ザ・グレート・展開予測ショー

恋人騒動


投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 1/20)


これは「エルドラド」3部作のおまけです。
令香ちゃんに彼氏がいることが横島にばれてしまったわけですが、これはそのお話しです。
なにげにTHE SHOW MUST GO ON(後編)から続いています。


「だから落ち着いて聞きなさいって言っているのに。」
ルシオラは令香に彼氏がいると聞いて暴走した夫、横島をしばいてそう溜め息つきながら言った。
一方横島はルシオラの足下で頭から血をドクドクと流していた。
「お、お父さん、大丈夫?」
令香はいくら見慣れた光景とはいえ心配でならなかった。心優しいところが名付け親と違うところだろう。
「姉さん、ほっといたって大丈夫だよ。知ってるだろ?父さんはゴキブリ並の生命力の持ち主だって」
「忠逸、なんて言い草だ、父さんは悲しいぞぉ〜〜!」
いつの間にか復活した横島は忠逸の頭をグリグリとかめこみをゲンコツで締めつけた。痛い事、この上ない。
「いでででで!!蛍子、助けてくれ!」
「お兄ちゃん、自業自得。」
「そんなぁ〜〜〜!」
リビングには家族の笑い声が響いていた。

「で、令香の彼氏はどんな奴なんだ?」
「う、何でそんな事を聞くのよ〜」
ソファに座って横島は令香に尋問を始めた。
「別に普通の奴よ。そこらそんじょのお軽い男じゃないわ。」
「母さんは誰だか知っているけどね。」
「ええ?!母さん知っていたの?秘密にしてきたつもりだったのに……」
「最近のあなたの行動おかしいと思っていたんだけどね、あなたを起こそうとしたら寝言で『弓君』なんて言っているんだもの」
その言葉を聞いて令香は顔を真っ赤にして口をぱくぱくしていた。
「弓?誰だ?」
横島は何だかさっぱりと言ったところだ。
「あら、お父さん鈍いようね。ほっといて弓君てどういう子なの?」
「うう、母さん会った事あるじゃない。」
「あるけど、どういう子なのかもっと知りたいのよ。付き合っている子の事知っていても良いでしょ?」
ルシオラは令香に有無言わさないという圧力がある笑顔を向けている。
令香はすっかり降参したようだ。
「彼もGS目指しているようだけれど、はっきり言って私の方が上よ。そのくせに態度はえらそうにしているんだけどね。」
そこまで言って令香は微笑んでその『弓君』について語り始めた。
「でも、はっきり言って彼、根は優しいのよね。何だかんだ言っても私の事を気づかってくれるし、昔からご両親が忙しかったせいもある見たいけどマザコンみたいなところもあるのよね。」
横島は『マザコン』と言うところでぴくっと反応した。
「この間なんて弓君は私のスカートについた汚れを必死でとってくれたし。母さんも見たでしょ、あの泥の跡。不器用だから広がっちゃったけどね。」
その頃、横島は娘の話が耳に入ってなかった。
(マザコン?態度がえらそう?そして弓?だとしたらあいつしかいねぇよな。でも、まさかな、まさかだよな!)
考えが混乱していたところに衝撃の言葉が耳に入ってきた。
「たまたま弓君のお父さんに会ってね。小父さんったらお父さんの事を『あいつは昔からのライバルだったんだ。』なんてね。かなり熱血なところがあったわ。」

確信した。横島は確信した。娘、令香の相手が間違いなく自分の親友且つ、ライバルである事に。
「雪之丞の息子かぁ〜〜〜!!!」
突然の絶叫と共にソファから立ち上がった横島を見てびっくりしている二人。
「くそぉ〜、俺の娘を誑かすとは、許せん!!」
「ちょっとお父さん、落ち着いて!!」
「あなた、ダメですよ、暴れては!」
「うるさい!これから雪之丞のところに行って後の憂いを絶つ!」
ギャーギャー騒ぐ横島、それを止めようとしているルシオラ。忠逸と蛍子はその様子をぼう然と見ている。
一方令香はうつむいて肩をふるふると震わせていた。そして、
「お父さん!弓君の事を悪く言わないで!!」
ついに怒鳴ってしまった。
「弓君は私にとって大切な人よ!!その弓君を悪く言う事はたとえお父さんでも許さないわ!」
自分が言ってしまった事に気がついて顔を赤らめたがさらに続けた。
「いつもはお父さんは私たちの事を心配してくれている。それは分かっているし、感謝しているわ!でも、少しぐらいは私の事や、弓君の事を信用してよ!」
さらに令香は続けようとしたが、横島が抱きしめてきたので言えなかった。
「ごめん、令香。ちょっと大人げなかったようだ。お前や忠逸、蛍子の事を心配しているつもりだったんだがな。かえっていらん心配をかけていたようだな。」
そう言って横島は令香の事を離して彼女の顔を見ていった。
「今度、家に連れてきてあげなさい。その時は歓迎してやるからさ。」
令香はちょっと罰悪そうに
「怒鳴ってごめんなさい」
と謝った。
「良いんだよ」
と横島が令香の頭をなでると令香の顔は笑みで満ちあふれた。
「さて、その時が来たらケーキ焼いてあげなきゃ。」
ルシオラは令香に微笑んで言った。
「その時は手伝いなさいね。」
「うん!」

やれやれ、令香ちゃんの恋人騒動はどうにか収まったようです。

だけど、その後、雪之丞は正体不明の奴に襲撃されて簀巻にされたそうな。あわれ。

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