと西条クンが闘ってるわ!?なんて素晴らしいのかしら?頑張って、二人とも!!)」
などと、うっとりしながら思っていた。すると、ちょうどそこにお茶とお菓子を持ってきたおキヌちゃんがやって来た。 

「!? な、なにやってるんですか!?」

 横島と西条が闘っているのを見て、開口一番、おキヌちゃんは驚きながら言う。そして美神(美智恵)の方を向いて、少し怒った顔つきで言った。
「美神さん、なんで止めないんですか!?」

「いーじゃないの、これが青春ってモンよ、好きさせてあげなさい?」

「 そう言う問題じゃないでしょ、美神さん!!早く止めないと……、」


「なによ、さっきからガタガタとうるさいわね…………。」
「えっ!?」
 おキヌちゃんが止めに入ろうとした瞬間、ドアが開き、本物の美神がパジャマ姿で現れた。それには部屋にいた全員が驚き、動きを止めた。

「え……、み、美神さんが二人いる……!?」
 おキヌちゃんが驚きを隠せないまま、美神が二人いる事に困惑している。

「(マ、マズイ……。)」
 美神に変装した美智恵がそう思っていると、本物の美神が美智恵に近づいて……、

「……なんだか私が寝込んでる間、随分と色んなコトしてくれたみたいね、ママァ!?」

「エ、エ〜ト、そ、その〜……、」美智恵は娘に迫られて、言葉に詰まっているが、他の三人はそれを聞いて、一瞬状況がつかめなかったが、すぐに我を取り戻して、


「………エ、エ、エェエェェェェェェェェェェェェェェェ〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」


と、 三人は宇宙にこだまするくらいの大きな声で驚き、画面はホワイトアウトしてゆく。



 そしてその日の夕方……。

「はぁ、そうだったんでしたか。でも隊長さんもよくやりますよねぇ、そんなこと……。」
 おキヌちゃんは美神から今日の事情を聞いて、納得している。

「ったく、ママったら、フザけるのも度が行き過ぎてるわよ!!もう二度としないでよね、こんなこと……。」
 美神は美智恵にキツク言った。変装をやめて元の姿になった美智恵はひのめを抱えてうるさそうに、
「んもぅ、そんなギャーギャー言わなくても分かってるわよ。でもね、今回はアンタが二日酔いなんかするからイケナイのよ?」

「うっ………、それを言われると耳が痛いわ……。」

「でも、隊長さん、あの格好だと美神さんそっくりでしたね…。やっぱり親子なんですねぇ〜。クスクス……。」
 おキヌちゃんは微笑みながら言った。

「やっぱり、おキヌちゃんもそう思う?でも正直、私もあそこまで似合うなんて思ってなかったのよ〜。」

「でも………、どうするんですか、これ……。」
と、言うとおキヌちゃんは座っている椅子の後ろを見て、言った。そこには某ボクシング漫画のラストシーンの主人公のように真っ白に燃え尽きた男が二人、意識を失って立っていた。

「あの胸の感触は、あの胸の感触は、あの胸の感触は………」


「僕は、僕は、僕は、先生を、先生を、先生を…………」
 二人とも、白目をむいたまま、壊れたロボットのようにブツブツと同じ言葉を繰り返している。それを見て美神は、

「自業自得よ。ママだって、気付かなかったのが悪いのよ。ダマされる方が悪いんだわ!!」

「そんな、美神さん……。」

「大丈夫よ、ホッときゃ、その内直るわよ。」
 
 しかし、二人が完全に回復したの一週間後であった………。今日も夕暮れの空にカラスが鳴くのが聞こえる………。



「(あ〜っ、楽しかったわぁ〜!!今度、あの格好で街を歩いてみようかしら?)」
 ……で、美智恵さんは結局、懲りてはいなかったとさ。チャン♪チャン♪


 おしまい。
  





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