ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示 (ラプラスの語り異形編)


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(03/ 1/20)

其処は一筋の陽光も蛍光灯も無い薄ぐらい部屋である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもその鬱蒼とした部屋の奥に行かねばならなかった。
奥にいる存在は皆も承知であろう。
悪魔ラプラス確実に未来を映し出す能力を持つ。

待ちなさいな、未来というものは無限の可能性がありましてな。だからこそ、それと同等の数の私がいる訳ですがな。
それでも聞きたいのなら、私の知っている未来を語ろうじゃありませんか。

さてと。春もうららかな日々をより楽しくするのはなんでしょうかな?
一人よりも大勢の友達、それも悪くありませんが、形式はどうであれ伴侶があれば、
一層楽しむことができるでしょうな。
たとい、それが人間でなかったとしても。
「・・・・・・うぅ」
元々が吸血鬼ハーフのピート君には少々日差しがきつく感じますかな?
「はぁ〜〜」
男のこのため息なんぞは、美少年でなければ絵になりませんなぁ。
・・。という事は今は絵になっているわけですな。

ご存知の通りでしょうが、現在ピート君が居住してるのは教会です。
教会の仕事は冠婚葬祭が相場であればこそ、貧乏なカップルが低価格で挙式をすることは珍しくは。
「いいなぁ〜」
と忙しい時に出来た時間に寂しい風を出すのもしょうがないですかな。
「ふふ。結婚式でため息つくなんて、だれか好きな人でもいるのかい?」
となぜかお手伝いに来ていた小竜姫様に見つけられてね。
「いえ・・そういうワケじゃぁ・・」
「まっ。若いっていいわね」
若いかどうかは判りかねますがな。
「でも僕は誰が好きなんだろう・・・」
この僕は人間じゃない。人間なんかを愛しちゃいけないのかもしれない。
それに・・
なかなか曇り空の心象模様ですが、
「ちゃーす、唐巣さーん!美神さんの使いできましたー!」
と、元気な声がするじゃあありませんか。
声の主を聞くや否やたちまち顔が赤くなるピート君ですな。
あまり恋愛は疎そうな小竜姫様にはばれちゃうかもしれませんな。

まぁ、いろんなケースもあるでしょうが、結婚式は日中に行いますな。
横島君が家路につけたのも、唐巣さんの仕事が終わった後、もう空は赤から黒へ。
「ちえ、暗くなっちまったな」
更に雨が降ってきたとあらば、寒さは倍増です。
「家まで送りましょうか?」
「いいよ。子供じゃないし」
まぁ、高校生なら子供ですかな?といってもピートの年代からみて皆子供でしょうな。
おっと。Drカオスは例外でしょうが。
おやや。相合傘ですか。なかなかの青春模様ですな。
きっと青春万歳幽霊、机の愛子とかが泣いて喜びそうなワンシーンですな。

天気予報は外れることもおおいですわなぁ。
「うわっ嵐だっ」
春の嵐になっておりましてな。日中に結婚式をあげた二人にはどうなるでしょうな。
まぁ、関係のない話です。
用意したかさが吹き飛んでしまいましてな。
急遽公園にある遊具の下で雨宿りとなりました。
今ではあまり見かけませんが、小高い丘を作りその中に土管をはめ込んだ物です。
「かぁー、かなり濡れちまったなぁ」
と、横島君が体を拭いています。
といっても持参したハンカチもすぐに濡れてしまうでしょうが。
「ちょ、ちょっと横島さん、人が僕がいるのに、そんな」
「しょうがないだろーが。雨にぬれちまったんだから」
と、言って上着を脱いでいるのですからな。
「別に下着姿になってるわけじゃねーっつのに」
「だからって警戒心なさすぎですよ。これだから異性に囲まれた職場の人は・・」
まったくもって、理論のない反論ですな。
見たくないなら見なければいいのに、チラチラと。

雨音はまったくもって弱まりません。だから。
「うぅ〜寒くなってきたな」
「そ、そうですね」
と、言うや否やよりかかってきた横島に驚くピート君でね。
「よ、横島さん!」
「別にいいじゃないか、お前も寒いだろ?」
そら、気の有る人によりかかられたら、たといバンパイアだろーと熱があがりますな」
「おや、ピート風邪でもひいた?」
「ち、ちがいますぅ・・」
そういって急にジレンマに陥りましてな。
「そ、そうか、僕はなんて奴なんだ・・」
「ん?」
「ぼ、僕はまかりなりにも吸血鬼、なれば魅惑の術ぐらい使おうと思えばつかえるんだ!」
まぁ・・・確かに吸血鬼というのは河童なぞとくらべれば蟲惑的存在ですから・な。
「それがどーかしたか?俺にはとっくにみやぶってたけど・・な」
「よ、横島さん、何をいいだすんですか?」
「あのなー。万一そんな術をかけられても今の俺なら簡単に破れるぜ」
「・・何を言うんですか、僕を貶めて何が・・」
「がたがたいう奴だなぁ。まぁ、いいじゃないか。どーせ誰もこないだろーし」
結婚式最大の見せ場がチョコレートの味がするかは私にはわからんがね。
ピートにとっちゃうれしいよりも、驚きがきて、それから瞳がまどろんでな。
一度体を離してから。
「僕は横島さんに魅惑の術をかけたかもしれない。でもそれでもいい」
「あぁ、そうだろ?何の問題はないだろ?」
「僕は人間じゃないし。友達以上の関係は禁忌って奴だよ、いいのかい?」
「・・そんな風にネガティブに考えるお前が心配なんだつーの」
こつんと頭をこづかれちまいましてな。
「そっか。じゃあ横島さん。一つだけお願いが」
「ん?なんだ?」
「その男言葉はやめてください」
「うん。わか・・えぇ。いいわ〜」
もうあとは若気の至りって奴ですな。
横島の下着まで・・

=ちょっと待て!=
不意な声はどこから聞こえるかは問題でもなんでもない。
この聞き手である私ですらびっくりな展開であった。
「俺は何度も言ってきたが『無限の可能性があるその数と同等の俺がいる』と」
この私の目の前の牢獄にいるのは間違いなくラプラス、
・・・。まだ気がつかんのか。そうよこいつは・・。
そう、無限の可能性の中にゃ性別がまったくちがう世界もあるって事よ。
つまりだ。この俺が知ってる歴史は横島は男、美神令子は女だか・・。
『そうなんですな。私が知ってるのは横島が女、美神令子は男の世界でしてな』
消えなここは俺が司る歴史の世界だ。何かの拍子にきちまったんだな。
たっく。お前もお前だぜ。少しは気が付けよ。
しかし、私には一つだけわからない点があった。
「じゃあ何故にピートは?まぁ愛の形に同性があったとしても」
かぁー。鈍いねぇー。俺は『人間の性別があべこべ』と言ったんだ。
ピートは純粋な人間か?ちがうだろ。これで判ったか。
まぁ・・だ。こっちの世界でもアブない世界にいっちまった事もあるがね。
語る気はねぇよ。少なくともここではな。
・・・。
期待した奴だけは笑ってやろうぜ。
FIN

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