ザ・グレート・展開予測ショー

新春ヒーロー物語  怪傑ユキット


投稿者名:三遊亭楽栄
投稿日時:(03/ 1/ 6)

♪ 地獄が見えたあの日から…


俺の名は、伊達雪之丞。


♪ 俺の体を吹く風は 


…寒い、冬が来る度に見も凍る重いさ。


♪ 復讐の風 熱い風
♪ 追って 追って 追いつめて


……俺は、弓と言う暖かいものを失ったのさ。
俺の眼の前でな。
俺の片腕の中で、息を引き取っていった弓の寝顔は不幸せの笑みだった。


ユキッと参上! ユキッと解決!
俺の 俺の 弓よ
俺を見てなよ 天国で

俺の 俺の名は 怪傑ユキットさ!






そして俺は、流離う途中。
弓の仇を取るまでは、旅し続けるぜ!
アコースティックギターを片手に、テンガロンハットをかぶってな!

したら、目の前にある後継があった。
二枚目風の男が、「芸能人は歯が命!」とばかりに歯を光らせてやがった。
そいつ、ボデコンの女の腕を取ってた。

その女性…
美しい!
美し過ぎるぜ!

母親にそっくりだ。
頬が、思わず赤らんでしまった。

「どこかへ行こう」とか言って、
強引に赤坂コレルプリズンホテルに連れて行こうとしていた。

横から、いかにもその二枚目風の男から取り戻そうとしてる中年のような男。
その男が、気に食わなかった。

どうどうとボデコン姿の女性の胸なんかに触りやがって。
ま、ボコられたらいいけどな。

しかし、俺は気付いた。
あの二枚目風の男…どこかで見たことがあるような‥‥

そう思っていたら、自然と、現場に足が進んでいた。
なんで未だにマザコン癖が治らんのだ、俺ってば。


そいつはともかく、現場に姿を現さざるを得なくなった。

「なんだ、貴様は!」

そう問いて来る二枚目風の男を見て、俺は思い出した。
コイツは、懸賞金の掛かった有名な男だ。
そう思いつつ、俺は言い捨ててやった。

「…貴様……。
 この新宿荒野の一等地に巣食って、霊剣ジャスティスを振るって悪霊退治が出来る
 とかいう、噂の『霊剣の西条』…だな?」

俺は、テンガロンハットをかぶる頭で考えた通り、言い返してくる。

「…よく見破ったな、だが、それがどうした?」
「きさま、そこの可愛らしくて美しくてバスト92の女を放してヤンな!」

台詞決めた俺は、その『霊剣の西条』へタンカを斬った。

「‥‥ムカツク野郎だな、おまえは!名は何て言うんだ!」

俺は、ニヒルに笑った。

「ふっ、名乗ってやるってもんじゃあねえぜ。『霊剣の西条』さんよ。
 だがな、その霊剣と言っても、日本じゃあ一番目じゃあねえだろ?
 見たところ、二番目ってやつだ。」

じゃらららららん♪
アコースティックギターを鳴らしたところで、ハットのツバをあげる。

「ぬわんだとお!言わせておけば貴様、一番目は誰だって言うんだ!!」

そこで、俺はひゅう〜♪と口笛鳴らし、右手人差し指を突き立て振ったのさ。
そのまま、右手を握り親指を自分の方へ突き出した。

「ちちちっ、そりゃ俺ってもんだぜ!」
「ならば決闘だ!」
「…勝ったら、その美しい女を放してやんな!」

その横には、無視された中年風の横島少年の姿があったが無視してやった。
勝負に邪魔だからな。

「あのーー、俺ってこの役だけ?」

…とにかく無視した。
が、その隙に西条の旦那は霊剣でそこらの浮遊霊を5匹纏めていた。

「どうだ?こんな芸当が君にできるというのかい?」

が、驚くまでもねーや。

「ならば、俺は100倍に纏めて500匹は行くぜ!」

そういうと、俺は0.003秒と言う間に魔装術を身にまとった。
サッと、一回転する!
そして俺は右手に277匹を、左手には223匹もの悪霊を突き刺し、態勢を立て直した。

妙にこの後継を西条は納得した。

「くっ、覚えてるんだぞ、ユッキー!」
「勝手に命名するんじゃねえ!んなやつ覚えっか!」

そう言い終わる前に、すでにやつは消えていた!

こうして、事件は無事解決したかと思った。
その令子とか言う美人に、ちやほや、愛法してもらおうかと思ったが…
もう一言だけ横島少年が鮭にぎりを頬張って叫んだ。

「はんはは、ははんはははーほ、ひのはほよ!
 (あんた、とんでもないヨケーなことしたんだぞ?)」

なに?
そうなのか…

にしても、と思って周りを一瞬見回す。
その時、眼の前の事務所からあるボス格と思われる女が出てきやがった!

そいつは、獣を手に持っていた。

「こいつです!美神隊長!」

そう叫んだのは『霊剣の西条』。
その姿は、西条を雇ったと思われるボス。

だが、それほどの威圧は感じられない。
なのに、妙な胸騒ぎがした!

こいつだ!
こいつが、きっと、俺の弓を殺したんだ!
そう思って体当たりを仕掛けた。

が、あっさりと交わされた!

「こいつと、ギターを纏めてボロにしたげるわ!」

そう言い放った美智恵。
気配を悟らせる間もなく、打ち込んで来やがった。
ゴミ箱の中に飛ばされた。

そこで、倒れるフリをした。

「なんだ、あっけなかったじゃない!」
「しかし隊長…」

いいから!
と言う台詞を後に、俺を死体と思って去ろうとしていた。

しかし、それは間違いとばかりに…

ぶおおおおおお‥‥

彼方から、何かが音がした!

「何の音?」
「鳥だ、飛行機だ、エンジェル体操のムキムキマンだ!」

とばかりに。
ユキッカー!
怪傑ユキットの愛用する、空・大地両用車!

と、ユキッカーの上に乗った姿。
全身赤ス−ツに、額にYをかたどった紋章。
その恰好になった俺。

そこで、口上のポーズと台詞!

「っはっはっはっは!
 ユキッと参上、ユキッと解決!
 その名も……」

びゅばっ
しゅばっ ざざっ!

両腕でYの形を描いた!
すがすがしい!
すがすがしすぎるぜ、母ちゃん!

「…孤高のヒーロー・怪傑ユキット!
 この母ちゃんのように美しい女性をナンパした悪党め、許せん!」

許せん!
そう思った俺は、一気に神通鞭を開いた!

「ユ・キーーット!」

言葉と共に、着地っと!
途端、美智恵をしばいた!

同時、西条の腕を絡めとった!

「おう!俺の弓を殺したのは貴様だろう。」

そう問いただした。
返事は無い。

「貴様だろう!ユ・キーーーット!!」

びしばししいっ!

…続いて。
鞭を開き戻し、二発。

グホウッ
と、二人を痛める!

「知らない!」
「しらないってーーの!」

二人はシラ張っくれているよう。

ならば………

「ユキット・アタック!!!」

一度、車に飛び乗りながら。
向こう端の冊子棒に鞭先が括り付けになる。

梃子の原理で飛び上がり。
尻で敵を顔面打ち!

…そして、ばたりとたおれた。
そこへ鞭を振り回し、美智恵と西条を閉めた。

「12月24日に弓を殺ったのは、違うんだな!?」
「「ち、違う違う!
  俺たち二人には、クリスマス中というアリバイが…」」

そう言い終わる前、倒れた!
弓殺しの犯人は、こいつ等じゃなかったのか。

思い直し、事務所前を去る。

「きさまーー、二度とこの前を通るな−−−−!」

西条のおっさん、
そう、罵声を俺の背後に浴びせる。

…だからって、相手などしないけどな。





そう思い、ともかく俺は、スーツを脱ぐ。
去る。
再びさすらいの旅へ。

そこへ、少年の声が。

「おーーい、俺も入れてくれーーー!」

横島少年。
俺は、再び振り向く。
少年の顔が、夕陽に照る。

息と、鼓動が、マッチする横島少年。
俺は素直に聞く。

そこへ、あの女性の姿が。
待ち伏せていた。

「金になるなら、行くわよ!」
「たぶんな。」





こうして、雪之丞は、旅に出た。
弓殺しの真犯人を。
半殺しにしなければ、気がすまない。





嗚呼、弓は俺の心の中。

アコースティックを鳴らし…

テンガロンハットを深く被り…

ユキットスーツをギター内に隠して…

さすらいが、俺を、待ってるぜ……………!!
ABAYO!

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