ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(32)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 1/29)

 ドカーーーン!!っと岩が俺達にぶつかり壁とサンドイッチになったが……
「ぐあああ………あ、あれ?痛くない……ってこの岩、大きいマシュマロじゃん!しかも塞がれた壁はこんにゃく!?………マジでやってんのかからかわれてるのか分からん仕掛けだ……」
 俺はマシュマロからめり込んだ体を退かす。
「冥子ちゃん、大丈夫ですか?」
「マシュマロ〜〜美味しいですわ〜〜」
 冥子ちゃん……落ちてる物は食わないほうが……
 俺は冥子ちゃんの腕を引っ張ってマシュマロから引っこ抜く。
「ありがとう〜〜横島くん〜〜」
「いえ、構いませんよ……それより早く行きましょう!」
 俺はこんにゃくの壁を思いっきり蹴って倒し、先を急いだ。


 その頃、おキヌちゃんと六道さんは……
「あはは!!可愛い!」
 おキヌちゃんはオットセイのマネをしているマコラを見て笑う。
「おほほ〜〜マコラは本当にモノマネが上手ね〜〜今度は酔っ払いのマネをやってごらんなさい〜〜」
 六道さんが言うと、マコラは寅さんの格好をして顔には付け髭、千鳥足で出てくる。
「うわー!上手い上手い♪」
「上手いでしょう〜〜これ皆、私が教えたのよ〜〜冥子が教えたのはお手〜〜」
 六道さんが手を出すとショウトラの前足とクビラのしっぽが乗っかる。
「コレだけなのよね〜〜まだまだよね〜〜」
 六道さんが言ってるうちに、他の式神達も手や足などを乗せる、まあ足や手が無いバサラやビカラなどは困っていたが……
「おほほほほ〜〜」
「あは、あはははは……」
 その光景に、おキヌちゃんは乾いた笑い声を出していた。



「いや〜〜!!横島くん、横島くん〜〜!!」
「なっ!?どうしました冥子ちゃん!」
 俺は突然悲鳴をあげた冥子ちゃんの前に立ち、草薙の剣を構えて聞く。
「出たの、出たの出たの〜〜!!」
「何が出たんですか?幽霊?それともミイラ男?」
「出たの〜〜ゴキブリが〜〜カサカサって〜〜」
 ……ゴ、ゴキブリかよ……
「はあ〜、頼みますからゴキブリぐらいで驚かないでくださいよ……」
「じゃあ〜〜ナメクジは〜〜?」
「ナメクジも駄目!」
「蜘蛛やカナブンやミミズは〜〜?」
「み〜んな駄目です、分かりました?」
「は〜い……」
 ここに式神がいなくてよかった……そうじゃなかったら今頃この地下道は崩れていた所だな……
 この後、文珠「罠発見」を使い、地雷や弓矢などを突破して何とかコレクションルームにたどり着いた。
「着いたわ〜〜ここがお父さまのコレクションルームなの〜〜」
 やっとたどり着いたか……疲れた……
 俺はドアのノブを回して開けようとするが……
「あ、あれ?開かない……おりゃーー!!とりゃーー!!」
 ノブを思いっきり引っ張ってもドアはびくともしない。
「横島くん〜〜そんなことしても〜〜無駄ですよ〜〜」
「な、なんでですかーー!?……うわっ!」
 バキっと音を立てて、ノブが外れた。
「だって〜〜それは壁に書いた絵だもの〜〜本物はこっち〜〜」
 冥子ちゃんは『呪的珍品所蔵室』と書かれた看板を押して中に入る。
「それを早く言ってくれ……」
 俺は冥子ちゃんの後に続き、中に入ると部屋には、刀、壷、皿、仮面、鏡など、ものすごく高価そうな物が置いてあった。
「金印は何所だ?」
「こらっ誰だ!ワシのコレクションを荒らすのは!!」
「うわああ!!」
「きゃああ〜〜!!」 
 俺と冥子ちゃんはいきなり後ろからの声に驚く。
「冥子!ここに入っちゃいかんと言っただろーがっ!!」
「お、お父さま〜〜今日は東京でお仕事のはずでは〜〜」
 冥子ちゃんが声がした方向に恐る恐る言うが……
「こらー、入っちゃいかんと言っただろーがっ!!」
 部屋の隅から出てきたのは、コケシ型のロボットだった。
「あら〜〜守った君でしたの〜〜」
「ま、守った君?」
 俺が聞くと、冥子ちゃんはにっこり笑い。
「お父さまの手作りのガードロボットですの〜〜こう見えてもなかなか強いんですのよ〜〜。柔道、空手、剣道、フォークダンス、おトイレの掃除、なんでもこなすの〜〜」
 ……今、冥子ちゃん……柔道着や空手着や剣道の防具など着てなかった?フォークダンスの時は制服着て守った君と踊ってたように見えたし、おトイレの掃除用具も持ってたような……でも一瞬の事だったし……う〜ん、不思議だ……
「こらー!コレクションを荒らす者は逮捕する!」
 俺が一瞬呆然としてると、守った君が棍棒を振りまわす。
「うわっと!冥子ちゃん、止めるように言ってくれ!」
「駄目なんですの〜〜お父さまの言う事しか聞かないんです〜〜」
 そう言う冥子ちゃんはもう机の下に隠れていた。
「それじゃ……ぶっ壊す!!」
 棍棒振りまわしている守った君に近づくと危ないので、サイキックソーサーをぶん投げて守った君に当てる。すると、守った君は床に倒れて、体が4つに分解した。
「いや〜、あんたら強い、参ったガガビョーン!」
「あらら〜〜守った君が参った君になっちゃった〜〜」
 く、くだらないですよ冥子ちゃん……
「さて金印を探すか、どっかに秘密の隠し場所があるはず……」
 だが俺は見てしまった、『金印はここ!』と書かれた絵があり、その下に金庫があるのを……
「お父さまって〜〜とっても忘れんぼうなの〜〜だから〜〜」
「もう分かったよ……でも金庫が開かないと……」
 俺は金庫を開けようとダイヤルなどを回しているが、ビクともしない。
「だから〜〜金印はここ〜〜」
 そう言って、冥子ちゃんは『金印はここ!』と書かれた絵を持ち上げると……後ろに穴が開いていて、そこに金印があった。
「うふふふふふ〜〜」
「お、お父さまってとっても変わってるな……」
 俺は呆れることしか出来なかった。
「ところで冥子ちゃん、守った君が壊れたのが知れたら、金印を持ち出した事がばれるんじゃないですか?」
 俺は文珠で直そうと思っていたが。
「平気よ〜〜守った君には自動再生装置が付けてあるから〜〜」
 自己再生能力まで付いてる手作りロボット……冥子ちゃんのお父さまってドクター・カオスと気が合うんじゃないか?
 俺はなんか怖くなって、急いで冥子ちゃんを連れて地上に戻った。



「冥子!遅いわよ!」
「まったく、人を待たせるのもいい加減にして欲しいワケ!」
 俺達が地上に出て、庭に戻るとそこにはもう降霊会の準備をしている美神さんとエミさんがいた。
「エミさんも〜〜令子ちゃんも〜〜早いわ〜〜」
「おたく、もう2時間も待たせてるのよ!」
 2時間……俺達が書斎に入ってから4時間も経ってるから……2時間後に来たのか。
 その後、冥子ちゃん達は黒いローブを着て、テーブルの上にヤマタイの鏡を中心に置き、金印を鏡の上に乗せて、精霊石のマガタマを三角形に置いて、準備が出来た。
「いい!ヒミコを呼び出すのに成功すれば、日本一のGSとしてその名が広まるわ!失敗は許されないわよ!」
「ええ〜〜!」
「分かったわ!」
 美神さんの言葉に冥子ちゃんもエミさんも真剣に頷く。
 そして、冥子ちゃん達は手を金印の上にかざす。すると冥子ちゃん達は霊力を放ち始める。
 少し離れた木の影に、俺とおキヌちゃんと六道さんがいてその光景を見ていた。
「凄い迫力……」
 おキヌちゃんが言う。
「いにしえに失われし魂よ……」
「地上より消え失せし王国の主にして魔性の者」
「今ここによみがえり我らの前に現われいでよ〜〜!!」
 美神さん、エミさん、冥子ちゃんの言葉と共に、アイテム達が光出す。
「エロイムエッサイム……」
「我は求めうったえるなり〜〜!!」
「黄泉の世界より降り来たれヒミコよ!!」
 最後の美神さんの言葉によって光りの柱が出来て、そこに人の姿が現れる。
「来たわ!!」
 美神さんが言うと、光りの柱が無くなり、空中には一人の女性がいた。
「わらわを眠りからさますのは誰じゃ!?」
「ヒミコよ!!間違い無いわ!」
「やったわ!」
「わあ〜〜!」
 ヒミコの出現に、冥子ちゃん達は喜ぶ。
「ほう…!神や悪魔にも等しい力を持つ、このヒミコを呼び出すとは、なかなかあっぱれな術を使う者たちよな。何用か!?申せ!!」
 しばらく冥子ちゃん達は沈黙して……
「用?用なんかある?」
 エミさんの言葉にこけるヒミコ。
「あたし、わかんない!冥子は?」
「あたし〜〜呼び出す事しか考えてなかったもの〜〜」
 気まずい沈黙……そして……
「はあ〜……こんな事だと思ってました……どうですか?お茶でもしませんか……」
 俺はランチボックスとティーカップを持って言う。
「「「「そ、そうね……」」」」
 俺の言葉にみんな頷いてくれた。



「ほう……ぼでこんにお立ち台ギャルとは……今の若い娘達の間ではそのようなものが流行っておるのか……」
「あとサッカーのJリーグね!」
 美神さんがヒミコさまの質問に答える。
「あ、そーだわ、ヒミコさま。私の男運占ってくださいなっ!」
「後で〜〜サインして下さいね〜〜」
 冥子ちゃんがサイン紙を持って言う。
「事務所の経営を占ってください……」
 俺もついでに言っておく。
「「「「あはははははは!!!」」」」
 皆の笑いが木霊するうららかな春の1日だった。
 ま、たまにはこんな日もいいかな……

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