プリティ・ウーマン!!(前編)
投稿者名:ライス
投稿日時:(03/ 1/31)
〜プリティ・ウーマン!!〜
朝の事務所……。その台所でおキヌちゃんが野菜を刻んだり、フライパンの目玉焼きをひっくり返したりと、朝食の準備に忙しくしている。そんな時、外に繋がるドアが開き、人が入って来た。子連れだ。その人は赤ん坊を抱え、階段を上り、台所へ。そしておキヌちゃんに声をかけた。
「お早う、おキヌちゃん。」
「あっ、隊長さん!お早うございます。…でもなんでこんな朝早くに?」
「今日は非番なのよ。それでたまには親子水入らずで過ごそうかな、なんて思って…」
「…でも私達、今日はお昼までお仕事が…、」
「アラ、そうなの?じゃあ、それまでココで留守番して待ってるわ。で、令子は?」
「え、えぇと……、あの、それがまだ起きて……。」
「ったく、あの子もしょうがないわねぇ……。それじゃあ、ひのめをベットに置きに行くついでに起こしきてあげるわ。」
「すみません、それじゃあお願いします。」
「ハイハイ。」
美智恵はひのめを別の部屋にある育児ベットに置き、娘の部屋へと向かった。その表情は嬉しそうだ。『フフフ…、何年振りかしら?令子を起こしに行くなんて。』そんな感慨にふけながら、部屋へ。そしてそのドアを開けた。部屋は珍しく散らかっていた。
「令子〜。起きなさ〜い、仕事あるんでしょ〜?」
「…ウウン…。アレ?ママ…、なんでいるの?」
美神はベットで寝ていたが、どうも様子が変だ。美智恵はその様子に気付き、聞き返した。
「何だ、起きてるの。私は非番よ。…どうしたの、顔赤いわよ?」
「どうも熱っぽくって…、風邪だとは思うんだけど…、」
「……原因にはコレのようね。」
部屋の周りに転がる無数の酒瓶を見、ため息をついて言う美智恵。
「まったく、だらしないわね…。」
「うぅ……。」
「まぁいいわ、とりあえず熱を測らなきゃ。」
…数分後。体温計の電子音が鳴る…。
「(ピピピ…)鳴ったわね?どれどれ…。あちゃ〜、40度もあるわよ?もぅ、下着のまんま寝るからよ!?」
「あんまり大きな声出さないでよ…。こっちは頭も痛いんだから…。」
「ったく…。今日の仕事はキャンセルしなさい。いいわね?」
「エェ!?そんなぁ〜。」
「だって、しょうがないでしょ?アンタは風邪引いてるんだから…、……………!?」
美智恵は床のあるものに気付く。脱ぎ捨てられた美神のボディコンスーツだ。彼女はそれを拾い、まじまじと見る。
「どしたの?ママ。私の服なんか持って…。」
「…イイ事思いついちゃったわ、ウフフフ……。」
何やら不敵な笑みを浮かべる美智恵。そしてさらに数分後…。
「これでヨシ………っと、どぉ令子?」
「なっ……………!?ちょっ、ママ?」
美神が何を驚いているかというと、美智恵がまとめていた髪を下ろし、ボディコンスーツを着たからだ。ちょっと端から見れば、美神にそっくりである。
「私も二児の母とはいえ、まだまだイケるわね〜。」
と、自分で感心しながら、鏡の前でポーズを取ったりしている美智恵。しかし、美神は黙っちゃいなかった。
「一体ナニ考えてるのよ、ママ!?」
「アラ、随分な言い草ね。仕事、代わりにやってあげようってのに……。大丈夫よ、バレやしないわよ。髪が少し短いのを除けば、背格好も、声も顔立ちも似てるんだから……。」
「そーゆー問題じゃないでしょう!!そんなの、絶対許さ………モガッ!?」
文句を言う美神は一瞬のうちに口をガムテープで塞がれ、布団です巻きにされて、ベッドに縄で縛り付けられる。
「アンタはここで寝てなさい、良いわね?後の事は私がちゃぁ〜んとやってあげるから。ついでにアンタの旦那候補の品定めしておこうかしら?」
「!?」
「じゃ、じっとしてなさいね?ウフフフ、あ〜、楽しみだわ〜!!」
「ン〜〜〜!!ン〜〜〜!!」
ベットの上でもがく美神を尻目に、とても楽しそうにに目を輝かせて、美智恵は部屋を出ていった……。
広間に行くと、朝食が既に用意されていて、それをたかりに横島も出勤していた。美智恵が広間に入ると二人が挨拶を交わしてきたので、なるべくバレないような声を出した。どうやら二人とも気付いてない。「バレないと思っていても結構ドキドキするものね。」と、心に思いつつ、美智恵はホッと息を付いた。朝食は食べてきていたので、おきぬちゃんには二日酔いで食べる気がしないからコーヒーが欲しいと言うと、「またですか?」と言いながら、おキヌちゃんはいつものように納得して、コーヒーをカップに注ぐ。横島はいつものことなので、そんなことも気にせずに飯にかぶりついていた。朝食を終えると、一休みがてらに今日の打ち合わせに入る。おキヌちゃんの持ってきた資料に目を通す。
「じゃ、昨日の打ち合わせの通り、今日は三人で出動ですね?」とおキヌちゃんが確認をする。すると美神(に変装している美智恵)は、その手渡された資料を丹念に目を通している……。どうやらおキヌちゃんの確認の言葉も聞いてない様子。
「……あの、美神さん?」
「ん?あぁ、ごめんなさい、おキヌちゃん。資料を見てて聞いてなかったわ。もう一度言ってくれる?
」
「んもぅ……、今日は三人で出動するんですよね?」
「……う〜ん、このくらいだったら二人で充分じゃない?私と横島くんで……。」
「えっ?」
「で、でも昨日は三人で行くって、言ってたじゃないですか。」
「昨日は昨日よ。さぁ、そうと決まったら行くわよ、横島クン?おキヌちゃんは書類の処理をお願いね?」
「あ、は、はい……。」
「じゃ、行くわよ?横島クン。」
「え、わ、わかりました!!」
二人とも腑に落ちないまま強引に話が進み、そのまま美神になりすました美智恵と横島は出動していった………。
今までの
コメント:
- ども、例によって分割投稿です。前後編ですが、後半は普通に前編最後の文から続いてますのでご注意を。では詳しいことは後編で。 (ライス)
- ここ展開予測でも珍しい美智恵ママがメインの話ですね。それにしても、美智恵さんが年甲斐も無く茶目っ気を出してますが、本当に大丈夫なのでしょうか?(笑) 「こう」と決めたらすぐさま行動に移っているあたりがいかにも美智恵ママ「らしい」感じだと思います。おキヌちゃんと言う娘のライバルを早くも脱落させた(?)美智恵さん、除霊現場ではどんな活躍を見せてくれるのでしょうか? 次に移ります♪ (kitchensink)
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