ザ・グレート・展開予測ショー

戻って来いおキヌちゃん! 全国除霊道派選手権!!!(終)


投稿者名:ギャグレキスト後藤
投稿日時:(03/ 1/30)

さぁーー、ついにクライマックスだ。
泣く子も黙る、Cry the Max。

リングロープに手をやってしまい、ドリフのコントのように爆発し、真っ黒焦げになった美神。
もう我慢してみるしかなかった。
これ以上乱入して、反則負けになったら賞品の80億円がパァなのだ。

横島親子に、ハヌマン、それに美神は仕方無しにロープ越しで覗き込む。
おキヌちゃんとユリ子選手のダブルノックダウンを。

そう。
リング上では、両者とも、可愛らしい目を閉じて寝そべる。
横島親子は、本来なら、既に乱入して両者の身体をスリスリしていそうな感じだが……
今は緊張の一瞬で、その様な事を忘れていた。
我が横島大樹&ハヌマンの正式なる継承者としての生命が懸かっている。

「う、うう・・・んんう・・・・・」

!!   !

魘され、気付きかけたかのようにユリ子選手は目を開きかける。
夜ばい…もとい、ヤバイ。
非常にヤバイ!

ダブルノックダウンの場合、大抵は、先に立ち上がった方の勝ちというルールがある。
このままでは、おキヌちゃんが負ける。

大樹やハヌマンにしては、負けることよりも立ち上がり健闘したことに褒め称えるだろう。
けれども、美神や横島忠夫にしては耐えられない。
しかも、横島は青ざめて恐る恐ると言う。

「お、おキヌちゃん立ってくれえ〜〜。
 じゃないと、俺が美神さんに八つ当たりされるううーーー…」

それは、まさに蚊が鳴くような悲しい声だった。
美神の賞金ゲットならず…ということは、「このバカのせいで〜〜〜」と言うような美神さんの声がなんとなく
聞こえてきそうなぐらいに横島の心臓はバクバクとしているのだ。
そんなのはいやだと言わんばかりの嘆きブタのような顔。

と、そこへ…

『おおっと、どうやらユリ子選手目をあけた模様アルよ!
 しかしかたやおキヌちゃん。
 どうしたのアルか、どうやら急激な睡魔に襲われたかのように見えるアルが…』

厄珍がマイク真紀を片手にナレーションをする。
タイミングがいいのか悪いのか、おキヌちゃんはピクリとも動こうともしないのだ。

「やはり…大樹よ!」
「ええ、そうですなぁ。」

何時の間にやら二人は煙草に火をつけて孵化しながら話をあわせる。

「眠気を引き起こすまでの脆性的きっかけ…つまり、弱点をおキヌちゃんなら克服できると思ったのだが…」

ハヌマンは煙草を片手に悲しげにポツリともらす。
マグマ大使…もとい対し、大樹は咥えたままで腕組みをして、眼鏡をきらめかせる。

「なぁに大丈夫ですよ。おキヌという子の性格からして、一つの方法がある。」
「というと?」
「ほれ、おキヌは死津藻比女としての能力があるんだろ?
 ならば簡単な事だ。あれが実体に見えるのか?」

自信ありげに天井を見上げる。
大樹の睨んだ通りだった。
目の前のリングよりもはるか上にある姿が・・・!

「「まさか、あの姿がおキヌちゃん!?」」

横島忠夫と美神は血相を変える。
眩しい。
天井のライトに輝くおキヌちゃんの姿が、リング上におキヌのもう一つの身体を幻として見せかけていた。

その天井に浮かぶおキヌの姿は、人間でも、妖怪でも、幽体でもどの姿に該当しない。
純粋な、赤羽衣へと進化したおキヌちゃんの姿は、神族そのものだった!!!!!

「ま、まさか?!!?」

きらり!
0.000000002451499933766893879551293768422452155379965863565秒もの瞬間。
はっと瞳を見開き上を見る。
ユリ子は叫ぶ。

それは既に遅かった。
ユリ子選手の叫びより早く
0.0000000000000000054210045000000452169376877365128524696769832158631486秒の間におキヌ選手の羽衣がユリ子選手に纏わり着く。

「う、うおおおお!
 おキヌちゃんのオールヌードおおおだあああああ!」

さらに、横島忠夫の数リットルもの鼻血がユリ子選手に降りかかった!
それが災いし、ユリ子選手が立ち上がるところで…
 つんころりすってん!
と、忠夫の鼻血で足を滑らせてユリ子選手は頭から再度うった。


『む、むごいアルねーー。ボウズの鼻血で転び倒れたアルよ。
 けど、この数秒間でで二度もノックダウンさせたおキヌちゃん選手の優勝で間違いないアルね。』


…………

……………………

あぜんとしたのは会場中。
こんな決め方でいいものかと思ったのは会場の何割であろうか。

ともかく、勝利のゴングは鳴った。





「これが、俺たちの愛の奇跡ッスね!」
「「「んなわけネーだろー!」」」

大樹・ハヌマン・美神は横島に突っ込んでいたのだ。
しかし、おキヌちゃんは照れている。
真っ裸の恥ずかしさのせいもあるかもしれないが、おキヌちゃんが、自分で完全に神族の仲間入りをしたことが信じられないのだ。

       ☆                 ☆                 ☆

表彰式―――――――

一位のおキヌちゃんは、呼ばれるまで沈黙を続ける。
本大会の会長である横島大樹の熱き魂の揺さぶりが、会場の閉めとしての前置きを話している。

「よかったっすねー、おキヌちゃん。」

肩に手をかける横島忠夫。
が、美神がその手を外させる。

「しっ、まだ大樹さんの話が終わってないでしょ!」

熱心に聞く美神。
そりゃそうである。
美神は、初代ゴーストスイーパー試験を霊力を一切使わずに主席トップにたった伝説の男・横島大樹のことが大好きだったのだ。
そして、そのぐうたら息子が横にいる横島忠夫。
前世での因縁なんか、断ち切りたいと言う一心がオーラになって美神本人を覆う。

「す…すいません…」

すごすごと謝りかけた頃、おキヌちゃんと呼ぶ声がある。
ついに、賞金80億円が貰えるかというワクワクに切り替わり、横島忠夫はこけるが、そこはそれ。

こけたのを他所に、しずしず死津藻比女と前に出ていくおキヌ。
舞台上に上がると大樹が賞状を読み上げる。


「賞状 

 氷室キヌ

 汝は、全国除霊道派選手権においてたったの110マイトのみの使用で
 見事十連勝し、優勝を成し遂げた事を表彰する。

 平成一三年九月一日、会長・横島大樹。」


ここまで読み上げ、手渡そうとするが・・・。
おキヌは拒むかのように手を震わせる。
初めてのことで、実感が無いのだ。

「どーしたのよ、おキヌちゃん。なんで受け取らないの?」
「さぁ、実感が無いからじゃないスか?
 もう実感どころか、作者も時間が無い事だし・・・。」


ぴしっ!
会場中は固まった。
「実感」と「時間」を引っ掛けた洒落が、会場そのものを完全に凍らせて閉まったそうだ。
完全に時間も止まってしまい、お話は続かなかったそうな・・・
というところで、このお話は終わり。
では、また……ね?














































美神 「あたしの‥‥あたしの80億円は?
    80億、80億円ーーーーーーーーーーー!」
横島忠夫 「…なんなんだ、このオチは!? ……(冷笑)…… 」 








ちゃんちゃんっ♪

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