ザ・グレート・展開予測ショー

彼の大きさ(2)


投稿者名:ANDY
投稿日時:(03/ 1/24)

 そこはまるで音が存在しない世界のようだった。
 いや、テレビから漏れる音は確かにある。が、それでも暗い空気が音を吸い込んでいるようだ。
 ここは美神除霊事務所の一室。
 時刻はもう昼に差しかかっていたが、今ここには四人の女性がいた。
 美神令子、氷室キヌ、犬塚シロ、タマモの四人だった。
 特にオキヌとシロの二人の目は赤く腫れており、ついさっきまで泣いていたことがわかる。美神は窓の外を睨んでおり、タマモも天井を睨みつけていた。
 つい数時間前に耳にした知らせが大きな衝撃を与えていた。
―ガチャ―
 そんな中ドアが開けられた。入ってきたのは―
「ママ!西条さん!」
 入ってきたのは美神の母の美智恵と、最近落ち目の西条の二人だった。
「今帰ったわ、令子」
「やあ、令子ちゃん」
 二人は事故の知らせを聞きすぐさま現場へと行っていたのだ。
「せ、先生は?!もちろんご無事でござるよなあ?!」
「横島さんは?!」
「横島は無事?!」
 シロとオキヌとタマモの三人は美智恵に詰め寄った。
「落ち着きなさい。三人とも」
 美智恵がなだめているところにテレビから事故についての続報が出てきた。
『―昨日起きた飛行機事故についての続報です。つい先ほど現場からの情報によると、飛行機は奇跡的に海面着陸が成功し、乗客乗員は救命艇に乗っているところを救助されました―」
 この知らせを聞き四人の顔に笑みが浮かんだ。が、次の言葉で笑みは奪われた。
『―なお、事故原因は乗客の話によると悪魔数体が突如表れ、飛行機のエンジンを破壊したため墜落したとのこと。なお、その時飛行機にたまたま乗り合わせていたGSの横島忠夫さん(18)が悪魔を倒したとのことです。なおその際に、横島さんは悪魔と一緒に飛行機から落ちたとのことです。横島さんの安否が心配されています。繰り返しお知らせいたします。昨日起きた―』
 それ以上の言葉は誰の耳にも入らなかった。
 ただ、『悪魔』『落ちた』『安否が心配』の言葉だけが回っていた。
「うわあああああああああああああああああーーーーー!!!!」
 誰が上げた声だかはわからないが、悲しみの叫び声が響いた。

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