ザ・グレート・展開予測ショー

横島 IF 第四話(C)


投稿者名:777
投稿日時:(03/ 1/ 5)

脱衣場に戻ってきた俺に、小竜姫様は笑顔で話しかけてきた。

「お二人とも、いったい何の話をしているんでしょうね?」

「さぁ…何でしょうね?」

きっと大した話はしてないはずだ。美神さんの目的は、俺が小竜姫様から弱点を聞き出してくることだから。

「私は『味付け』の話じゃないかとふんでるんですが…」

それはない。それはないです、小竜姫様。

どこの誰が自分の味付けを決める話し合いをするんですか。

「私としては、おキヌさんは素材が良さそうなので塩ゆで。美神さんはかなりアクが強そうですから、味噌で味付けがベストだと思ってるんですが」












………小竜姫様…。













大賛成ッス!(←バカ)

味噌か。そいつぁ気づかなかったぜ!




「そうッスよね!おキヌちゃんには塩ッスよねっ!」

「分かってくださいましたか!横島さん!!」

俺達の話は、かなり盛り上がった。





(十五分後)



「さて…具も決まったことですし、そろそろ戻りましょうか」

おキヌちゃんには青菜と豆腐。美神さんにはキノコ類、と言うことで話はまとまった。



って…



「まとめてどうする!」

しまった!弱点聞いてねぇじゃん、俺っ!

俺の言葉に、小竜姫様が歩みを止める。

「どうしました?横島さん」


考えろ!考えろ横島忠夫!


A 今ここで弱点を聞かない→美神さんは小竜姫様に負ける→肉が食える→ただし明日からの生活の保障無し

B 今ここで弱点を聞く→美神さんは小竜姫様に勝つ→肉が食えない→ただし明日からも生活の保障あり


俺はまだ野垂れ死にたくない。選択の余地無く、A!


「あ〜、小竜姫様? 小竜姫様の弱点って何ですか?」

と言うわけで、ストレートに聞いてみた。

俺の言葉に、何故か小竜姫様は顔を赤くする。

「やだ!横島さんったら……………背中と耳が、その、弱いですけど…あ、でも、背中は一部触っちゃいけないところもあって…」

何の話だ。

ちくしょう!はぐらかすつもりなのかっ!!

小竜姫様の身体を眺め回す。どこか弱点っぽいところはないか? 一部飛び出てるところとか………あっ!

小竜姫様から飛び出た部分。それは角だ。

無言で角をひっ掴んでみる。ふむ?

「なっ!何をするんですか横島さん!離してくださいっ!!」

その嫌がりよう…やはり本命はここだったんだなっ!!

無言のまま、角を軽く揺すってみる。すると…








『ぽこん』と音がして…









取れた。






「…!?抜けたっ?」

途端、電池が切れたようにぐったりとする小竜姫様。

目から光が消え、人形のように俺に寄りかかってくる。

「しょ、小竜姫様っ?」

やばいな・・・。壊したか?

だが、呆然とする俺の耳に小竜姫様の怒った声が流れてくる。

「横島さんっ!いきなり何するんですか!早く戻してください!」

声の発信源は、俺の右手に握られた角。ぴかぴかと光っている。










………この角って、もしや小竜姫様の本体?







「あ、すみません。今すぐ戻します!」

慌てて小竜姫様の頭に角をはめ込む。『カチッ』と音がして、小竜姫様の瞳に光が戻った。

「ふぅ…全く、取るなら取るで一言言ってください!」

怒る小竜姫様。今度は口からの声だった。

でもね、小竜姫様。角が取れる時点で何かが激しく間違っていると思わないか?

「本当にすみません。角が取れるなんて知らなかったんです。………あの、ところで小竜姫様?その…」

何だ?何を聞くつもりなんだ横島忠夫?

本体って角なんですか、とでも聞くつもりか? 神様とは言えうら若い女性だぞ。

「…左の角って、何なんです?」

結局、無難とは言い難いがそう危なくもないであろう質問をした。

右の角が本体(仮)なら、左の角は何なのだろう?

俺の言葉に、小竜姫様は…











「飾りです♪」(←笑顔)






デコレィションっ!?






「光るんですよ♪」(←いい笑顔)

『ぴかっぴかっ』







ライト機能付きっ!?








「これを光らせたまま夜道を歩くと、獲物が寄って来るんです♪ 神界魚、なんちて♪」(←満面の笑み)






神界魚っ!? しかもなんちてっ!?






義姉さん。この人は本気でダメな人かも知れません。

今からでも遅くはないです。とっとと逃げましょう。




「あれ?横島さん?横島さ〜ん? もう、しょうがないですね。早く戻りましょう」

呆然とした俺を引きずったまま、小竜姫様と俺は再び異界空間へ戻っていった…。





――――――――――――


「味付けは決まりましたか?」

呆然とした俺を引き連れ、小竜姫様が美神さんに声をかける。

「はぁ?………あら、横島クン、どうしたの?」

「さぁ…?突然、こうなってしまって・・・」

「ちょっと目を見せて」

(横島クン、横島クン、ちょっと、どうしたの?)

(・・・あ、美神さん。いや、色々ありまして…もう大丈夫です)

(ならいいんだけど。ところで、弱点は聞けた?)

(まぁ…弱点というか何というか。小竜姫様の本体は右の角です)

(はぁ?)

(だから、小竜姫様の本体は俺達から見て右の角なんですって! 取ったら急に動かなくなりました)

(そう…他には?)

(本人曰く、背中と耳が弱いそうですが…)

(あんた何聞いてきたのよ?)

まったくだ。

(ついでに、肉にも弱いです)

(そんな、あんたじゃあるまいし…)

(一緒ですよ。俺も彼女も『肉メイツ』なんです)

(……………あぁ、それで『味付け』ね。まぁいいわ。ありがと、それだけ聞ければ多分何とかなるでしょ)


「横島クン、大丈夫?」

アイコンタクトを気づかせないためか、俺に声をかけてくる美神さん。白々しいなぁ。

「ええ、もう大丈夫です。心配かけました」

とりあえずこっちも白々しく返す。こういうのって、この白々しさがたまんないんだよね。



「では…!第三試合、始めましょう!」

小竜姫様の角が光り出し、『ヒィィィィン』という高い音を立てる。……飾りの方は、多分光ってるだけなんだろうけど。

そして光が小竜姫様の身体全体に広がっていき………光の消えた先に立っていたのは、『シャドウ』と化した小竜姫様だった。

「用意は良い?」

小竜姫様が決闘場に入る。美神さんのシャドウが構えた。

「OK!いつでも良いわよっ!」

「行きますっ!」

小竜姫様が走り出し、剣を抜く。

剣と槍のぶつかり合い。剣が槍を弾き、槍が剣を弾く。だが…


「防戦一方では勝てませんよ!打ってきなさい!」

そう、十度にも満たない打ち合いの結果、美神さんは防戦一方に追い込まれていた。

「くっ…横島クン、何かアドバイスはないの? あんた剣の修行してたんでしょ?」




は?





……おお、そう言えば一話ではそう言う設定でしたね。

今まで剣握ってなかったから、すっかり忘れてましたよ。


「あー、でも小竜姫様、どうやら本気出してないみたいッスよ。油断させる、くらいしかアドバイスできません」

「本気出してないって、そんなっ!?」

小竜姫様は本気を出していない。それが俺の感想だ。

打ち合いの中にどこか『試している』という雰囲気がある。…だからこそ『試練』なのだろうが。

「油断、油断…そうかっ!」

美神さんは何かを思いついたのか、今度は自分から打って出た。

「良い覚悟です。ですが、まだ甘いですよっ!」

再び始まる攻防。そして…













「あーーーっ!おキヌちゃんが自分から活け作りになってるっ!?」


美神さんが突然大声を上げ、あらぬ方向を指さした。

戦闘中にそんなことをするのは、はっきり言って自殺行為。だが効果は覿面だった。

「何ィーーーーーーーっ!?」

「何ですってーーーーっ!?」

美神さんが指さした方向に振り向く俺と小竜姫様。その先にいたのは、戸惑った表情をした『普通の』おキヌちゃん。

「もらったぁーーっ!!」

俺が視線を戻したとき、すでに美神さんのシャドウは小竜姫様の角を打ち落としていた…。





――――――――――――



「…私もまだまだ修行が足りませんね。食欲に負けて敵から目を離すなんて」

しょんぼりと肩を落とし、自嘲する小竜姫様。

確かにあんな負け方はショックだろう。






「…久しぶりに美味しそうな肉だったのに」




あー、そっちッスか。




「まぁまぁ!自分の修行不足が分かってよかったじゃない!それより、最後のパワーちょうだいっ!」

フォローしつつおねだりする美神さん。フォローになってないような気もするが。

「………はい、どうぞ」

意気消沈した小竜姫様が手をかざすと、美神さんのシャドウが輝き始めた。

「サイキックパワーの総合的な出力を上げたんです。あらゆる点でこれ以上の力を持つ人間はごくわずかなはずです」

そう言い残し、肩を落としたままふらふらと奥の間に消えていこうとする小竜姫様。

「小竜姫様、どこに行くんスか?」

今にも消えそうなその背中に、俺は思わず声をかけていた。

俺の言葉に小竜姫様は振り返り、弱々しい笑顔を見せてこう答えた。









「・・・・・・寝ます」







不貞寝ッスか。








こうして美神さんはパワーアップし、俺達は小竜姫様とお知り合いになったのだった…。






――――――――――――


第四話(C)小竜姫様の秘密、です。

おキヌちゃんが全然目立てない…。

3人以上のキャラ動かすのは難しいです。

さて、話は変わりますが、私実は受験生でして、2週間後にセンターが待ってます。

と言うわけで第五話以降は2週間以上間が空くと思います。

諦めた訳じゃないので、見捨てないでくださると嬉しいです。

感想もお願いします。

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