ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―11後半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 1/28)

<前半からの続きです>


・・・・・・死んだーーーっっ!!?・・・・・・

まるで人身事故のように跳ねる横島の体・・・・・・オカルトGメンの面子は、全員そう思った。
一方、地面を跳ね空を飛ぶ横島は・・・・・・

・・・・・・きたーーーーーーっっ!!!やっぱ美神さんはこうじゃないとなーーーーーっっ!!・・・・・・

・・・・・・意外と平気そうだった。

―― ダン、ダダン、ダン ――

そして跳ねる事数回。横島は最終的にうつぶせの状態で転がって、ヒクヒクと体を引きつらせる。

「立てっっ!!!横島あぁーーーーーーっっ!!!!」

―― ビクッ?! ――

間髪いれずに怒鳴る美神。横島は、条件反射で立ち上がった。
そして、美神はもう一度横島に近づいていく・・・・・・

「あああ、あの、あの美神さん!よ、よ、よ、横島さんも反省してると思いますから・・・あああ・・・」
「せ・・・せんせーーーっっ!!早く謝るでござるよーーーーーーっっっ!!!?死んでしまうでござるーーーーーーっっっ!!!!」
「えと・・・美神・・・・・・・・・それくらいでもう・・・」

とたんにワタワタしだした3人組。さっきまでのちょっと良い雰囲気などあっという間に吹き飛んでしまった。
だが、慌てている3人とは対照的に・・・この台詞も耳に届いていないかのように・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

また・・・・・・・・・美神と横島は見つめあう。

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・反省、してるの?」

長い間の後、美神は問い掛けた。真剣な眼、真剣な表情で。

「・・・はい・・・・・・・・・心配掛けました・・・すいません・・・・・・美神さん・・・」

そして横島も・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・もう・・・・・・しないか?・・・」
「・・・・・・・・・・・・はい・・・」

美神は問う・・・「もう二度と勝手に居なくなったりしないか?」と・・・
横島は答えた・・・「決して消えたりしない」と・・・

「・・・誓えるか?」
「誓います!」

そして又、暫しの沈黙・・・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・おかえり・・・横島クン・・・」

美神は微笑んだ。

「・・・・・・はい・・・ただいま帰りました・・・・・・美神さん・・・」

横島の目元は濡れていたようだった・・・・・・


( Side 美神 )

―― ようやく ――

私は自分の気持ちに素直になることが出来るみたいだ。
本当に長かったな・・・・・・・・・こんな風になるなんて予想もしていなかった。

―― 横島クン ――

私はコイツを見ながら思い出す。私がどれだけ、コイツに依存していたのかという事を・・・・・・
どんなに・・・

―― かけがえの無い人だったのかという事を ――

まずさっき、1年振りにアンタを見て・・・私は固まってしまったのよ・・・

―― とにかくシバク! ――

この1年、アンタが見つかったらしようと思っていたこと・・・・・・むしろ最初のうちは積極的に見つけようとしたっけ。
でも、1ヶ月たって、2ヶ月たってもアンタは見つからなかった。
その時に思ったのよ。

―― なんでアンタみたいな丁稚の事をこんなに必死こいて探してる訳っ!!? ――

ってね。ま、いつものパターンよ。
本当にアンタが唯の丁稚だったら、こんなに必死になって探す訳無い・・・・・・じゃあ、アンタは唯の丁稚じゃ無いのか?
まずそう考える。

―― じゃあアンタは私にとって何なの? ――

いつもここまでは順調なのよ。そして、いつもここから答えが出せなかったのよね。
アンタの事をどう思っているのか?
今なら分かるわ・・・・・・・・・でもね、ほんと・・・ついさっきまで分からなかったのよ。
さっき、アンタの顔を見る直前まで・・・・・・半殺しはまず確定で、そっから先はアンタの対応次第で許すか更に追い討ちをかけるかするって決めてたわ。

―― なのにね ――

アンタの顔を見た瞬間に・・・・・・私ね・・・・・・・・・固まって・・・そしてね・・・・・・

―― 泣きそうになったのよ ――

笑っちゃうでしょう?
この美神令子が、唯の丁稚の為に泣きそうになったのよ!?
勿論、すぐに耐えたわ!でもね・・・・・・

―― 耐え切れそうに無くて逃げちゃった ――

だって、アンタが帰ってきてくれたのが、こんなに嬉しい事だったなんて分からなかったんだもの・・・
部屋の隅で泣いたわ。自分でも信じらんないくらい涙が出た。

―― だからね ――

分かったの。
私・・・・・・アンタの事を大切に思ってる。
どこかに行ったら嫌だ!私のそばに居て欲しい!!二度と失いたくない!!!

―― ほんとはね ――

前からそれっぽい感情に気がついてた。ただ、それを認めていなかっただけ・・・・・・
自分を立派に見せるために、意地を張っていただけ・・・・・・
アンタは自分に釣り合わないって、勝手にそう思ってただけだって気がついたの。

―― おかしいでしょ? ――

釣り合っていないのは私の方かも知れないのにね。
でもね・・・・・・もう気づいちゃった♪
だからもう意地を張るのはお終い。

―― 私は私の為に ――

アナタを私の傍に縛り付けるわ。
もう見失わないから!自分の気持ち!!
ただ、正直に言うとね・・・

―― この気持ちが恋愛感情なのかどうかは分かんないの ――

私って、本当にガキだったんだわ!
好きって気持ちすら理解できないなんてね・・・

―― 横島 ――

アンタの事好きよ・・・・・・でもね、ライクなのかラヴなのか・・・・・・・・・その答えが出せないの。
これは本当だから怒らないでね。結論は、必ず出すからさ・・・

―― それと ――

さっきの一発はケジメだから。
黙って私の前から姿を消したアンタと、これからアンタに対して素直になるって決めた私の・・・・・・

―― 二人のケジメだから ――

アイツにだって負けないからね!

―― だから ――

・・・・・・・おかえりなさい、そしてこれからも宜しくね・・・・・・

( Side End )


美神に迎えられ、横島は涙を流す・・・・・・耐え切れず溢れ出す涙・・・
一方、美神に涙は無い。ただ優しく、横島を見つめるだけ。

―― でも ――

それでも二人の表情は同じモノに見えるのだった。

・・・・・・・・・・・・





・・・・・・・・・・・・

「さて、横島クン。そろそろ事情を話してくれる?」

ひとしきり・・・・・・感動の再会劇が幕を引いた所で、美神がそう、横島に切り出した。

「はい・・・・・・お話します。」

全員が、晴れやかな顔をしている。1年分の重いしこりが取れた・・・・・・そんな感じだった。
そして最後のしこり・・・・・・・・・横島が失踪した理由についての説明が始まろうとしていた。
居住まいを正し、横島がそれを語りだす・・・・・・

―― バダンッッ!! ――

・・・と思ったそのとき!

「うひゃぅ?!」

部屋のドアがまたしても乱暴に開けられた。先程腰を抜かしてしまった若いオカルトGメン隊員が、再びその音に腰を抜かす。

「ヨコチマーーーーーーーーーーーーッッッッッ♪」
「えっ?!あっ!?パ、パピリ・・・オーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!?」

一本の矢として室内に飛び込んできたのはパピリオ。横島の腹筋めがけて突っ込んだ!
勢いに押され、そのまま吹っ飛ぶ横島・・・・・・そして・・・

―― ゴギッッ!! ――

「ぬがっ?!!!☆」

横島の背中がテーブルの角に突き刺さった!

「こ、腰、腰がぁぁぁ・・・・・・ほ・・・本日一番の・・・・・・しょ、衝撃・・・・・・」

―― ガクッ ――

崩れ落ちる横島・・・・・・・・・

「んっ?どうしたでしゅかヨコチマッ?!・・・・・・・・・あああっっ!!?酷い怪我でしゅ!?いったい誰にやられたでしゅかっっ?!!!」

真剣に横島を心配するパピリオ・・・・・・

―― アンタだーーーーーーっっっっ!!!! ――

オカルトGメンの隊員すら含む、一糸乱れぬ突込み!!

とりあえず、横島の口から真相が語られるにはもう少しだけ時間がかかるようだ。



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