ザ・グレート・展開予測ショー

THE SHOW MUST GO ON(前編)


投稿者名:弥三郎
投稿日時:(03/ 1/20)


この作品は「エルドラド」「幸せなヒトトキと騒がしい奴等」の続編であり、3部作最終話前編です。
「幸せなヒトトキと騒がしい奴等」の15年後に当たります。


「う〜ん」
横島忠夫は悩んでいた。
子供をGS手伝いをさせるかについてである。
しかも、双子ときた。
彼とルシオラの間には3人の子供がいるが、最初の子供が2卵生双生児であったのだ。

子供の名前は
長男、忠逸(ただいち)(15)
長女、令香(れいか)(15)
次女、蛍子(けいこ)(12)
である。

誰もがそこらそんじょのGSよりも霊力が高くかなり戦力として期待できる。
しかし、子煩悩な横島は危険な目に合わせたくないと言う気持ちから、今まで参加させてこなかったのだが、双子の姉弟が声をハモらせて
「お父さん!除霊作業に参加させてください!」
などと言ったものだ。
それに対して横島は
「だめ、危険だから連れていかないよ。」
今まではそう言って何とか下がらせていたのだが、令香、どこから持ち出したのか小型テープレコーダーを持ち出し、こう言った。
「お父さん、まさかこれ忘れてないよね?」

かちっ

『15になったら除霊に参加させてやる。
「ほんとう?」
ああ本当だ。男に二言は無い。』

…………へ?
だれに似たんだろう、この子は………
まさかテープに録られていたとはね……当時13歳の子供にしては……

抜け目なさすぎ!!

「そう言えばそんなこともあったなぁ。」
「お父さん、ごまかさない。」
忠逸が苦笑いしながら言ってきた。
「全く、令香はどこかの誰かさんに似てしまったようだな。」
横島は娘の名付け親を少し恨みつつそう言った。
「そっか、もうそんな年になったんだなぁ。すっかり忘れていたよ。」
「参加させてくれるの?」
ルシオラ似の令香は上目遣いで父親を見つめた。
さらに横島を追いつめる作戦のようだ。
一方横島は
(うおぅ!そんなねだり方誰から教わったんだ?)
このねだり方を教えたのはルシオラしかいまい。
理性と欲望(!)に挟まれてしまった横島は
「う〜ん、わかった!どちらか一方を除霊に連れてってやる。」
と言ってしまったのだ。
不平タラタラであったが2人が素人であること、2人を一気に守り切れない危険な仕事に行く予定であることを伝えるとしぶしぶながらわかってくれたようだ。

で、どちらを連れていくかである。
基本的に二人とも霊力は変わらない。
忠逸は幻術を使えること、令香は文殊を使えるだけの違いだ。
ただ、今回の依頼はビルを占拠している下級魔族を祓うことだ。
下級とは言えども戦闘能力が非常に高い。動体視力が横島を上回る程あるのだ。

「どうしよう。」
何百回やったであろう溜め息と共に出てきた言葉はかなり疲れを伴っていた。
戦いをシミュレートしても結果は最悪に近いもの。
死ぬまで行かなくても大怪我することは間違いない。
横島は妻が死にかけたあの状況が生まれることを極端に恐れたのだ。

「あなた、まだ寝てないのですか?」
「ああ、ルシオラ、どうしようか考えていてな。」
まだ明るいリビングを見て心配そうにルシオラがやって来たのだ。
「令香にまさかあんな頼まれ方されようとは思わなかったな。ルシオラ、あんなもん教えるなよ。」
「ふふ、だって令香に『お父さんの弱点って何?』て聞かれたからよ。」
「はは、一本取られたな、こりゃ。しかも、美神さんに似たもんだから後で何言われるか分かったもんじゃないよ。」
「そうね、あの子、だんだんがめつくなってきているわ。」
横島は少し後退してきた前髪を触りながら苦笑した。

「あの子達を信じてやれば?」
「どういうことだ?」
「二人ともつれてってあげるの。」
「!!」
横島は思わず椅子から立ち上がってしまった。
「危険だ!今回の相手は俺が単独でやっても勝てるか分からない相手なんだ。霊力はあるとは言え、2人は実戦経験なし。結果は目に見えている。」
「だけど、忠逸の幻術や令香の文殊は私が鍛えてあげたからそれほど手足まといにならないはずだわ。」
「全く、余計な事しやがって」
横島は苦笑しながらそう言った。
「それに、あの子達、毎週のごとく雪之丞さんのところに足を運んでいるわ。体術習っているんでしょうね。」
「くくく、あいつら、扱きがいありそうだな。」
横島は思わぬ収穫と勝機が見えてきたことに気がついた。
「よし、勝てるぞ!」
「あら、良かったわね。」
「ルシオラ、お前のおかげだな。と言うことでご褒美〜〜〜!!!」
「あん、こんなところじゃダメよ……あん…だから、ムードを考えなさい!」
シリアスに耐えきれずに抱きついてきた横島を肘打ちでどつくルシオラ。
いつまでたってもこの二人は幸せのようだ。

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