ザ・グレート・展開予測ショー

狐と少年


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/31)








とてもとても天気の良い日。
野原を走る子供がいるよ。


「横っち〜?
 どこにおる〜ん?」


とても大事なお友達。
遠足だから遊ぼうよ。

でも親友は見つからない。
中々親友は見つからない。


「横っち〜?
 さっきそこの林ん中入ってったで〜」


幼馴染の女の子。
少年の好きな女の子。
親友も好きな女の子。
お話出来てちょっと嬉しい。
お話するとちょっと恥ずかしい。


「横っち〜?」


そこはもう林の中。
ちょっと暗い林の中。


「おらんの〜?
 返事せ〜よ?」


熊が出たらどうしよう?
狼が出たらどうしよう?

少年は少し怖がりで。
でも親友は怖がらない。

だからきっとここに居る。
だからもっと探してみる。




――――いた?!!




「横っち〜何しとるん?」


親友はしゃがんでる。
何かを抱えてしゃがんでる。

少年は気になって覗き込む。

君の秘密は僕の秘密。
僕の秘密は君の秘密。

少年は気になって覗き込む。

それは二人の友情だから。
それが二人の宝物だから。

少年は気になって覗き込む。

一緒に何でも話そうよ。
一緒に何でも話してよ。


「きつ・・ね?」


見えた狐はとっても不思議。
綺麗な上にとっても不思議。
尻尾が沢山。
怪我も沢山。


親友の手は傷だらけ。
赤い線の傷だらけ。
今は狐がペロペロ舐めてる。
すまなそうにペロペロペロペロ。


「銀ちゃん・・・?」

「その狐、どうしたん?」

「怪我してたから看とった」

「手が傷だらけやん?」

「おびえとったんやろ〜な〜。引っかかれたわ」

「今は舐めとるやん?」

「敵やないって分かってくれたんやろ?」

「どうするん?」

「どないしよ?」


少年達は沈黙する。
小さな狐は静かに見つめてる。





「なぁ?
 お前・・・一緒に来ぃへん?」









こうして狐は街に出る。
少年と一緒に街に出る。
























―――――――――――― 狐と少年。 ――――――――――――









山から街へと出る狐。
山から狐を出す少年。


おうちに帰ってさぁ大変。
パパママ騙してさぁ大変。



「はぁ〜。うちのマンション、動物飼うの禁止やもんな〜」



ちらりと狐を見る少年。
ちらりと少年を見る狐。



ニコッ



狐に微笑む優しい少年。
笑顔に和む孤独な狐。




ドロン☆




狐は全てを見せ付ける。
これが私と見せ付ける。



「な・・・な・・・」



化けた狐は女の子。
とっても可愛い女の子。



「うふふ♪」










「へえ〜?そうやったんか〜」

感心するのは少年。

「そーゆーこと。
 人間って勝手よねー」

お稲荷さんをパクつきながら応じるのは不思議少女。

不思議少女はとっても不思議。
見た目は14、中身は数百。
ナインテールはポニーテール。

「じゃあさ!これで家に住めるやろ!?」

喜ぶ少年。
躊躇う少女。

「アンタの親が許してくれるはずないでしょ?」

少女は狐で、少年と両親達は人間で。
少女は狐で、人間に迫害されていて。
少女は狐で、人間が信じられなくて。
少女は狐で、だけど少年は優しくて。

「大丈夫やって!うちのおかんは怖いけど優しいんや!!」



怖くて優しい?
良くわからない。
でもこの少年は怖くない。
だからちょっとだけ信じてみよう。
この少年を信じてみよう。
騙されるのは慣れてるけれど。
この子が言うなら大丈夫かも。
この子の親なら大丈夫かも。








「へぇ〜?世の中不思議な子もいるんだね〜」

私に言わせれば、少年も母親も不思議。
私を見ても、知っても、怖がらない。襲わない。

「ま、GSだっけ?
 悪霊退治の専門家がぼろ儲けする時代だしなぁ。
 いや〜、実は俺は娘が欲しかったんだよ〜」

お父さんはちょっと不純・・・カナ?

でも不快じゃない。
この家族は不快じゃない。

「ホンマはお姉ちゃんが欲しかったんや!!
 ええやろ?!
 家に居ても!!」

だからここに居てみよう。
許されるなら居てみよう。

「良いんじゃない?
 動物は駄目でも、妖怪は駄目なんて書いてないしね〜」

「OK、OK!!
 こんな可愛い娘が出来るなら、むしろ喜んで!」

「やってよー?
 良かったやん?・・・あれ?
 そういえば名前聞いてへんな」




これは狐と少年のお話。
孤独な狐が幸せになる、そんなお話。




「タマモ・・・よ」















続く・・・・カナ?


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