ザ・グレート・展開予測ショー

帰ってきた横島 ―5前半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/ 1/20)

都内某所にその建物は存在する。

―― 美神令子除霊事務所 ――

「じゃあ、そろそろ出かけるわよ。みんな準備は良い?」

日本で現役最高GSと目される、美神令子女史の事務所だ。
現在の所属メンバーは所長の令子を含めて4人・・・

「私はオーケーです。美神さん。」

氷室キヌ。
もともと300年前に死んだ幽霊だったが、ある事件をきっかけにして現代に蘇ったという、かなり数奇な運命の持ち主である。
尚300年もの間幽霊をしていたという経験から、感覚的に霊体というものに精通しており、幽霊の心が理解できるという特技を持つ。
その特技は非常に強力なもので、「ネクロマンシーの笛」が吹けるほどである。(ネクロマンシーの笛については各自で文献を調べてもらいたい)
現在は六道女学院の霊能科という、未来のGS養成の為に日本中からエリート達が集められている学校に通う2年生。なんとかかんとか授業にもついて行ける様になった・・・・・・らしいです。

「拙者も大丈夫でござる。」

犬塚シロ。
人狼。犬神族の少女。
人間社会からは隔絶された人狼達の集落で育つが、やはりとある事件で美神事務所と関わりを持つことになった。
現在は美神事務所に居候しており、また同時にGSの見習修行として事務所でアルバイトをしている。

「わたしも行くの?」

タマモ。
金毛白面九尾の妖狐。前世は玉藻前という絶世の美女だった模様。
伝説では「傾国の妖怪」として恐れられているのだが、実際は頭の固い人間が後付ででっち上げたエイトハンドレッドライだった・・・・・・と最新の歴史、民俗学で発表されている。
当初は無闇に追い立てられたという経緯から、人間を全く信用していなかったのだが、最近はようやく軟化してきた。
ほんの少しですけどね。
タマモもシロ同様アルバイトとして除霊に参加しているが、別にGSになる気は無くほんの小遣い稼ぎでやっている・・・

「今回は・・・・・・・・・あんたも手伝いなさい。」

そして所長の美神を加えた4人が現在の「美神令子除霊事務所」のフルメンバーである。
美神の能力はズ抜けているが、他の3人も決して能力が低いわけでなく、そんな事務所のフルメンバーで行うということは・・・

「何・・・やっかいな相手なの?」

タマモがそう聞き返した。

「それなりに大物よ。」

美神がそっけなく切り返す。

「あっそ・・・・・・・・・じゃあ行くわ。」

自分で聞いておきながら、あまり関心無さげにタマモは椅子から立ち上がる。
それが合図だったように、残りの2人も立ち上がった。
・・・・・・と、

―― トゥルルルルルルル ――

「あ、電話・・・」

タイミングよく事務所の電話が鳴り出す。

「ああ、いいわおキヌちゃん。私が出る。」

一番受話器に近かった美神が、取ろうとしたおキヌを制して電話に出た。

「はい、美神令子除霊事務所。」

『もしもし・・・あ、美神さんですか?』

電話口から聞こえてきたのは、若い男の声。

「ん?・・・・・・誰?」

美神は声の主を特定できずに、そう聞き返す。ただ、何処かで聞いた声だというのは分かった。最近じゃ無い・・・・・・もう少し前に確かに聞いた事のある声・・・・・・・・・

『はは・・・・・・・・・あの、どうも。えと・・・横島です。』

―― ?!! ――

「横島君っ?!!」

「えっ!?」
「なっ?!」
「!!」

思わず叫んだ美神の声に、外へ出ようとしていた全員の動きが止まる。瞬間的に振り返ったその表情は、どれも驚愕に満ちていた。

『え・・・えと、はい。その・・・・・・お、お久しぶりです。』

事務所の面子の声が聞こえたようで、横島はちょっと引いたように挨拶をする。ただでさえ1年もの長期間行方を眩ませていたので、電話の相手に何を言われるかビクビクしていた・・・という理由も有った。

「横島さんなんですかっっ!?」
「せっ、せんせいでござるかぁっ?!」
「ヨコシマなのっ!!?」

3人は一斉に美神が持っている受話器に殺到すると、全員が全員同時に同じ質問を投げる。

「ストォッップッ!!!」

今にも電話を奪ってしまいそうな3人を、こちらも鬼気せまる表情の美神が押しとどめた。
一瞬だがビクッとなって固まった3人・・・
美神はその隙に話を続ける。

「横島君っ!あんたっ・・・」

と・・・勢いに任せて話そうとして、美神は何を言うべきなのか逡巡した。
聞かなければいけないこと、言わなければいけないことが余りにも多すぎて・・・果たして何から口にすれば良いのか判らなくなったからである。

―― 今、一番聞かなきゃいけない事は ――

それでもすぐ思考をまとめると、

「あんた今何処にいるのっっ!!?」

受話器に向かって叫んだ!

『うわっ!え・・・あの、美神さん?』

美神の鬼気は、電話線を通して横島の耳に叩き込まれる。それはもう、欠損無く。

「いいからっ!!何処にいるのぉっっ?!!」
『なっ、成田空港ですぅっ!!』

一年間離れていても、やはり体は覚えているのだろうか?
横島は反射的に答えた。

「成田空港ねっ?!直ぐに行くからそこで待ってるのよっ!!」
『えっ?あ、あの・・・美神さんっ?』

横島は困惑している。

「いいから!あんたはそこを動くなぁっっ!!!!」

―― ピッ ――

だがその困惑を物ともせずに、美神は必要最低限過ぎる言葉を・・・一方的に言い放ち電話を切った。


<後半へ続きます>

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