ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(31)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 1/25)

 キーンコーンカーンコーン!
 チャイムとともに先生は教室を出ていき、教室に生徒達のざわめきが訪れる。
「ふう……やっと2時間目が終わったか……」
 俺はウーンと背伸びをする。
「よく言うわ!ずっと寝てたくせに」
「にょわ!後ろから声をかけるお前は机の妖怪、愛子!」
「なんで説明口調なのよ……」
 愛子は呆れる。
 ピピピピピピ!!
 ……とその時、俺のポケットから携帯の着信音がした。
「あっ!!学校に携帯を持ってくるなんて、校則違反よ!!」
「まあまあ、いいじゃないか……はい、横島です」
 俺は誤魔化しつつ電話に出る。
「横島さん〜〜!至急来て欲しいの〜〜!!!」
 なにやら慌ててる声が聞こえた……この声は……
「……冥子さんですか……どうしました?」
「とにかく来て〜〜!!迎えは寄越したわ〜〜!!」
「迎え?」
 何やら嫌な予感が……
 キーーーンーーーー!!
 ガシャアアンン!!
 何かが窓ガラスを割って入ってきました。
「あれは!なんだ!」
「鳥か?飛行機か?」
 生徒達が騒いでる……それは……
「シンダラ?」
 そう、冥子さんの式神のシンダラだった。
 シンダラは教室を旋回して俺の制服の襟首を咥える。
 冥子さん……迎えってコレなの……
「愛子……」
「……なに?」
 愛子が冷や汗を流しつつ聞く。
「先生に今日は早退しますって伝えといて〜〜〜〜〜〜〜!!」
 そして俺はドップラー効果を残しつつ教室を飛び去っていった。



「やっと着いたか」
 30分ほど飛行してシンダラは広い屋敷に着地した。
「ここって……何所?」
「ここは〜〜私の別荘よ〜〜」
 後ろからの声に振り向くと、冥子さんとおキヌちゃんがいた。
「横島さん、大丈夫ですか?」
「ああ、大丈夫だよ、おキヌちゃん。それで、冥子さん……何かご用でも?」
 さ〜て、今回はどんな事件だ?
「実は〜〜今日〜〜令子ちゃんとエミさんと〜〜ヒミコの降霊会をするの〜〜そこで〜私の家に伝わるヒミコ金印を使いたいんだけど〜〜お父さまが駄目って言うの〜〜。それで〜〜お父さまの書斎にしまってある〜〜ヒミコの金印をお父さまが仕事に行ってる間に黙って取りに行きたいの〜〜横島さん〜〜一緒に来て〜〜」
「へっ?」
 あの〜、本気でたったそれだけの為に俺を呼んだのか?
「ところで、ヒミコって何なんですか?」
「古代日本にあったヤマタイ国の女王だよ!強力な魔性の力で国を治めていたんだ。日本史上最大の力を持った魔女ってとこかな?」
 俺はおキヌちゃんに説明する。
「今日は美神さん達も来るんでしょう?なんで美神さん達に頼まないんですか?」
「令子ちゃん達には〜〜私がヒミコの金印を用意するって〜〜約束しちゃったの〜〜。だから〜〜手伝って〜〜」
 はあ〜……仕方ない……
「分かりました……手伝いますよ」
「ありがとう〜〜横島さん♪」
「優しいですね、横島さん」
 まあ、さっさと終わらせて、降霊会でも見学して帰るか。
「あら〜、横島さんにおキヌちゃん〜〜こんにちは〜〜」
 俺の後ろから声をかけてきた人物は……
「あ!冥子さんのお母さん!こんにちは〜」
「六道さん、こんにちは!」
 俺とおキヌちゃんは挨拶する。
「ところで冥子〜〜」
 六道さんが冥子さんを見る。
「今日にんじんを残したそうね〜〜好き嫌いを無くしなさいと〜〜あれほど言ってもわからないのですか〜〜!!!」
「あああ〜〜、ごめんなさい〜〜っ!!」
 冥子さんがまた式神全部に迫られてる……
「まーまー六道さん。今日は俺達大事な用があって集まったんですよ。ここは俺達に免じて……」
 俺が六道さんを制するが……
「年寄りは〜〜邪魔だから〜〜いなくなれっていうのね〜〜」
「あ、いえ、そーじゃなくて……」
 だが俺の言葉に耳を貸さず、六道さんはクルリと背を向け。
「い〜わよ、い〜わよ。おばさん、すねちゃうんだから〜〜」
 ダッシュで式神と共に去っていく。
「ああっ、お母さま〜〜拗ねないで〜〜!!」 
 この親にしてこの娘ありか………はあ〜……
「私、慰めに行ってきます!」
「ああ、よろしく」
 おキヌちゃんは六道さんが去っていた方向へ飛んでいった。
「それじゃ、俺達も金印を取りに行きますか」
「は〜〜い」



「勝手に入ったことがバレたら〜〜叱られるから〜〜。その辺の物には触らないでね〜〜」
 冥子さんはそう言うと本の一つを引っ張る……すると、ギギィっと音を立てて本棚の一つが動いた。
「我がコレクションを荒す者に呪いあれ……良い趣味してるな」
 俺は入り口の文字を読んで苦笑する。
「この通路が〜〜お家の〜〜裏の〜〜お山の下にまで繋がっているの〜〜。そこに金印がしまってあるのよ〜〜」
「ああ、シンダラで着地する途中で見かけたあのピラミッドみたいな山か……」
 あそこまで繋がっている通路……さすが金持ちだな……
「簡単に入れないように結界が張ってあるの〜〜横島さん〜〜穴開けて〜〜」
「了解!下がっててください冥子さん!」
 俺は草薙の剣を構える。
「奥義!花吹雪の舞!」
 声とともに剣を剣を右下から左上に切り上げ、今度は右上から左下に、それを三回繰り返して最後に深く結界に突き刺す。
 バシュシュシュ!!!!
 音を立てて結界は消え去った。
「帰るときに塞ぐのを忘れないでね〜〜」
「へいへい……」
 俺と冥子さんは階段を下り通路を歩く。
「そうだわ〜〜!横島さん〜〜横島くんって呼んで良い〜〜?」
「へっ?なんで!?」
 俺は冥子さんの突然の言葉にびっくりする。
「だって〜〜横島さんだと〜〜他人行儀みたいでしょう〜〜。だから〜〜横島くんって〜〜呼びたいな〜〜♪」
「……まあ、別に構いませんが……」
 呼ばれ方が変わるだけだしな…… 
「そのかわり〜〜私のことも冥子ちゃんって〜〜呼んで良いわよ〜〜」
「……えっ!?」
 マジですか冥子さん……
「いや……でも冥子さんは、年上だし……俺の雇い主だし……それはマズイんじゃ……」
「駄目〜〜!!冥子ちゃん〜〜!」
「いや、だから冥子さん……」
「冥子ちゃん〜〜!!」
「…………」
「冥子ちゃん〜〜!!!」
「冥子ちゃん……」
 ま、負けた……俺が話術で………
「えへへ〜〜それじゃ〜〜先を急ぎましょう〜〜横島くん♪」
「へ〜い……冥子ちゃん……」
 冥子ちゃんは上機嫌に、俺はテンション低く通路を歩いた。



 しばらく通路を歩くと…… 
「うわっ!」
 いきなり俺が乗せた足の床が少し下がる。
 ギギギギギ!ビュン!!
「どわああああ!!」
 罠が発動して、俺の顔の前を大きな刀が通る。
「気をつけて〜〜あちこちに罠が仕掛けてあるわ〜〜」
「それを早く言ってくださいよーー!!だいたい何で罠なんて仕掛けてあるんだよ!!」
 俺は冥子ちゃんに顔を近づけて怒る。
「だって〜〜これがお父さまの趣味なの〜〜」
 そのお父さまに一度お会いしたいもんだよ……



「……でここで分かれ道になってますが……どっちなんですか?」
 俺は道が分かれているため冥子ちゃんに聞く。
「う〜〜んと〜〜え〜〜っと〜〜多分こっちよ〜〜」
 ……多分って……おいおい……
 俺達はとりあえず冥子ちゃんが差した左の方を進む。すると……
「まあ〜〜ウサギさんだわ〜〜」
 え〜と、ウサギです……不思議の国のアリスに出てくるウサギみたいに可愛い奴が出てきて向こうに走っていきました。
「まって〜〜ウサギさん〜〜!!」
 冥子さんはウサギを追いかける。
「ちょ、ちょっと!冥子ちゃん、待ってください!!」
 俺も冥子ちゃんの後を追う。
 しばらくウサギは走り、ある通路で消える。
「あれ〜〜?ウサギさん、何所行ったの〜〜?」
「消えちゃいましたね……」
 なんか、おとりみたいだな……とある通路に誘い込んで……俺だったらこの後は……
 ゴゴゴゴゴゴゴ!!!!
 やっぱり予想通りだ!この音は、ローリングストーン!!
「冥子ちゃん!逃げますよ!!」
「へっ!えっ〜〜!?」
 俺は冥子ちゃんをお姫様抱っこして走る。
 後ろを振り返ると、岩が迫ってくる。
「うげっ!マズイな……」
 俺はしばらく走るが横道もなく、さらに前の通路に上から壁が落ちてきて塞がれる。
「ここは〜〜私に任せて〜〜!」
 冥子ちゃんは俺の腕から降りる。
「任せる任せるから早くして!!」
「は〜〜い!ビカラちゃ〜〜ん!出ておいで〜〜」
 冥子ちゃんは言うが……
 シーン……
 何にも起こりません。
「あの……冥子ちゃん?」
「あ〜〜!!そういえば〜〜式神ちゃん達は〜〜お母さまと一緒に行っちゃったんだったわ〜〜てへっ!」
 ゴゴゴゴ!!ドカーーン!!
 冥子ちゃんが言った直後、俺達は岩に激突した。

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