ザ・グレート・展開予測ショー

MADE IN HAVEN


投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 1/23)


女はホタルのように現れた。

その女を愛した男がいた。

二人は自分たちの幸せが続くと思っていた。

だけど、女は散っていった。

男は一人の女さえ守れなかったと後悔した。

男は自分を責めた。責めて責めて、自分を憎んだ。

来る日も、来る日も、自問自答を続け、終わりの無い考えを巡らせる。

周りの人間はとても心配した。

男は自分の体を痛めつける事によって紛らわそうとした。

でも駄目だった。

男の精神はだんだん曇っていった。

誰もが彼の事を見て危ないと思った。

そして、男は発狂した。



誰が男を呼んでも返事しない。

男は虚空を睨み今は亡き恋人の名前を呟くだけだった。

そしてどんどん衰弱していくのだった。

友人達は何とかして彼を立ち直らせようとするが何しても無駄だった。



ある日、男は崩壊した精神の中である光を見つけた。

儚い光。でも、暖かい光。

とっさに男は何もあるはずが無い虚空に腕をのばし、亡き恋人の名前を叫んだ。

光はだんだん近づいてくる。

男は知らぬうちに涙を流していた。

光の中には愛した女がいた。

でも、彼女は死んだはず。

男は「なぜ、お前がいるのか?」と聞いた。

女は「あなたを救うために来た」と言った。

男は女に自分が思っている事をすべてぶちまけた。

自分はお前を見殺しにしてしまった事、お前がいない世の中に何も光を見いだせないと言う事。

慈母のように微笑んでいた女はその答えに対して約束を守らなかった自分が悪い。あなたは自分に十分尽くしてくれたと言った。

そして、女はあなたの帰りを待っている女性達、友人達、ライバル達がいる事を告げる。

そしてあなたの帰る場所はそこであると。

男は離れる事を拒んだ。もうお前を失いたくないと。

女は微笑んでいった。来世が待っている。その時に一緒になりましょうと。

そしてありがとうと言って消えていった。

男の胸から重しがとれた。



男が気がついた時、彼は病室のベットで寝ていた。長い間寝ていたようなそんな感じだった。

周りを見渡すと一人の女性が傍らで寝ていた。看病していて疲れたのだろう。

女性が気がついた。見る見るうちに表情が変わっていく。最初は怒った顔。次はうれしそうな顔。最後は泣きそうな顔だった。

「気がついたの、気がついたのね、横島クン。心配したんだから!!」

「すみません、迷惑かけました。」

男の顔はすっきりとしていた。もう迷いが無いと言う表情。

彼を立ち直らせてくれたあの光は天国からの贈り物だったのかもしれない。

男は決心した。

お前の分まで幸せになってやる。そして来世に会おう。それでいいだろ、ルシオラ?

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