ザ・グレート・展開予測ショー

神として時に女(ひと)として2


投稿者名:ジャン
投稿日時:(03/ 1/24)

「いくつか注意しておくことがある、小竜姫」
「何でしょう?老師」
 今、蒼い光が彼女を包み込んでいる。
「まずは知ってのとおり神通力。並みの人間のGSよりは遥かに上のレベルだが、今までのように魔族と互角に渡り合うのは不可能じゃ」
 光の中小竜姫の角が抜け落ちる。老師はそれを拾い上げ、
「再び神族に戻りたいときは、この角を再び頭に着けるとよいだろう。ただし、もう二度と人への転化ができなくなるがな」
「・・・わかりました。でも、それは無いでしょう。
 私は何が起ころうと、人間『妙神竜美』として生きていきます」
「そうなるといいが・・・」
 老師は彼女が転化するとどうなるか推測がついていた。
 彼女を狙う刺客がごまんと現れるだろう。
 それが、どんなに険しい道かを。

 その日、東京では嵐の前の静けさというか、何事も無く平和であった。
「暇だわ!いったい何故?」
 美神令子はいつものように机に座り依頼を待った。
「ここ二、三日まったく依頼が無い。それどころか、悪霊の気配すらないじゃないのよ!!」
と、怒鳴り散らす。普段は彼女を抑えるはずのおキヌちゃんも今は出かけているため、そのとばっちりはシロ、タマモの動物コンビが受ける羽目に。
「ちょっと!あんたたち!悪霊を探してきなさい。ついでに依頼人と、報酬を!!」
「そ、それは無理でござる」
「そうそう」
 二人は軽く答える。
「うう!暇なのよ!!」
 コンコン!
 ドアをノックする音が聞こえ一人の女性が入ってくる。
「お邪魔します」
「あんた、小竜姫?でも、何か雰囲気が違うわね?」
「ええ、実は私、人間になったんです」
と、笑顔で答える。
「へ?」
 固まる三人。
「何のために?」
「そ、それは秘密です」
 美神令子は頭をフル回転させた。
『神族が人間に?私なら神族になれるなら、何でもするのに?!いったい何故?』
 その理由が美神がもっとも危惧する事だとは気付きもしない。
「ま、まあいいわ。それで、何の用?」
「はい、実は私学校に通おうと思うんです。私の年なら、確か高校三年生になると思うんですが?」
「どう見ても二十歳超えてると思うでござるが・・・」
 その時、小竜姫の笑顔が急変する。
「わ、悪かったでござる!!」
 シロは尻尾を丸めてタマモの後ろに隠れる。
「あんた、馬鹿?」
 タマモの冷たい囁き。
「それで、そのついでにここでアルバイトとして雇ってもらえませんか?」
「へ?」
 美神は真剣に考え込む。
『人間になったとはいえ、もと神族よ?もし、GSとして戦力に加わればその力は壮絶になる。上手くいけばこの事横島クンの二人に仕事を任せて、私は優雅に・・・』
 自然と邪悪な笑みがこぼれる。その顔を見てしまったシロはさらに尻尾を丸くする。
「いいわ、雇いましょう!ただし、給料はそんなに安くないわよ?」
「ええ」
「で、住む所は?」
「それなら、もうアパートを見つけていますから」
「そうなの」
 意外と行動が素早い。
「で、高校はどこにするの?何ならおキヌちゃんの通っている高校紹介するけど?」
「いいえ、それももう考えています」
と、微笑んだ。
 その笑顔に隠された想いを美神は気付いてはいなかった。後にとんでもない事件に繋がるとは・・・。

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