ザ・グレート・展開予測ショー

ゴ−ストスィ-パ-というお仕事  (すいません、思いっきり長いです)


投稿者名:猫太郎
投稿日時:(99/ 7/17)

 その日の美神除霊事務所は夕方になっても一人の客も来なかった。
「ったく!不況で人がバタバタ死んでんだから、もうちょっと仕事が増えても
良さそうなのに・・・余りの絶望に化ける気力も無いのかしら・・・。」
 美神がそう言ってため息をついた時、来訪者は現れた。

「どぉもMHKです、ちょっとお話を・・・あっ、ちょっと待っ・・・」
 扉が締まる瞬間、男が足を差し入れる。
「・・・あんた、新しい集金人ね? ったく、正規の職員でも無いクセに
人の財布を狙うとはズ−ズ−しいっ!」
 心無しか今日は特に毒気が強い。
「違います!その逆ですよ、美神さん!」
 男はそう言うと軽くウィンクして見せた。

「ほらGS業界って広告打てないじゃないですか、うちは国営だから全国ネット
だしアレコレ言われても皆見てくれてますし・・・もちろん映像には何気に入れ
ときますよ、おたくの所名・・・。」
 う〜ん、と考え込む美神に男が追い討ちを掛ける。
「そうですね・・・参考になるか判りませんが、このK商事・・・ハッキリ言って
子供の玩具同然の商品しか置いてないのに、うちで取り上げてから業績が300%も
アップしたんです。」
「!!!、さんびゃくぱぁせんとぉ!・・・と言うことはアレがナニでこうなって
バブルの時の五割増し!・・・嗚呼、イッちゃいそう・・・!」
 頬を紅潮させ胸で両手を重ねた彼女の姿は、まるで穢れ無き乙女の様である。
「OK!商談成立よ!で、私は何をすればイイの?」

「みんなを困らす悪いあくまは、正義の味方のGSがおしおきしちゃうわよ!」
【ハイ、カ〜〜トッ!】
 薄暗いセットの中に様々な機材が並び、その間を数人のスタッフが掛け回っている。
「ねぇちょっと!ドキュメンタリ−を撮るって聞いてたんだけど・・・。」
 美神は腑に落ちないといった顔で男に詰め寄った。
「えぇ、そうですよ。」
 事も無げに男は答える。
「ぶっちゃけた話、国営と言ってもこの世界あくまで視聴率ですから・・・ある程度の
フィクションはやむを得ないんですよ・・・。」
「でも・・・」
 不満げな美神の耳に監督の声が響く 【シ−ン27、ヨ−イッ!】 

「もちもちぃ?うん、ありがとぉ、そぉなんだぁ、じゃあまたね、ばいばぁ〜いっ!」
 この日27件目の電話をとり終えたおキヌに美神はゲンナリとして視線を向けた。
 おキヌが困った様な表情でそれにこたえると、視線を再びテレビへと戻す。
 そこには極彩色の衣装を身に纏い、ハリボテと戦う若い女性の姿があった。
「やったぁ、すごいやお姉さん!お姉さんは何のおしごとをしてるの?」
「エヘへッ、たっ君 お姉さんはこう見えてもごぉすとすぃ-ぱぁなんだぞ〜♪」
 彼女は何だか訳の判らない生き物の質問に答えている。

「ふふっ、良く撮れてるじゃない令子。」
 美智江はニコニコしながら美神を見る。
「いゃあ、ホントですよ美神さん・・・本物とは比べ物にならないくら・・・」
 横島は咄嗟に身構えたが何も起こらない。
「ウフフ、そうですよ美神さん この番組を見てくれている子供たちは将来きっと
うちのお客さんになってくれますよ。」
 おキヌの、彼女らしいやさしくホノボノとしたフォロ−を受けてようやく美神が
口を開く。
「・・・なんとなく変だなぁとは思ってたのよね・・・でも・・・」
 美神は一旦言葉を切り、テレビを見つめハシャぐひのめに視線を移した。
「・・・まっ、たまにはイイわよね、こういうのも・・・!」

「やったな田中君!タイトル変えてから大人気だ。」
「ええ局長、いまどき(おじさん)は流行らないですから・・・ほんとに良かった
ですよ、『はたらくお姉さん』にタイトル変えて・・・・。」




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