ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―5後半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 1/20)

<前半からの続き>


「ちょ、美神さ・・・」
「おキヌちゃん待った!」

―― ピッ、ピッ、ピッ ――

話し掛けたおキヌちゃんを制すと、美神はすかさず短縮ダイアルを押す。

―― トゥルルルルルルルル、ピッ ――

『はい、美神・・・』
「ママっ!!」

電話が繋がった先は彼女の母、美神美智恵の携帯電話。美智恵の返事ももどかしく、美神が話す。

『ちょ、令子?どうし・・・』
「横島君が見つかったのっ!!」
『何ですってっ?!』

娘の慌てぶりに何事かと身構えた美智恵だったが、その一言で娘程ではないが動揺してしまった。

『それで、彼は何処にいるの?!無事なの!!?』
「電話があったの!成田空港にいるって!オカルトGメンって確か税関にも派遣されてたわよねっ?!」

それだけで娘の言いたいことは全て理解できる。美智恵は切れ者として名高いオカルトGメンの指揮官なのだ。なにより血を分けた母娘である。お互いの思考パターンには随所に類似性が見られるし・・・・・・娘が何を言いたいのか、それにどう答えるべきか、美智恵は全く無駄なく切り返した。

『OK、まかせて。彼の身柄は直ちにオカルトGメンが拘束するわ。ちなみに第一、第二どっちなのかは分かる?』
「ううん!分かんない!」
『そう・・・ん、大丈夫。その辺は任せて・・・で、直ぐ行くんでしょ?足は?』
「ヘリを呼ぶわ。」
『分かったわ。私も直ぐそっちに行くから。』

―― ピッ ――

まさに阿吽の呼吸。母娘の会話は30秒で終了した。

―― ピッ、ピッ、ピッ ――

「もしもし!美神令子よっ!10分でうちの事務所の屋上までヘリを1台よこしなさい!お宅ならこの近辺を飛んでるヘリの1台や2台くらいあるでしょう?ああぁっ?!乗ってる客なんざここに下ろして、後で別のヘリで迎えに来ればいいでしょうがっ!?舐めたこと言ってると悪霊ぶち込むわよっ?!!とにかく10分っ!!遅れるんじゃないわよっ!!!」

―― ピッ ――

ちなみに相手は民間ヘリ会社。

―― ピッ、ピッ、ピッ ――

「もしもし?美神令子です。今日の依頼、キャンセルさせて下さい。確か第2希望日が有りましたわよね?そっちでお願いします。え?突然困る?じゃあキャンセルしますか?勿論キャンセル料はそちら持ちになりますよ?ちょっと待て?それが、ちょっとも待てません。結論が出たら事務所の留守電にメッセージでも入れといて下さいね♪」

―― ピッ ――

「ふう・・・」

ここまで一気に突っ走って、ようやく一息つく。
と、

「横島さんなんですか?!横島さんが見つかったんですかっ?!!」
「せんせい、せんせいは何処でござるっ?!直ぐに行くでござるよっ!!」
「ヨコシマはっ?!ねえ、ヨコシマは無事なのっ!?」

お預けを食らっていた3人が、今度こそ美神に掴み掛っていった。

「横島君からの電話だったわ。今、成田空港にいるって言ってた・・・それ以外は分からないわ。」

美神が口にするのは、電話口で聞いていても分かったような事だけでる。

―― バタン ――

荒々しくドアを開けて、美智恵が入ってきた。息も荒い。

「ハァ、ハァ・・・・・・成田税関と警備の人間には連絡したわ・・・後は返事待ちよ。」

右手には携帯電話を持ったままである。

「他のみんなの所には、西条君に連絡してもらっているわ。」

横島が失踪した事で気を揉んでいたのは、事務所のメンバーだけではない。彼と関わった人間は、多かれ少なかれ彼の事を心配していたのだ。
ただ心配しただけではなく、その捜索にだって参加している。
当然その安否を気にしている筈であり、一刻も早く情報を届けるべきだと判断したのだ。

―― ブルブルブルブルブル ――

「ん、来たわね!みんな、行くわよ!!」

ローターの音が聞こえると、美神は真っ先に駆け上がって行く。その後ろをシロ、タマモ、おキヌ、美智恵の順で追いかけていった。

―― ブルブルブルブルブルブル ――

「あんたなぁっ!!客の乗ってるヘリを止めさせるっちゅうんは、どう言う了見なんじゃーー?!!非常識にも程が有るっちゅうねーーーんっ!!!」

今回の徴発に引っかかった不幸な客が、開口一番美神に向かって文句をたれる。
彼は全く持って正しいことを述べているのだが、しかし彼の行動は明らかに間違いだった。

「・・・降りろ・・・」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさいっ!!すぐっ、直ぐに降りますぅっっ!!!」

美神は決して声を荒げた訳ではなかった・・・・・・
しかしその体から滲み出る霊圧は、既に一般人の目にすら見える程だったかも知れない。
哀れな彼はコンマ秒でヘリから飛び降りた・・・・・・それ以外の選択肢は、全て極楽に繋がっている・・・・・・彼はそう理解したから、だから飛び降りた。

―― ブルブルブルブルブル ――

「成田空港まで超特急!とにかく急げ!!」

普段なら、おキヌや美智恵が彼女の暴走を止めるのだが(結果はともかく)今回ばかりはそれは無い。何故なら、行動自体は美神に任せてはいるが・・・おキヌと美智恵も半分以上暴走していたからだった。
無論、シロとタマモも同じくらい暴走してます。
心の臨界点まで後わずか、メルトダウンに向かってカウントスタート・・・
そんな暴走集団を乗せたヘリは・・・・・・

・・・・・・一路、成田空港を目指す。

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