ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−28b


投稿者名:NAVA
投稿日時:(03/ 1/26)







???

どういうこと?

メドーサの呪縛が解けない?

何故?

これはメドーサの力じゃない?

……アシュ様?

どうしてアシュ様の力を感じるの?!!

ま、まずい?!!

このままじゃ、美神さん達と戦い続けることに!!!!














フン……。

悪あがきしてるようじゃないか、ルシオラ?

無駄だよ。

アンタに術をかける時に使った力はアシュタロスの物だからね。

元々、アシュタロスの力に対しては抵抗力の弱いアンタ。

それ抜きにしても、圧倒的な力の差。

さぁ。

最後まで踊っておくれ?

感じないかい?

愛しの彼氏が近づいて来てるよ?











今まで、どこか希薄な存在感しか持たなかったルシオラクローン。
それが最後の一体になった時。
初対面で感じた、圧倒的な存在感を醸し始める。
そして彼女は動きだす。


無言で、無表情で、唐巣に襲い掛かる。


右、左、正面、真後ろ、真上。


ありとあらゆる方向から攻撃が加えられる。
知っていても、対応出来なければ意味はない。
幻術と分かっていても、どれが本物か分からなければどうしようもない。
派手にクリーンヒットを貰って悶絶する唐巣。
すぐさま次の標的を探そうと戦場に目を向けるルシオラ。

その視線に、美智恵が襲い掛かってくるのが見える。
美智恵の神通棍を片手で受け止め、空いた方の手で魔力を込めた一撃を見舞う。

吹き飛んだ美智恵には目もくれず、魔力の壁を展開して西条&雪乃丞の攻撃を受け止めるルシオラ。
そして魔力の壁を球形に変形させて、一気に二人を押し潰す!!!
かろうじて抵抗に成功した二人だったが、ぐったりとしていて、動く気配は無い。

ふと、視線を向けた先ではメドーサと小竜姫が戦っている。
そんな小竜姫に向かって、援護とばかりに魔力閃――光線状にまで凝縮した――を照射した後、神通鞭を構える令子に向き直る。








「まだか・・・・・・?
 まだ着かないのか?」

先ほどから立て続けに聞こえる爆音に焦りを覚える横島。
おキヌ達を説得するのに一苦労し、同行することを条件にエレベーターへ乗る。
乗ったのは良いが、1階、2階と表示が変わるのが酷く遅く感じられる。

――――何かが起きようとしている。何か悪いことが・・・・・・。

そんな予感が横島を苛む。








美神令子はルシオラを見ると、冷静ではいられなくなる。

横島の心を奪った女。
横島の心を縛った女。
横島の生を変えた女。

人としての感情、女としての感情。
色々なモノをミックスしても、ルシオラのようにはなれない。ルシオラのようには行動出来ない。
自分と相反する存在。
それが彼女にとってのルシオラだった。




「ちょっとは期待してたけど・・・・・・確定ね。
 アンタは敵よ!!!!」

――――待って!!これは私の意思じゃない!!!

「ママ達を容赦なく吹き飛ばしてくれたんだからね!!!!」

――――こっちでも抵抗したわ!!!だから生きてるはず!!!急所を外したはず!!!

「アンタは・・・・・・アンタの存在は横島君のためにならないのよ!!!」

――――!!!!!!

「だから!!!!
 だからここで死になさい!!!!
 横島君の目に触れる前に!!!!
 横島君のために消えなさい!!!!」

――――ヨコシマのため?
     駄目!!!
     ヨコシマのために私は蘇ったのに!!!!


令子が必殺の一撃を放つ。
未だ、霊的に安定してないルシオラにとっては酷く危険な一撃。
しかし、十分に避けられる程度のスピード。


そこで予期もしない闖入者が現れる。



バンッ!!!!




扉が開く。
そこから姿を現したのはおキヌ達を引き連れた横島忠夫。

それに意識を奪われたのはルシオラ。
気付かなかったのは美神令子。

それが二人の明暗を分ける。






ズンッ!!!!!





「アッ・・・・・・・・・・・・」


そう言ったのは令子かルシオラか、あるいは横島か。



令子の一撃が、まともにルシオラにクリティカルヒットしている。
そして傷口から徐々に始まる身体の崩壊。


「ル、ルシオラッ!!!!!」

それなりの距離を、急いで駆け寄る横島。
抱き上げた身体は酷く軽く、肩の辺りがごっそりと崩れている。

「ヨコシマ・・・・・・?
 アハハハハ・・・・・・。
 ごめんね。
 頑張ったんだけど・・・・・・駄目だったみたい」

舌を出して茶目っ気たっぷりに(本人主観)詫びるルシオラ。
そんな小さな行動一つでも身体に与える振動は少なくない。

「だ、駄目だ。
 ほら、文珠で・・・・・・」

「無駄よ?
 分かってるでしょ?」

話してる間にも崩れ落ちる身体。

「でも・・・・・・でもでも・・・・・・」

少年のように泣きじゃくる横島。
それを慈しむように見つめるルシオラ。

「そっか・・・・・・私、自分の死に方に納得してなかったんだなぁ」

「?」

「どうせ死ぬなら、惚れた男の腕の中。
 悪くない・・・・・・悪くないどころか良い気分。
 ウフフフ」


そう言って笑った瞬間。
まるで夜闇の中で蛍が乱舞するように、光輝く粒子となって消え去った。





「ルシオラ――――――――ッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」





その瞬間、横島の身体が黒く光り出す。
黒き光が部屋全体に満ちる。
その光りを浴びている美神達に横島の想いが、記憶が転送される。




美神とルシオラが戦っている。
足元にはたくさんのルシオラクローンが倒れている。
そして美神の一撃に倒れる最後のルシオラ。


――――暗転


文珠生成機に組み込まれる時に聞いた最後の言葉。
『人界の新たな秩序のため』
その言葉に感じた激しい怒りと絶望感。


――――暗転


徐々に崩れ始めるルシオラクローン。
ヤマサキのにやけ顔。
文珠も霊波刀も出せないもどかしさ。
激しく叩かれるガラス。
叩いた拍子に崩れる身体。
それを見たルシオラクローンの絶望の表情。


――――暗転


世界とルシオラの存在を天秤にかけた時の想い。
アシュタロスの誘惑。
美神達への想い。
ちょっとだけ感じるアシュタロスへの同情感。


――――暗転


最後にルシオラと話した東京タワー。
自分を助けるために死を選んだルシオラの表情。
一緒に夕焼けを見たルシオラ。
命がけの夜這いでべスパと戦うルシオラ。
自分の想いを告白するルシオラ。
真剣なルシオラ。
初めて会った時のルシオラ。


横島の知っているルシオラの顔がどんどんフラッシュバックする。
そして次第にそれは美神のモノと重なっていく。
同じようにフラッシュバックし始める美神との思い出。
そのどの表情も、美しければ美しいほど、楽しければ楽しいほど、悲しければ悲しいほど、横島を破滅の道へと誘っていく。

ゲシュタルト崩壊がどんどん加速されていく。










 

「わ……私は……」


美神の声は誰にも届かない。

見れば誰もが涙を流している。

その中で唯一人、メドーサが三叉の鉾を横島に投擲する構えを取る。

そして無言でそれを投じる。

小竜姫がそれに気付き、三叉の鉾を防ごうとする。

小竜姫が飛び跳ねた瞬間、ワルキューレの魔銃がまともに背中から命中する。

そして棒立ちになった小竜姫へ三叉の鉾が命中し、さらにすり抜けて横島へ向かう。

三叉の鉾が小竜姫の身体をすり抜けるその瞬間、小竜姫の霊基構造がどんどん書き換えられていく。


「きゃぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!」


小竜姫が崩れ落ちる。

それと同時に三叉の鉾が横島に命中する。

――――突き刺さった?!

誰もがそう思ったが、鉾は徐々に徐々に横島の中へ埋まっていく。












「アーッハッハッハッハッハ!」

誰もが呆然としている中、メドーサの哄笑が響く。

「これで魔神横島の誕生だ!!
 いや魔人か?」

「な、何だと?!
 そんな話は聞いてないぞ?!」

ベルゼブルが憤る。

「バカ?
 アンタみたいな役立たずを魔神に据えるわけなんてないだろ?
 アンタが魔神ならアタシは魔王だよ!!」

「コッ、殺してやる!!!」

 


ブワッ!!!!!



満身創痍のベルゼブルが、メドーサの一撃で吹き飛ぶ。



メドーサに気を取られている間にも横島の魔族化はどんどん進んでいる。

「何で?どうして横島君が魔族化するのよ!!」

美智恵にも普段の冷静さはない。

「良いだろう良いだろう。
 解説してやるよ」

メドーサが実に機嫌良く応じた。

「元々、半人半魔の横島を人たらしめていたのは、人に対する愛情・愛着さ。
 例えば・・・美神令子への思慕の念とかね。
 しかし今回の一件で奴はその想いに疑問を抱いちまったのさ。
 ほんの一瞬で良い。
 人と魔のバランス、陽と陰のバランスの崩壊が横島を魔族化させた。
 半人半魔というよりは、半魔半人と言ったところかね」

令子が疑問をぶつける。

「じゃあ、聞くけど。
 何で・・・・・・横島君からアシュタロスと・・・・・・同質の魔力を感じるのよ!?」

「それはもっと簡単さ。
 アタシが持っていたあの三叉の鉾。
 実はあれこそがアシュタロスの力の結晶なのさ!
 アタシが使っても圧倒的だったろ?
 あの鉾の威力は。
 そして見ただろ?
 アレを横島が吸収していたのをさ!!!」






そして横島が覚醒する。















魔界、万魔殿内にて。

リリスを始め、5人の魔神が勢ぞろいしている。

「クッ!小竜姫め!余計なことを!!!
 ・・・・・・・・・・・・フゥ――――まあ、良いわ。
 予定とはちょっと違ったけど、これで第一段階終了ってところね」

リリスが血の色をしたワインを片手に微笑む。

「引き続き第二段階か」

「ええ、それはともかく・・・・・・やっとペンタグラム(五芒星)がヘキサグラム(六芒星)に戻るわけよ」

乾杯を始める5人。





「「「「「新たな魔神の誕生に祝福を・・・・・・」」」」」






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