ザ・グレート・展開予測ショー

『で〜と』 SIDEシロ


投稿者名:ブラックキャット
投稿日時:(03/ 1/20)

「先生!!今日は散歩じゃなくて『で〜と』するでござる!」

大好きな先生の元へ押しかけ、拙者が勇気を振り絞って言ったのはその台詞でござった・・・。



拙者の我侭で連れて来て貰ったデジャブーランドで、先生と一緒に遊ぶ。
ただそれだけの事なのに、拙者の心臓は既に馬車馬の如く働いているでござる。
それを誤魔化す様に一生懸命遊び倒す。
この『で〜と』の最後にある事をすると決心した今日。
拙者は多分硬い表情になってしまうから・・・無理にはしゃいで先生と遊ぶ。
ブツブツと先生が何か言っていたので先生の方を見る。
すると先生はなんでもない。と言って誤魔化した様でござるが・・・拙者と遊びに来るのは嫌だったのでござろうか?
そう考えると心が重くなる。

「先生?そんなに拙者の体を見て・・・何かあったのでござるか?」

ふと視線を感じ、そちらを見ると先生でござった。
先生に見られていると言うだけで拙者の体は熱くなる。
平静を装ったつもりだが上手くいったでござろうか?
兎に角、誤魔化したくて視界に入ったジェットコースターを指差してアレに乗りたいでござる!と言ってみた。
先生はちょっとだけ考え込み。

「うし、行くか!」
「はいでござる!!」

と、言ってくれたでござる。
つい嬉しくて尻尾がパタパタと動いてしまう。
こればっかりはどうにも出来ないでござるよ。
さり気無く。という風に先生の腕を取り、ドキドキを誤魔化す為にしきりに前の方を確認する。

「も少し落ち着けよ、シロ。急いだって変わんないんだからさ」
「う〜〜、でも拙者楽しみで楽しみで・・・先生は楽しみではござらんか?」

誤魔化せたのはいいでござるが、先生の言葉に思わず本気で泣きそうになる。
けれど、さり気無く自分の胸を押し付けてのアピールも忘れないでござる。
確か下の方から上目遣いで覗き込むのがいいのでござったな・・・。

「楽しみだ!楽しみに決まってんだろ!」

先生が、ちょっぴり強めに言った後に頭を撫でてくれ、幸せに浸る。

「クゥ〜〜ン♪」

思わず甘え声が出てしまうでござる。もう無意識でござるな。
暫らくして先生の撫でてくれている手が止まったので、何事かと思って視線を周りに動かすと・・・拙者達が列の流れを止めていたでござ

る。
うう・・・恥ずかしいでござるよう・・・・・・。
先生と一緒に進んだ列に追い着く。
・・・乗れた頃には“すとれす”で拙者、気分が優れなかったでござる・・・。
その後は特に問題も無く、先生も楽しんでくれていたみたいなので良かったでござる。
そして・・・最後に遊ぶアトラクション。
拙者の我侭で、観覧車にしてもらったでござる。
この観覧車のてっぺん付近で・・・拙者は・・・拙者は・・・勇気を振り絞って・・・・・・。

「しかし・・・シロが最後に観覧車に乗りたがるとは思わなかったな。てっきりジェットーコースターにでも又乗りに行くかと思った」
「そ、その、別にいいではござらんか・・・観覧車だって捨てたもんじゃないでござるよ」

うう・・・・緊張でなんだか上手く喋れないでござる。
ほっぺが熱い・・・多分拙者の顔は赤くなってるでござる。

「先生は・・・今日一日、どうでござったか?・・・楽しんでくださったでござるか?」
「ん?ああ・・・楽しかったよ」
「その・・・無理矢理連れてきてしまって・・・迷惑ではござらなかったか?」
「どうしたんだ?普段はそんな事言わないくせに?」

どこと無く不安になって、自分の決心を誤魔化す様に訊いてみる。
けど・・・このまま誤魔化している訳には行かないでござる。
今一度・・・
拙者のありったけの勇気を振り絞って・・・
先生に・・・
言わねば・・・・・・

「拙者は・・・」

期待と不安が拙者の中で暴れまわる・・・

「その・・・・・・」

夕日の中・・・拙者は・・・

「先生は・・・」

言わねば・・・ならぬ。
・・・変わる為に・・・自分の心に決着をつけるために・・・

「先生!!お話があるでござる!!」

否定されても・・・それでもいい・・・このままじゃ拙者はダメになってしまうから・・・。

「何だ?」

言うでござる・・・心が叫ぶままに・・・!

「拙者・・・・・・先生の事を・・・先生の事を女として好きでござる!!
愛してるでござるよ!!先生は・・・拙者の事をどう思ってるでござるか?!」

沈黙。
その言葉が恐らく今のこの状態を表すのに一番あっている様に思うでござる。
けれど時間が経つごとに拙者の心にあった期待が徐々に不安へと変わっていく。
そして・・・先生の目からこぼれ落ちる一滴の涙を目にした時・・・・・・拙者の心は絶望に覆われた。
多分・・・・・・今の拙者は酷い顔をしているでござろう。
ぼんやりとそんなことを考えながら・・・拙者の心は急速に冷えていく。

「俺は・・・」

心が冷え切ってしまうのではないかとも思ったその時・・・先生の言葉にぼんやりと意識を傾ける。

「俺はシロの事・・・」

拙者の事・・・なんでござる?・・・先生は優しいから・・・同情や慰めなら要らぬでござるよ。

「ずっと・・・」

ずっと・・・なんでござるか?
拙者はなにを言われても大丈夫でござるから。言ってくだされ。
嫌いだった、迷惑だった。そう言う事でござろう?
拙者にだって・・・嫌われた方が良かったのでござろう?

「愛してる・・・・・・」

その言葉は直ぐには理解できず・・・理解できた瞬間・・・拙者の心は先程とは逆に急速に歓喜がひろがり、震えだす。
先生の顔を見てもそこには嘘は見受けられず・・・・・・その事がとてつもなく嬉しかったのでござる。

「・・・先・・・・・・生・・・っ!」

拙者の声も・・・最早まともな声にはならんでござる。
嬉しすぎて・・・体が無意識の内に震えだして止まらないでござるよ・・・。



そして



観覧車の頂上で・・・



拙者達二人の影は



一つに重なったでござる・・・。

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