ザ・グレート・展開予測ショー

モンスタースイーパー (その8−3)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 1/27)

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モンスタースイーパー (その8−3)



依頼内容も一通り聞いた美神たちは、まず最初に、セリーヌを着替えさせることにした。
今セリーヌが着ているドレスのままでは、目立ちすぎて、護衛がし辛くなるからだ。
「それじゃ、始めましょうか。横島、覗くんじゃないわよ!」
「やだなぁ〜、美神さん。覗いたりなんかしませんよ。
セリーヌ王女の着替えを覗いたりしたんじゃ、完璧に悪者じゃないっスか。」
「私だと違うのかっ!?」
美神は横島に、アッパーカットを喰らわす。
「まぁまぁ。」
おキヌが、汗をタラリと流しながら、美神をなだめる。
それを見て、セリーヌはクスリと笑った。



十数分後・・・・・。
皮のドレスに身を包んだセリーヌが現れた。
「に、似合いますか?」
横島に聞く、セリーヌ。
「・・・・・・。」
横島からの返事はなかった。
「あの、横島さん?」
「ん?あ、あぁ、似合ってる似合ってる。」
慌てて感想を言う横島。
返事がなかったのは、横島がセリーヌに見惚れていたからである。
「本当ですか!うれしい・・・・。」
喜ぶセリーヌ。
ポリポリと鼻を掻く横島。
その頬は、少し赤くなっていた。



城下町を出、隣国へ続く林道を歩く美神たち。
しかし、どこか重々しい空気が漂っていた。
セリーヌの横に、横島がいるのである。
出発する前、セリーヌが、
「横島さん、私の傍に居てくれませんか?」
と言った為、こういうことになってしまった。
横島は、セリーヌを見る。
目が合い、セリーヌがニコリと笑う。
冷や汗を出しながら、横島もニコリと笑う。
ギロリッ!
横島の体中に、目線が刺さる。
無論、その目線を出していたのは、美神、おキヌ、シロの3人(2人+1匹?)である。
横島にとって、その視線が一番恐かった。
時々、殺気に近いもの(またはそのもの)が、目線となって、くるのである。
常人なら、耐えられるはずがない。
横島から見れば、自分の周りに殺し屋がいるようなものであった。
1回でも手違いを起こせば、三途の川を渡ることになることを、
横島は理解していた。


ガアァァァ!!
その時、巨大な熊が現れた。
その瞬間、美神の声が聞こえた。
「このドグサレがぁーーーーーーーーーー!!!!!」
「わぁーーーーーー!!すんませんすんません!!」
その場で平謝りする横島。
横島が顔を上げた時には、熊はバーベキューになっていた。
美神の目は、赤くギラリと光っていた。
(こ、恐い!!)
横島は、心の中で泣いていた。


その日の夕方・・・・。
美神たちは、泉が近くにある場所で、野宿をすることにした。
テキパキとテントを建てる美神たち。
その時、セリーヌは気付いた。
(あれ?横島さんは・・・・・?)
辺りを見回しても、横島の姿は無かった。
セリーヌは、おキヌに聞いてみた。
「おキヌさん。横島さんは?」
「え?横島さんなら、泉へ、水を汲みに行きましたよ。」
その言葉を聞くやいなや、セリーヌは、泉へと走っていった。



森を抜けたセリーヌの前に、泉が広がっていた。
その泉の前にある岩に、横島は座っていた。
その傍へと駆け寄るセリーヌ。
横島の目は、遠くを見つめたまま、動いていない。
「横島さん?」
セリーヌが声をかける。
「・・・・・・・・・綺麗だろ?」
突然、横島が言った。
「え?」
呆気にとられるセリーヌ。
「・・・・夕陽。」
「え?あ、は、はい・・・・・。」
慌てて返事をするセリーヌ。
向こうを見ると、ちょうど太陽が沈もうとしていたところだった。
「・・・・・本当に綺麗ですね。」
「・・・・昼と夜の一瞬の隙間・・・。
少しの時間しか見れないから、もっと綺麗に見えるんだ。」
セリーヌは、横島の顔を見る。
その顔は、どこか哀しそうであった。
「・・・・・何か、あったんですか?」
セリーヌが聞く。
「・・・・・・・・ちょっとね。」
その時、太陽は沈み、ゆっくりと闇が広がっていった。
ツゥ・・・・・・
横島の目から、一筋の涙がこぼれる。
「!!」
突然のことに驚くセリーヌ。
「・・・・・アイツは、俺を守るために死んで、俺はのうのうと生きている。
・・・・・・神様に言いたいよ。どうして、こんな運命になったんだって・・・・。」
「横島さん・・・・・・。」
横島は、腕で涙を拭い、ゆっくりと立ち上がった。
「・・・・・ごめんな。」
「いえ、・・・・・・・すいません。」
謝るセリーヌに、横島はニコリと笑う。
「・・・・このことは、美神さんたちに言わないでくれ。」
「は、はい。」
横島は、傍にあったバケツに、泉の水を入れ、美神たちのところへ戻った。
その後、セリーヌも美神たちのところへ戻った。

その日の夜・・・・。
泉の前でむせび泣く横島の姿があった。
「・・・・ルシオラ。・・・・・ルシオラァ。」
その声は、森中に、静かに木霊した・・・・。

続く・・・・。

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