『涙』
投稿者名:NGK
投稿日時:(03/ 1/31)
数年前―――イギリス
「後・・・数年の―――命!?」
「そう―――数年よ」
白衣の女性は言った。
「そんな・・・!治す方法は無いの!?」
「無理なのよ魔鈴・・・何度検査しても・・・出る答えは一つなの・・・」
「うそよっ!!先輩が・・・!西条先輩が・・・・・・!!」
誤診であって欲しい。けれど彼女の腕は確かである。ということは―――。
「・・・先輩・・・」
はらり と涙が流れ落ちた。
・・・ややあった後、白衣の女性は、
「・・・告知したほうが彼のためになるわ」
と静かにいった。
「そのほうが命尽きるまで精一杯生きる事だって・・・」
「やめてっ!!」
魔鈴はかぶりを振った。
「そんなこと・・・想像したくないっ!!」
「でも―――事実よ。・・・気持ちはわからないでもないけど・・・」
西条が診察を受けたのはごく軽い気持ちだった。
友人数人と「なんでもないよな」といいながら―――けれど・・・!
「あなたはっ!!自分の友達でしょう?!どうしてそんなに冷静なの!?」
「・・・長年、こういう仕事に就いていれば見えてくるものもあるわ・・・本当にどうしようもないのよ」
もう―――いかなる治療も彼に効果はなさないだろう・・・いかんせよ発見が遅すぎた。
「たとえ効果が無くたって・・・無駄だって治療して・・・!お願い!!」
先輩の元気な姿を一日でも・・・。
それは自分のエゴであることはわかっている。けれど西条に真実をいえばどうなるか・・・。
「・・・わかったわ・・・できる限りのことはする・・・」
白衣の女性はそう魔鈴に―――無理に笑顔を出して言った。
―――それから数年が過ぎ―――魔鈴と西条は日本に戻っていた。
そして―――今。
あの時、西条の想像したくなかった姿が―――ここにある。
「先輩・・・ごめんなさい・・・どうしても先輩の気持ちを考えると・・・いえなかった・・・・・・」
西条は―――もう何日も食していないのか頬の骨がくっきりと浮かんでいる。
―――よほどショックだったのだろう。
震える手で―――何かを探している。
「魔鈴くん・・・・・・そういうことは・・・早く言ってくれ・・・」
「僕が―――ハゲることをっっ!!!!!」
―――あれから数年経ち西条の髪の”命”―――毛根は完全に死んでしまった。
カツラが皆がいる前でズレ落ちてしまい、ショックで寝込んでしまった西条の頭は―――輝いている。
その姿を見て魔鈴は―――流れ落ちる涙を抑えることは出来なかった。
――――――完――――――
今までの
コメント:
- 最初は魔鈴と西条の真面目な話を書くつもりだったんですけど・・・自分の場合大概こうなってしまうなぁ(笑)。 (NGK)
- 『ある不幸な物語』に続く名作がここに...と言う感じです(笑)。魔鈴は可愛く格好よくなるのですが、何故か西条は毎回ヒドイ目に遭っていますね。魔鈴としても尊敬する先輩が「ハゲ」だと言う事実はあまりにも受け入れ難いものだったのでしょう(涙)。ラストの悲哀溢れる西条の姿に賛成票1票です♪(爆) 投稿お疲れ様でした♪ (kitchensink)
- 何か来る!
何か絶対オチが有るっ!!
そう思って読んでたのに・・・・・・
笑ったーーーーーーーーーーーっ!!!(>▽<) (KAZ23)
- 必然だ! そう、このオチは必然だったのだ!!(少しズレた挨拶)
てゆーか、予想していたのに笑えました。この改行テクニック是非とも伝授して欲しいです。魔鈴の気持ちも……分かるけど、ねぇ?
ちなみに、『魔女の過去』の方は……(核爆) (ロックンロール)
- かつて黒犬様が書いたあれを思い出すなぁ‥‥。
どうも、弥三郎です。
この落ちはすごく笑いました。シリアスなのに、シリアスなのにぃ〜〜〜!!
そして天国に行く気分で地獄行き(ある意味表現悪)。
ハゲの特効薬なんてないですもんね。つるつるの西条って‥‥ (弥三郎)
- 連続3回にわたり賛成票を入れるのを忘れる私って‥‥
「射殺・します」
ちょっと待てマリアァ〜!!そんなもん乱射するんじゃ‥‥(ダダダダダ)わぁ!! (弥三郎)
- ・・・・・・・・・・・・もう唖然しました。
まぁ、西条にとっては地獄かもしれませんが・・・
なんていうか、GSらしい展開ですね。 (空の助)
- >そのほうが命尽きるまで精一杯生きる事だって・・・
毛根の命だったんですね(泣
つーか、イギリスにもアート●イチャーみたいなのあるのか・・・(遠い目)
次はヅラでも精一杯生きる西条の姿を!w (NAVA)
- 感動しました、なんて言うかシリアスです。ええ、シリアスですとも(断言)
死ぬ運命にある事を先輩に告げるべきか迷う魔鈴。そして、その彼女に告知することを冷静に告知を勧める医者・・・、彼女の苦悩が読み取れますね・・・。
>白衣の女性はそう魔鈴に―――無理に笑顔を出して言った。
多分、あの医者笑いたくなるのを必死でこらえてたんでしょうけど。
>震える手で―――何かを探している。
空を切ってますけど。
>その姿を見て魔鈴は―――流れ落ちる涙を抑えることは出来なかった。
笑ってるんじゃないか、と邪推してしまう俺はろくでなしです。
面白かったです。でも、明日は我が身、と考えてしまいました。涙。 (veld)
- 票を入れ忘れてしまいました・・・弥三郎氏。私もマリアに射殺されなければならないかもしれません・・・。けれどっ、まだ、死ぬわけにはいかないんですっ!!まだ・・・やらなければならないことがっ。というわけで一票です。
パァン
何処かで乾いた音が響いた。 (veld)
- 魔鈴「西条先輩も悪い人ねえ。日本にこんなカツラがありながらイギリスでも・・・」
西条「話はこれくらいにして食事を・・・」
横島「ほーお・・・やっぱりカツラと見ればみさかいなく?」
魔鈴「いっつも着けてるカツラが違ったんですよ♪」
西条「きっ・・・君!誤解を招くよーな発言ーーー!」(26巻抜粋)
これぐらいの会話が、楽しく交せるようになるまで開き直れ西条!立ち直れ西条!!そんな彼に悲哀を込めた一票を(笑) (矢塚)
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