ザ・グレート・展開予測ショー

spirit of the globe-2-


投稿者名:小梅
投稿日時:(02/12/30)

 それは独り言のような、小さな声だった。
 「えっ?」
 横島は思わず美神のほうを振り向いた。
 美神は無言のまま海を見つめている。
 「・・・今、何て・・・?」
 横島は自分の耳を疑った。
 いや、ホントは聞こえてた。
 聞こえてたのだが、もう一度確かめずにはいられなかった。
 「聞こえてなかったんなら別にいーわよ」
 くるっと踵をかえす美神。
 えっ!!
 「ちょ・・・ちょっと待って下さいよっ!」
 思わず美神の腕をつかむ。
 つかまれたまま、美神はそれ以上動かなかった。
 「あ・・・あの・・・」
 「・・・・」
 美神は無言のままうつむきかげんで向こうを向いている。
 「・・・いいんですか?」
 横島にしては珍しく真面目な声だった。
 いつもなら理性が吹っ飛び、「美っ神さーん!!」と飛びついたところに「ガツーン」とキツイ一撃をもらうのだが・・・。
 「美っ神さーん!!」と「ガツーン」は常にワンセットなのである。
 「する気がないならしなくていいんだからね」
 「ありますよ!」
 横島は慌てて否定した。
 このチャンスを逃がしたら、おそらくこの先永遠に美神にキスできることなんてないだろう。
 しかし、慌てて否定したことによって、何かを強く肯定したかのようだった。
 二人とも、押し黙ってしまった。

 
 「する気は・・・ありますよ」
 横島はもう一度言った。・・・静かに。
 美神の腕をつかむ力が、少しだけ強くなる。
 美神は顔が熱くなっていくのを感じた。
 そしてゆっくりと、横島のほうへ向き直った。
 
 
 目が合った瞬間、二人の心臓はいっそう高く鳴った。
 なぜか、視線を反らすことはできなかった。
 

 あの難攻不落の美神さんとキス・・・。
 マジッスか!?
 「ガツーン」もなくていいんですかねッ!?
 いや、別に「ガツーン」してほしいわけでもないんだが、「ガツーン」は今まで当たり前になってたわけで、「ガツーン」のない美神さんなんて、今までありえなかった・・・。
 けれども、これは現実なのである。
 今、目の前にいる美神は、いつものタカビーでゴーマンで・・・というふうではなく・・・。
 まるで年下のような、かわいらしい、「女の子」だった。



 「・・・あの・・・じゃ、目・・・閉じてください」
 「・・・・」
 無言のまま、美神は素直に目を閉じる。
 横島は静かに美神の両肩に手を置く。
 一瞬、それはほんの少し震えたように思えた。
 

 ・・・潮の香とともに、美神の香水の香りが、ほのかに感じられる。
 心臓は早鐘を打っていた。
 波の音と、鼓動の音が、重なり合い・・・。
 やがて二人の唇は、そっと、触れ合ったのだった。
 ・・・それは、優しいキスだった。


 
 「おかえりなさーい!ずいぶん遅かったんですね〜」
 事務所に帰ると、深夜にも関わらず、おキヌは二人を明るく出迎えてくれた。
 しかしさすがに眠そうだ。
 「う・・・うん、まあね・・・」
 「あは・・・あははは〜」
 どこかいつもと違う様子の二人に少し疑問を抱きつつも、おキヌは明るい笑顔で暖かいコーヒーをいれてくれた。


       −続くー
          ・・・てか終われなかったんです汗・・・

   

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