ザ・グレート・展開予測ショー

未来掲示 別編 ラプラスの語り 28


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(03/ 1/ 4)

其処は一筋の陽光も蛍光灯も無い薄ぐらい部屋である。ある特殊な牢屋だ。
貴方はどうしてもその鬱蒼とした部屋の奥に行かねばならなかった。
=めっ、メーテルかぁ?=
悪魔ラプラス確実に未来を映し出す能力を持つ。

待ちなって、未来ってのは無限の可能性がある。それと同等の数の俺がいる訳だがな。
それでも聞きたいのなら、俺が知っている未来を語ろうじゃないか。そう忠告を一つ。
視力検査したのは何時だい?

良くも悪くも今でも世は使い捨てが主流だ。だからこそだな、
「もう一度JLからの依頼があったわ」
と、この不況何処吹く風の鉄道協会からの依頼にホクホクの美神だ。
「一度やった事があるっすねー。俺と美神さんだけでいいんじゃないっすかー?」
「そうねー、あんまりお金もかけなくてすみそーだし、」
以前やったことがあるってんで軽装でいったのが大間違いでもあってな。

以前は苦戦した奴等も二人の装備でなんなくこなせる訳さ。
美神は光の鞭、横島坊やは光りの剣でな。
なんてな。
現場はそこそこ激しいが二人とも余裕綽々ってやつだな。
「えへへ〜美神さん今日は豹柄の下着だぁー」
「なっ、何見てるのよ!」
いくら余裕だからってンなコトしてんなよ。
だからかもな。前回の助っ人が、
『なによぉ〜〜〜、電車内のセクハラ行為は禁止なのにぃ〜〜』
と、言いながら口でハンカチを引き裂こうとしている美人の幽霊さんさ。
何?幽霊がハンカチを引きちぎれるのか?だって。
俺は事実しか語ってないぞ。事実しか。

一応教えておこう。
道ってのはな。最終的には黄泉の道になっちまうのさ。
無秩序に作るとな。
だからこそだ、かつてこのジパングが景気のいい時代、頭の螺子がとれまくった連中の
無計画な路線拡張計画はその一部に死霊の世界への入り口を開いちまったんだ。
過程は省こう。結果は美神は逃げ出せたが、横島はだ。
「ありゃ?こ、ここは何処だぁ?」
かつてイザナギノミコトが封印した黄泉路一歩手前なのよ。
その奥にはいざナミノミコトが最強の死霊になって存在しているその場所よ。
『ここは悪霊電車の終点、地獄門ですよ!』
「へっ?ミケランジェロの作ったあの名作?」
何故それをしってるのだ。横島少年。
「ちっ、違います!ふんだ」
って何をふってくされてんだ?この幽霊列車乗務員のおねーさんは。
まっ、気持ちはわからんでもない。新幹線の乗務員ってのは休日出勤当たり前、
恋する暇もなんとやら、
ましてや目前でいちゃついてたら尚って奴だ。
まこと女心は微妙なり。
何?相手は幽霊だって?ここは黄泉だ。生きてようが死んでようが大差ないだろーが。

「んーと、それじゃあ現世に戻る切符はありますか?」
『いいえ。この電車は黄泉路までの単線列車、帰りの電車ないのよ』
因みに終点で機械の体を手にいれるんだったら、さる漫画クリソツってか。
・・・・。すまん話が脱線した。
不味いよなまかりなりにもJLからの依頼なんだから。
「そ、そうは言っても来たからには帰る電車もあるっすよね?」
ある事には有る。それは浄化された魂が赤子となって母体を探す列車だ。
「うわぁー。いややー、よーやくここまで大きくなったのに、赤ん坊になるのは嫌ー」
そんな慌てふためく坊やに情がうつったのかねー。
「まぁいいわ。浄化列車にバイトで乗せてあげる」
だとよ。だが仕事はたいしたこたぁ、ない赤ん坊の子守よ。
「た、たいへんじゃー」
そうだろうよ。全員が赤ん坊モドキだからな。

この横島坊やも案外と律儀なトコがあってな。なんのかんの言っても仕事はするのさ、
唯でさえ情にもろそうなこの幽霊は、柄にも無くときめいちゃったのかもな。
みんながお休みになった時にだ。
「あぁー私ももう一度生きてみたいなー」
って一言が現実になっちまう男が隣にいるわけさ。
疲労もあってか何も言わずに生をあたえちまってな。
虫の予感でもあったのか、近くにいた美神が見た光景はね。
もう喜びのあまり身を任せた元幽霊に横島さ。
けけっ。もう坊やと俺は付けてないのには意味があるがね。
まっ。その後連れ合いが再度鉄道関係の職場に戻り生活にはゆとりが出来たとだけ教えておこうか。
赤ん坊が一人いてもな。

−くくくく、忠告したはずだぞ、何時視力を測ったのだと-
暗い牢獄内とはいえ全くの暗闇ではないのだ。松明がひっそりと灯っているのに、
視界だんだんと狭まってくる貴方。
気が付けば視力が皆無になっていく。悪霊の一人の仕業であろうか。
狼狽で何もいえない貴方にラプラスは一言。
=目、見えてるかぁ?=

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