ザ・グレート・展開予測ショー

モンスタースイーパー (その8−1)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/ 1/24)

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モンスタースイーパー (その8−1)



「えっと、薬草50枚に、毒草35枚、トカゲの尻尾1本に、亀の甲羅・・・・。」
メモを見ながら、横島は道を歩いていた。
買出しを頼まれ、数km先の妖物屋へと向かっているのである。
シロがついて行きたいと言ったが、横島は拒否した。
買い物に行くついでに、フルマラソン並みの距離を散歩しなくてはならないのである。
いくらゴキブリ並みの生命力を持つ横島でも、それは過酷なものであった。
ポカポカ・・・・
日光が暖かく感じる。
横島は空を見上げた。
雲ひとつない、素晴しい青空である。
横島は、今までのことを思い出す。
ここへ来て、早や1年。
現代世界では、まだ6分しか経っていないが、横島には長く感じられた。
しかし、RPGの世界に来ても、現代世界とは何も変わらない。
変わったことといえば、知り合いがキャラクターになってたり、魔法などがあり、モンスターがいる。それだけである。
「・・・・・待てよ。」
横島は、不意に足を止めた。
「RPGというのは、最近では主人公とヒロインがいないと成り立たない・・・・。ということは、いずれ俺の目の前にヒロインが現れる!?ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
歓喜する横島。
「ヒロインの王道パターンと言えば王女さま!ってことは、俺はお姫さまと・・・・・。」
頭の中で妄想が行われる。
無論、いつものパターンで、最終的には、王女を押し倒すことになっている。
「えへ、えへへへへへ・・・・・。」
思わず、顔がにやける横島。
近くに人がいたら、変人だと思われること必死である。
その時である。
近くで、少女の悲鳴がする。
それを聞いた横島は、この声の女性が何歳であるか、瞬時に推測する。
(若々しい乙女の声・・・。この声のトーンから察するに・・・、16歳の少女!!よし、ロリコン範囲には入らん!!)
グッとガッツポーズをした横島は、韋駄天の速さで、悲鳴のした先へ向かった。



逃げる少女。
それを追いかける男達。
少女は、外見から見て、15歳から17歳くらいの美少女で、
男達のほうは、人目見て、悪人だと分かるような、30代から40代くらいのオッサンだった。
息を切らしながら走る少女。
「あっ!」
落ちていた石に、足が躓き、その場で転んで倒れてしまった。
「へっへっへっへ・・・・・。もう逃がさねぇぜぇ。」
犬のように舌を出し、ニヤニヤと笑う男。
黄色い歯がテカテカ光っており、不潔なことこの上ない。
「い、イヤ・・・・。こないで・・・・。」
徐々に近づいてくる男達に訴える少女。
無論、そんなことを男達が聞くわけがない。
聞いていたとしても、従わないことは明白である。


「ちょっと、待ちな。」
「だ、誰だ!!」
三流の悪人が言いそうな台詞を男が言うと、木の陰から、横島が現れる。
「1人の可憐な少女を、男3人で襲うなんて、クズのすることだぜ。」
クサい台詞を言う横島。
心の中では、すごく恥ずかしく思っているのだが、とりあえず我慢している。
「な、何だとっ!?」
「ふざけやがって!!」
「死にてぇのか!!」
すでに用意されたかのような台詞を言う男達。
彼らは、短剣を抜き、横島に襲い掛かる。
横島は瞬時に、両手に霊波を溜める。
「サイキック猫だましハイパー!!」
バチンッと手を叩く横島。
その瞬間、辺りを閃光が包む。
「うわっ!?」
突然の閃光に眼を瞑る男達。
そのスキに、横島は少女を抱き上げ、その場から逃げ出した。



「ふぅ・・・・。なんとか逃げ切ったか。・・・・ん?」
横島が下を向くと、少女が顔を赤くしていた。
無理は無い。
何せ、横島は少女の両脚を左腕に、背中を右腕に・・・。
つまり"お嬢様ダッコ"をしているのである。
「え?あ?ご、ゴメン!」
慌てて、少女を下に下ろす横島。
「・・・・・あ、あの、有難う御座います。」
ペコリと頭を下げる少女。
「い、いや、別に・・・・。ん?足、ケガしてるじゃないか!」
「え?」
少女の膝に、擦り傷が出来ていたのを見て、横島は言った。
「あ、逃げる途中で転んじゃって・・・・。」
「ちょっと座って。」
「え?は、はい・・・・・。」
言われた通りに、その場で座る少女。
横島はバンダナを外し、妖物屋に行く前に買った酒を、そのバンダナにつける。
そのバンダナを、少女の傷口に巻きつける。
「これでよしっと。もう大丈夫だよ。」
ニコリと笑う横島。
その顔に、少女はまたも顔を赤くする。
無論、どうして顔を赤くしているのかなど、鈍感な横島が分かるわけがない。
「それじゃ、俺急ぐから。」
横島は立ち上がり、スタスタと歩き始める。
「あ、あの!」
少女は叫んだ。
「ん?」
「あ、貴方のお名前は・・・・?」
「横島。横島忠夫って言うんだ。君は?」
「セリーヌ。セリーヌ・アースノイドです。」
「ふぅ〜ん、セリーヌか・・・。可愛らしい名前だね。」
「い、いえ・・・・。」
また顔を赤くする少女。
「じゃ、気をつけて帰れよ。」
「あの!」
「ん?」
横島は振り返る。
「また、会いましょうね・・・・。」
「あぁ。いつかな。」
ニコリと笑い、走り去る横島。
その後姿を、少女は見惚れていた。

この少女こそが、今回の美神たちが受ける依頼の重要人物。
そして、アースノイド王国国王バリアナ・アースノイドの一人娘である・・・・。

続く・・・・。

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