ザ・グレート・展開予測ショー


投稿者名:veld
投稿日時:(03/ 1/31)


 雨あがりの空にかかる虹はとても綺麗で・・・。
 夢うつつになりながらも、縁側で日向ぼっこ。
 こんなことをしていると、完全におじいちゃんだよなぁ、何て思いつつも。
 日々の生活にはまぁ、満足している。

 133歳となった今でも、未だに現役としてやっていけるのは。
 くしくも捕まえてしまった女が俺よりも遥かに長い寿命を持つ女で。
 んで、そいつを一人にしちゃならんと頑張った結果。
 二人の間に生まれた愛の奇跡が、あまりにも可愛らしく。
 そいつらの為にも頑張らなければ、と必死でもがいていると。
 そいつらの産んでくれた孫が思いのほか可愛らしく。
 その孫のために、何か買ってあげましょうよ、と妻が言ったため。
 ある程度の依頼をこなしているうちに。
 昔の頃のがむしゃらな自分を取り戻して。
 今一度青春っ!!とばかりに。
 日々を生きている。
 んで、孫も子供を産み、その曾孫が本当にもう、目に入れても痛くない程に可愛くて。
 いつか、俺の嫁さんにしてやるといきまいた結果。
 親戚中から冷たい目で見られ。

 むせび泣いたのを・・・って、話が摩り替わってるな。
 んで、曾孫も何だかんだでおじいちゃん子になったものの。
 禁断の愛は実る事無く。
 その曾孫も子供を産み、その玄孫がもう本当に可愛くて・・・ 


 「お父さ〜ん、御飯よっ!!」
 「おうっ!!蛍子、待ってろよっ!!」










 「・・・ここの家の人達、本当に高齢者なのかしら・・・」

 「あのおじいちゃん・・・どう見ても、せいぜい四十代にしか見えないのよ・・・でも、横島のおじいちゃんって、私のおばあちゃんが生まれた頃にはもう、おじいちゃんだったんですって・・・」

 「・・・蛍子さんにしても、そのお孫さんにしても・・・どう見ても二十代にしか見えないし・・・」

 「あら、おじいちゃんの奥さんなんて・・・」

 「・・・不思議よねぇ・・・」














 「シロっ!!その肉は俺のモンだぞっ!!」

 「忠夫さんっ!!食卓は戦場でござるよっ!!」

 「ああ、もう、二人とも、意地汚い真似しないのっ!!」

 「蛍子っ、御代りっ!!」

 「お母さんっ!!おかず足りないよォ!!」

 「もうっ、少しは食欲を押さえなさいよっ!!二人ともっ!!」

 「んぐんぐ・・・うん、今日も美味しいね」

 「げっ、お父さんっ、僕のおかず取らないで下さいよっ!!」

 「食卓は戦場だと、どこかの犬が吼えてたんでなッ!!」

 「拙者は狼でござるっ!!」

 「はははっ、俺の飯は・・・くそじじいっ!!てめえ、何してやがるんだっ!!」

 「まだまだ甘いなっ!!忠雄っ!!」

 「だいたいこの名前は何なんだっ!?ただおうっ!?ふざけんのもいい加減にしやがれっ!!てめえと一字違いなんて情けなくてやってらんねえぜっ!!かにクリームコロッケと不名誉な名前の仇っ!今日こそはぶっとばしてやるからなっ!!」

 「くぅ〜ん・・・その名前・・・つけたの拙者でござる・・・」

 「あ、ごめん、この名前がいけないんじゃなくて、じじいの存在が気に食わないだけなんだよ、ばあちゃん」

 「それはそれで、ショックでござるよぉ」

 「まぁ、気にするな、シロ。忠雄、昨日の訓練では、俺に触れる事も出来ずにボコボコにされたくせに・・・か?」

 「くそじじい〜・・・」

 「まぁ、まぁ、忠雄も押さえてっ。おじいちゃん、あんまり玄孫をいじめちゃ駄目よ、めっ」

 「おうおう、分かっているよ。お前の可愛い息子だもんなぁ・・・。これはいわば愛情表現だよ。逞しい男になって欲しい・・・そう願うことは間違ってはいないだろう?」

 「そうなんだけどぉ・・・」

 「何抜かしてやがるっ!!育ち盛りの玄孫のおかずを引っ手繰りやがってっ!!」

 「・・・忠雄ぅ・・・一応俺達もおじいちゃんなんだぞぉ・・・そんな風に言われると、泣いちまうぞぉ・・・」

 「あ、ごめん、じいちゃん達っ、おいこらっ、てめえも謝れよっ」

 「ふんっ、貧弱者どもにかける言葉なんぞないわっ!!」

 「「しくしくしくしく・・・」」

 「あ、じいちゃん達・・・てめえ、俺が引導渡してやるぜ!!」












 「・・・いつもここを通る度に思うんだけど・・・」

 「・・・何?」

 「何人、住んでるのかしらね・・・?この家に」






 雨上がりの虹は、自然と消える事無く、未だに、そう、未だに、空を飾っていた。

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