ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―13―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 1/31)

「よよよよよよっ横島さんっっ!!こここここっ、ここっ!これはどーゆー事なんですかーーーーーっっ?!!」
「ここっ!この御仁はもっ、もしやっ?!せせせせっせんせいのおくっ、おくがっ!?奥がっ?!あーーーーーっっっ!!!」

横島に詰め寄るおキヌとシロの2人。涙がバーッと噴出してます。

「ちょっと、アンタっ?!!コイツに何したのよっ!!?いったいぜんたい、何処をどーやってこっ!こここここっ、こどっ!?むきょーーーーーーーーーっっ!!」
「だからって、いきなりマグロ漁船に1年だなんて許せないわっっ!!」

一方、入ってきた女性の方に詰め寄る美神とタマモの2人。こちらはムキーって感じで怒っていた。

「ああっ?!ごめんなさい、ごめんなさいっ!!理由は分かんないけど、とにかくごめんなさいーーーーーっっ!!!」
「ああああ、あの、あのっ!わたわた!わたし違っ、わたし違いますーーーーーっ!!」

それぞれ、いきなりの出来事にすっかり及び腰の横島とスーツの女性。訳も分からずに突然詰め寄られて、はっきり言って身の危険を感じていた。

「ちょっと待ちなさい、令子!彼女は・・・」
「そうです!彼女はうちのスタッフですっ!!」

美智恵とGメンの男がその暴走を止めに入る。

「えっ?」
「そう!そうですっ!わたし、ICPOの職員ですーーーっっ!!」

美神達の剣幕があまりにも凄まじかったため、どうやらオカルトGメンのメンバーだったらしい女性はすっかり震えていた。

―― ホッ ――

と、とたんに穏やかになる4人。

「ははは、な〜んだ。それならそうと早く言ってよね♪」
「本当ですよ。私もう、ビックリしちゃって・・・・・・」
「まったく、紛らわしいでござるな。だいたい赤ん坊を抱いているのがいかんのでござるよ。」
「ん?あれ?じゃあ、ヨコシマの連れってのは?」

タマモの台詞に、全員が「あ、そう言えば?」って顔になる。

「どうも、すいませんね。見て貰っちゃってて。」
「いえ、とても大人しかったですよ。」

そんなメンバーの前で、横島はGメンの女性から赤ん坊を受け取った。にこやかに挨拶を交わす二人。
それはつまり・・・・・・

「えっ?!・・・・・・・・・って事は?」
「つ、つまりその・・・」
「せんせいの連れの御仁と言うのは・・・」
「そ・・・ソレな訳?」

横島が大事そうに旨に抱えている赤ん坊に視線を合わせながら、恐る恐るといった風に言葉を搾り出す事務所の面子。

「へ〜、可愛い赤ちゃんですね♪横島さんのお子さんですか?」

そんな空気を読むようなことは微塵もせず、横島の胸の赤ん坊を覗き込みながら小竜姫が爆弾発言をした!

「あ、はい。そうです。」

しかも何気にサラっと返す横島。

「なんだとーーーーーーっっ?!!!」
「いやあーーーーーーっっっ!!!」
「せ、せんせいの子供・・・せんせいの・・・・・・」
「ヨコシマ・・・・・・じゃあ、やっぱりマグロを・・・」

再び、場が荒れ出した。

「ちょっと待て!横島の子供・・・・・・だと?それはもしかして・・・」
「あっ!?」

―― あっ!? ――

最初に気がついたのはワルキューレ。そして小竜姫・・・・・・一泊置いて、他のメンバーもそれに思い至る。

「なんでござる?」
「何?」

一部、事情を知らない為に皆の態度が分からない者もいた。

「ワルキューレ、ストップ!」

横島は、続きを言いそうになったワルキューレに少し強く言う。

「そっから先は・・・・・・」
「!・・・そうだったな。すまん、不用意だった。」

ここから先の話は、あまり軽々と大多数の人間に聞かせるべき話ではない。公な意味でも、そして横島個人にとってもだ。
ワルキューレも直ぐにそれを理解したから、素直に自分の非を認め謝罪をする。

「そうね・・・・・・貴方たちはここで。ご苦労様でした、通常業務に戻ってください。それと、本日の事は口外無用に願います・・・・・・よろしいですね?」
「はっ!そのように対処いたします。よし!我々は、ただいまを持って通常業務に戻る。それと、今回の件は決して外部には漏らすなよ!以上、撤収!」

美智恵が気を利かせて、オカルトGメン現場主任に指示を出した。それを受けてオカルトGメンの成田空港勤務メンバーは全員撤収していく。
後に残ったのは・・・
美神、おキヌ、シロ、タマモの事務所メンバーに、プラスして美智恵。
小竜姫、パピリオにヒャクメを加えた妙神山メンバー。
ワルキューレ、ベスパの魔界軍メンバー。
そして、横島とその子供だという赤ん坊・・・・・・
合計11人が今、この部屋の中にいる。

―― チャ〜ラチャラチャッ、チャ〜ラチャラチャッ、チャッチャッチャチャチャチャチャチャチャ〜ラチャチャ〜♪ ――

「あら?」

そこでちょうど良く、美智恵の携帯電話が鳴った。

―― ピッ ――

「はい、もしもし?」
『あ、先生!西条です。こちらはひとまず主要なメンバー全員への連絡が終わりました。何人か捕まらなかった人もいるんですが、伝言は入れてあります。そちらはどうでしょうか?』

電話の主は西条。どうやら「横島を困らせる為のメンバー」全員に連絡し終わったようである。

「そうですか、ごくろうさまです。こちらも順調よ。身柄の確保も成功、間違いなく本物の横島君だわ。それで今、事情聴取をしてる最中なんだけど・・・・・・そうね、それが終わったらそっちに帰るから、そちらの皆にはうちの事務所に集まって貰ってちょうだい。」
『うちの事務所でいいんですか?分かりました。ではその様に手配します。そうですね・・・・・・・・・横島君に“パーティーを楽しみに“と伝えてください。では。』

―― ピッ ――

それで、西条は電話を切った。

「西条・・・・・・久しぶりに耳にしたな〜」

横島はなんだか嫌そうな、と言うか迷惑そうなと言うか、とにかく厄介そうな顔をする。
理由は簡単。彼が絡むと大きな確率で不幸な出来事が起こるからだ。

―― 横島か西条のどちらかに! ――

稀に、両方と言う事もある。

「その西条君からの伝言よ。“パーティーを楽しみに”ですって・・・フフッ。」
「ぱ・・・ぱ〜てぃ〜・・・・・・・・・ですか?」

横島は怪訝な顔をした。

「この1年、アナタの事を心配してたのはここにいる面子だけじゃないって事。アナタに関わりのある人にはもう連絡入れてあるから、帰ったら大歓迎ね♪」
「そ・・・それは・・・・・・・・・うああ・・・」

どうやら事態を把握したらしい。一気に顔色が悪くなった。この後で自分の身に起るであろう様々な事が、横島の頭をよぎる。

「ま・・・それは、しゃ〜ね〜か。じゃあ、話を続けます。っと、少し長くなると思うんで座りましょうか?」
「そうね。じゃあ皆、適当に座ってくれる?」

横島の提案を受けて美智恵が促すと、それぞれ複雑な表情を見せながらも全員が椅子に座った。
ちなみに、横島が上座に当たる場所に座るのは当然だろう。今回は。
膝の上に赤ん坊を抱きかかえて座る姿が、妙にしっくりくる。何と言うか手馴れているという感じがした。

「さて、じゃあ話しますね。で、何から話そうか?ん〜・・・」
「とにかく全部よ!!」

最初から迷ってる横島を見て、美神が直ぐに突っ込む。

「わ、分かってますって!あ〜・・・じゃあ、そうだな・・・・・・・・・シロとタマモもいるし、そもそもの始まりから説明してこうか?」

ジッっと横島を見つめる2人を見て、横島は説明の起点を決めた。今回の失踪劇の、そもそも・・・そもそもの根源に当たる出来事を語りはじめる・・・・・・・・・

「2人とも、1年半位前に大きな戦争が有った事知ってるか?」
「1年半前でござるか?」
「私がまだ、殺生石の中で眠っていた頃の話ね。」

シロもタマモも、それは記憶に無い話だった。
その事件は、規模に反して直ぐに世間の話題から消え去ったものである。いや、むしろ大きすぎた為にと言ったほうが適切かもしれない。
世界中で行われた情報規制と、神界も絡んでいるオカルト的な情報操作。
人々は、例え記憶に有ってもそれを話題にするような事は無かった。そしてかなりの人間の記憶から、その事件の明確な記憶と言うものが失われている。

―― ちょっと大きなテロが有った ――

覚えているのはそれに毛が生えた程度の事。そうなるようにしたのだ。
だから事件の後、それは大きな話題になりもせずに風化している。
そういう事情もあり、シロもタマモもそんな話は聞いた事が無かった。
この話をきちんと覚えているのは、かなり限られた人間だけである。

「魔界にさ、アシュタロスっていう奴がいて・・・そいつが魔界も神界も人間界も巻き込んだ、大きな戦争を起こしたんだ。こんな場合普通は神界が対応するんだけど、その時は最初に神界が絡んで来れないように手を打たれちゃってさ、人間界だけで戦わなきゃいけなくなっちまったんだ。」

アシュタロスという言葉に、他のメンバーの表情が少し重いものになった。横島はそれを知りつつも、なんでもない風に話を進めていく。

「で、美神さんと隊長を中心にしてGS連中が集まってさ、ドンパチやったんだよ。」

―― 途中からは、アナタが中心だったでしょう? ――

その場にいたものは、みんな同じように思っていた。最初は確かに美神が中心だったが、いつのまには物語は横島を中心に描き出されていた・・・・・・それは間違い無い、と。

「それで、どうなったでござる?」
「まあ、もうちょっと聞いてくれって。それでな、まあ・・・・・・色々と有ったんだけど・・・」

そこまで気軽に話していた横島の表情が、ほんの少しだけ変化した事に、果たして何人が気がついたろう?

「俺はアイツに会ったんだ。」

横島の表情は、直ぐにまた何でも無いような表情に戻っていた。

「名前はルシオラ・・・」

そしてここから、少し辛い思い出の回想がはじまる。


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