ザ・グレート・展開予測ショー

世界はいつも流れて……(14)


投稿者名:リュート
投稿日時:(03/ 1/ 1)

「では、こうしよう。その槍をそなたへの報酬とする」
「え!この槍、あんたのだったの?」
 美神さん……どう考えても、その槍は明智さんのでしょう……
「悪霊払い師にとっては価値のあるものだと思うが……」
「悪く無いわね!」
 そう言って、美神さんは机に座り明智さんも机の前に移動する。
「で?仕事の内容は?」
「ノスフェラトウの復活を阻止して欲しいのだ」
 誰?それ……知らんぞ俺は……漫画に出てなかったよな?
「何!」
「ノスフェラトウ!」
 唐巣神父とピートが驚きの声をあげ、ピートは怒りをこらえるように肩をふるわせる。
「ピートさん?」
「どうしたんですか〜〜?ピートさん〜〜?」
 ピートの様子がおかしい事に気づいたおキヌちゃんと冥子さんがピートを心配する。
「で?」
 美神さんは話しを先に進めるよう促す。
「奴が復活しかかっている、しかもここからそう遠くない所でな……」
「なんだって!」
「あの〜、そのノスフェラトウっていったい何なんですか?」
 おキヌちゃんが唐巣神父に聞く。
「ノスフェラトウと言うのは史上最強のパワーを持つ、恐ろしい吸血鬼のことだ」
「ピートさんの〜〜お仲間ですか〜〜?」
 冥子さん、多分違うと思いますよ……ピートの怒り具合からみて……それにしてもまた吸血鬼……この頃頻繁に発生するな……
「いいえ、奴は我々の仲間なんかじゃありません!ノスフェラトウは血を吸うだけでなく人間や動物それにゴースト達のエネルギーまで奪い取りゾンビ化してしまう………人間やバンパイアハーフよりも遥かに古い時代から生きてきた恐ろしい魔物なんです!奴に比べたら有名なドラキュラ伯爵や僕の父のブラドーなど赤ん坊のようなもの!」
「ノスフェラトウが復活すれば、日本が……いや世界が滅びるのも時間の問題だろう!」
「そんなに〜〜凄い人なんですか〜〜?」 
 冥子さんの質問に唐巣神父とピートは黙ってうなずく。
 な、なんかものすごく大変な事になってるような……おキヌちゃんも怖がってるし。
「でも……ノスフェラトウは400年くらい前に死んだって聞いてたけど……」
「一度はな……私が倒した……」
「「「えっ!!」」」
 明智光秀が……ノスフェラトウを倒した?どう言う事だ……
「だが奴は蘇ってしまう。美神殿、どうかノスフェラトウの復活を阻止してくだされ。奴が完全に復活を遂げてしまう前に……頼みましたぞ……」
 そう言って、明智さんは消える。
「あ、ちょ、ちょっと待ってよ!奴の居場所を教えないで消えるつもり?」
「槍が教えてくれる……」
「槍が?」
 そして美神さんが槍を取ると光り出し、槍が勝手にある方向へ向く。
「どうやら、ノスフェラトウの居場所へ案内してくれるみたいね。行くわよ!」

 
 
 ……で俺達は新都庁前にやってきた。
「ここだわ!」
「誰もいませんね……」
 ピートが言う通り、誰もいない……そういえば都庁の地下って霊的設備の宝庫だったような……今はまだ完成してないようだけど……
「あの禿げちゃビン……何が槍が教えてくれるよ!」
 美神さんがそう言った時、槍が勝手に動き、ある空間に触れる。すると結界が張ってあったようで森が広がっていた。
「結界に守られた森か……」
「おそらく、今まで誰一人としてこの森に気づいた人はいないでしょうね。いわば、番地の無い土地ね」
 そして、美神さんを先頭に俺、ピート、冥子さん、おキヌちゃん、唐巣神父の順に並び歩いていく。
「なんだか〜〜薄気味悪いわ〜〜」
 冥子さんがそう言いながら、あたりをキョロキョロ見る。
 その時、槍が光り……向こうに祠らしきものが見えた。
「あの祠ね!」
「美神さん!あれ!」
 おキヌちゃんが指差した先には、犬の死体が沢山転がっていた。
「ノスフェラトウが復活する為に生贄を求めたんだわ!」
「もしかして、ノスフェラトウはもう復活したんじゃ!」
 俺が唐巣神父に聞く。
「いや、もしそうならこの程度で済むはずがない!」
 その時、祠の上に乗った像の目が赤く光り。
『目覚めよ、我がしもべ達!目覚めるのだ!』
 声がして、犬の死体達がゾンビ状態で立ち上がる。
「数が多すぎるわ!やばいわね……」
「冥子さん、フォーメーションIで行きますよ!」
「は〜い!ハイラちゃん、アジラちゃん、アンチラちゃん、メキラちゃん、ビカラちゃん、出ておいで〜〜」 
 バシュバシュバシュ!!
「ハイラとメキラは冥子さんの護衛、絶対守れよ!アンチラとビカラは美神さん達を援護、そしてアジラは俺の肩に乗ってゾンビ達を火葬しろ!」 
 俺が式神達に指示を出した直後、犬達が襲ってきた。
「噛まれないように気をつけて!ちょっとでも噛まれたら、奴らの仲間よ!」
 そう言いながら美神さんは神通棍でゾンビ犬を叩く。
「オーバーヘッド・バンパイアキック!」
「父と子と精霊の皆において命ずる、邪悪なる魂を捨て土は土に塵は塵に死者は黄泉へ帰れ!」
 唐巣神父達の攻撃により、唐巣神父達にに向かっていたゾンビ犬達が滅びる。
「草薙よ!切り裂け!!」
 俺の剣が白く光り……剣から衝撃波が飛び、冥子さん達に向かっていたゾンビ犬を真っ二つに切り裂く。
 式神達もゾンビ犬達をどんどんやっつける。
 だが、まだまだ沢山のゾンビ犬が残っている。
「これじゃキリがないわ!みんな、後はお願い!」
「わかった!」
 美神さんは祠にたどり着き封印の札を持ち、祠の扉を開ける。
 そこには蜘蛛の巣に囲まれた青い瓶があった。
 ……そして、白い蜘蛛がいて油断していた美神さんの顔に飛びつき、顔を傷つけ血を青い瓶にかける。
「よくもやったわ……はっ!きゃあああ!!」
 その時青い瓶が赤く光り、衝撃波が発生し、美神さんを俺達の方向へ吹っとばし、美神さんは木に背中からぶつかる。
「令子ちゃ〜〜ん!!」
 冥子さんが心配そうな声をあげる。
 そして祠が吹き飛び、赤い光りの柱が現れる。
「何?」
 美神さんが起き上がる。
「まさか……」
 そして……その赤い光りの中から人影が見える……
「復活したでな〜〜!!」
 そして赤い光りが辺りに飛び散って、結界を少し破る。
 ああ……復活しちゃった……
 そこには一人の戦国武将みたいな奴がいた。吸血鬼の牙を剥き出しにしているそいつ…服は戦国時代の物と思われるが……カッコ悪い……しかもムサイ男だ……
「何あいつ!」
「やはり、織田信長!」
「「「ええっ!!」」」
 予想はしていたが……織田信長か……
「ものすごい霊力です!」
 おキヌちゃんの輪郭が相手の霊力によって少し歪む………
 とりあえず俺は文殊「霊壁」をおキヌちゃんに張って姿を保たせる。
「おキヌちゃんにまで影響が出るとは……」
「織田信長が……ノスフェラトウ!」
 確かに、今までの悪霊達と比べ物にならない強さだな……
「素晴らしいわ!力が全身に漲っとるがね!」
 そう言うノスフェラトウの後ろにさっき美神さんを傷つけた蜘蛛が人間の姿になる。
 こっちはだいぶカッコ良く、牛若丸を彷彿とさせる。
「お館さま!お懐かしゅうございます!」
「蘭丸、ついにワシが天下を取る時がきたでな!」
 信長は言いながら首をコキコキ鳴らす。
「ははあ〜!!」 
 お前らが天下を取れるか?多分小竜姫様より弱い気がするが……もちろんルシオラやアシュタロスクラスでも無いし……
「美神君、槍だ!精霊石の槍で奴の心臓を!」
「ええ!?」
「そうです美神さん!奴は吸血鬼だ、吸血鬼の一番の急所は心臓なんです。あれだけ大きな精霊石ならきっとうまくいく!」
 確かにピートの言う通りあれだけ大きな精霊石で心臓を刺せば……
「いやっ!」
「「「だああ!!」」」
 俺達はみんなこけました。さすが美神さん(笑)
「そんなことして大事な精霊石が欠けでもしたらどうするの!」
 美神さん、貴方って人は……
「美神君!今はそんな事いってる場合じゃ……」
「いやったらいや!槍を使うなんて絶対いやですからね……」
 とその時、美神さんに気を取られていて気づかなかったが、ノスフェラトウがすぐそばに近づいていた。
「ゴチャゴチャ五月蝿い奴らだな!」
「キャア!」
 美神さんが捕らえられる。
「令子ちゃ〜〜ん!!」
 冥子さんが叫ぶ!
「さっきのおみゃあの血は美味かったぞ、どれもう一回ちょう!」
 ノスフェラトウは美神さんの血を吸おうとする。
「させるか!冥子さん!!」 
「はい〜〜ビカラちゃん!お願い〜〜!!」
「ぐぎゃあああ!!」
 俺の草薙の剣で腹を薙ぎ、美神さんを離したスキにビカラが体当たりをしてノスフェラトウを吹き飛ばす!
「……ワシに傷をつけるとは……おみゃあもなかなかやるでな……」
「美神君、槍を受け取りたまえ!」
 そう言って唐巣神父が槍を美神さんに投げる。
「横島君、冥子、先生、サンキュー!」
 美神さんは槍を受け取りノスフェラトウに向ける。
「む!その槍は!!」
「お館さま、ここはいったん……」
 蘭丸がノスフェラトウを制する。
「しゃあああ!!!」
 そしてノスフェラトウがこちらに衝撃波をぶつけてくる。
 いきなりの攻撃だったので、文殊「護」を発動させ防ぐ。
 そのスキにノスフェラトウはコウモリの羽を生やして、空に逃げていった。
「待て!ノスフェラトウ!」
 俺は追おうとするがすでに姿が見えない。
「ふ……ふふふ……この美神令子に喧嘩を売ってただですむと思わないことね。ノスフェラトウ!!」
 ………え〜と……な、なんか後ろが物凄く怖いんですけど……
 俺は後ろにいる美神さんが怖くて振り返れなかった……

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