ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(20)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 1/ 5)


 美神さんは神通棍を構える。
「よし!次は自らのパワーを神通棍に込めるのだ!」
「そんな事なら、いつだってやってるわよ!」
 そう言って神通棍に力を込め、いつもどうりの状態になる。
「……パワーを神通棍に込めろと言ったんですけど……」
「だからさっきからやってるじゃない!!」
 美神さんは明智さんを怒鳴る。
「そんな程度では神通棍を精霊石に変えることは出来ぬぞ!」
「神通棍が精霊石に!!」
 美神さんは驚く!
「精霊石というのは人の想念!強い心が生み出すものなのだ!」
「強い心……」
 そうだったのか……知らなかった……
「私がそなたに渡した槍も最初はただの鋼の槍であった……」
「えっ!」
「ノスフェラトウを倒し!世界を邪悪なる魂から救いたい!そう一心不乱に願うのだ!」
「だあっ……よくそんな恥ずかしいこと言えるわね……」
「恥ずかしいことなどない!正義の心を込めよ!」
「正義なんて……あたしの柄じゃないし……」 
 恥ずかしいと思うが……それに正義……美神さんには無理だろ……
「そして、愛の心……」
「うっ……あ、愛……うう、さぶう…………」 
 美神さんの体に悪寒が走る。
 美神さんほど、この言葉が似合わない人はいないと思うぞ……
「そなた、本当に悪霊払い師か?」
「悪霊払い師じゃなくてGS!」
「どちらにせよやる事は同じであろうが!」
「はいはい!」
 そして美神さんは神通棍に全力で力を込める。
 すると神通棍の根元が青く光り、その部分が精霊石に変わり始める。
「そう!その調子だ!!」
 だが美神さんは力が抜ける。
「はあ〜、でもなんか違うのよねノリが……」
 ガクっと明知さんがこける。
「ぬええい!なんでも良いから頑張るのだ!世界の平和が美神殿の手に賭かっておるのだぞ!」
「だから!そう言う、だいそれたテーマはあたしのキャラクターには無いのよ!」
「しかし、今……ノスフェラトウを倒さねば!」
 その言葉に、美神さんは冥子達が戦っているノスフェラトウを見る。
「そうね……今、あいつを倒さないと……正義とか愛とか世界の平和とかそんな事、知ったこっちゃ無いけど……私は……私が気持ち良く生きられない世界は……我慢できないのよ!」
 美神さんの神痛棍が青く光り、精霊石の神通棍が形成された。
「それを乱す奴は!誰であろうと……」
「む!あれは!!死ねい!!」
 ノスフェラトウは美神さんに今までの中で一番強い衝撃波を放つ。
「バサラちゃん〜〜!!」
 バサラが衝撃波を吸収しきれず弾き飛ばされる。
 そして、美神さんに衝撃波が襲いかかるが、精霊石の神通棍で防ぐ。
「このGS美神令子が……」
 ノスフェラトウが美神さんに集中した。今なら……
「冥子さん!!」
「は〜い!」
 俺は文殊「糸」を発動、ノスフェラトウを挟んで反対側にいる冥子さんは「専」を発動……つまり……
「何!体が動かんぞ!」
 ノスフェラトウを点とした文殊「縛」の完成である。
「極楽へ!行かせてあげるわ!!」
 美神さんは動けなくなったノスフェラトウの右胸の心臓を精霊石の神通棍で突き刺す。
「ぐぎゃあああああああ!!!!」
「やった!」
 美神さんは神痛棍から手を離して後ろに飛ぶ。
「やっと……やっと終わりが来たのだな……」
 明智さんはそう言ってノスフェラトウに近づく。
「明智さん!」
「明智さ〜〜ん!」
 俺と冥子さんの声が響く。
「私とお前の長かった戦いの終わりが……」
「光秀……」
「今度こそ逃がさんぞ!」
 明智さんはノスフェラトウを拘束する。
「おのれ、らっきょ頭め!」
「美神殿、冥子殿、横島殿、よくやってくれた……礼を言うぞ……」
 ……まさか……明智さんは……
「何をする気!まさか!」
「こやつを、今度こそ地獄へ送り届けてまいる!」
「は、離せ光秀!」
 だが……そんなことしたら……
「危険過ぎるわ!そんな事したらあんたの魂まで消滅してしまうかも……」
「分かっている……だが私にはもう失敗は許されないのだ……」
 俺は文殊を2つ出して明知さんに投げ渡す。
「これは?」
 明智さんは文殊を受けとり、文殊に書いてある文字を見る。
「俺からの餞別だ……受け取れ!」
 すると、明智さんは笑い……
「ああ……ありがとう……」
「ぐああああ!!!!」 
 そして明智さんはノスフェラトウと共に燃えさかる火の中に入り……消えた。
 ノスフェラトウがいなくなり、街に覆ってた妖気も消え、朝日が雲の間から差し込む。
 多分、ゾンビ達も元通り人間に戻ったと思う。
 終わったか……
「さあ、皆さん帰りましょうか!」
「ええ〜〜♪」
「わかったわ!」


 
 一階に行くと、みんなが開放されていた。
 俺がおキヌちゃんに頼んで地下にいるみんなを助けるように指示したのだ。
「皆さん〜〜!大丈夫〜〜?」
「はあ〜……まさか、冥子に助けられるなんてね……」
 確かに冥子さん、今回は頑張ったよな……
「あれ?ところでさっきまでいたオカルトGメンの人は何所にいったワケ?」
「あ……居ないですね?」
 おキヌちゃんが言う。
 へ?ああそういえばオカルトGメンの捜査員が行方不明とか言ってたな……



「ふっ……まだまだ僕は力不足か……だが僕はもっと強くなって必ず日本に帰ってくる……そして今度こそ……」
 新都庁前に一人の男がいた。
 その男は決意して、滅茶苦茶になった街を歩きはじめた。


 
 数日後……美神さんの事務所で……
「ふん、はああああ!!」
 美神さんは神通棍をいっぱい持ち、力を注いでいた。
「何してるんですか?美神さん」
 おキヌちゃんが聞く。
「見りゃ分かるでしょ?神痛棍を精霊石に変えてるのよ!」
 ……今の美神さんに正義とか愛とか無いから無理でしょう……言ったら殴られそうだから言わないけど……
「ところで〜〜明智さんにあげた文殊には〜〜何が書いてあったんですか〜〜?」
 俺は冥子さんの質問に文殊を出して答えた。
 その文殊に書いてあるのは……
『再会』

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