ザ・グレート・展開予測ショー

キズアト〜U〜


投稿者名:ナイン
投稿日時:(02/12/30)


これはココロにけして癒えることのない「キズアト」を負った青年、横島 忠夫の独白。


〜東京タワー〜

夕刻、自分の両手を自分の両手を見ながら青年は、誰にとも無く嘆く
「どうして・・・どうして俺なんかを助けたんだよ・・・・お前が居なくなったら、
俺が生きてく意味が無いだろう・・・バカヤロウ・・・・・」
青年の左手首には、生々しく残る傷跡がある、それは自殺者の手にあるそれであった。



ルシオラが居なくなって、事務所に行きずらくなった。きっと、美神さんやおキヌちゃん
それにシロもタマモも俺に気を使っていつもどおりに接してくれるだろう、だけど・・・だけどそれは俺にとっては、苦痛でしかない。
そんなときどんな顔をすればいいかわからないんだ、もう昔みたいには笑えないだろう
いっそ「なぜ彼女を死なせた!おまえが悪いんだ!」と言ってもらったほうが楽だと思った。
なぜ自分には、力が無かったのだろうかと、あのとき自分の大切な人を守るだけの力が・・・
なぜ、ルシオラに出会ってしまったんだろうか、そうすればいつもみたいにみんなとバカなことをやって笑い会っていたのに。
そんなことが頭によぎりすぐにそれを振り払う。

死のうともした。
自分の左手にカッターの刃を当て横に薙ぐ、赤い血が止めど無くあふれる、
自分が人である証、自分の生きている証拠、そのとき必ずルシオラの笑顔がよぎる
左手からあふれる血を見て自分がたまらなく愚かに思えてくる、ルシオラが与えてくれた命を、
自分で捨てようとしたのだから、

「また殺すのか、またルシオラを殺すのか」

そんな言葉が聞こえてきたような気がして最後まで切れなかった。そして声をあげて泣き叫んだ、自分の愚かな行いを悔いるように。


そのあとは街を歩いた、目的も無くただ単調に
街は人々で賑わっていた、そのなかで自分だけが場違いな気がしてくる、まるで自分だけ色の塗られていないような感じ
けして見つからないモノを探すようにただ歩いた、


いつのまにか東京タワーに来るようになっていた、彼女と夕日を見た場所だ
気ずかれないように文殊で一番上に昇る
夕日を見ながらルシオラが自分の子供として生まれてくると言われた時のことを思い出していた
会いたい、でも、どんな顔をして会えばいい・・・
よくわからない気持ちを抱きながらつぶやく


「俺は・・・どうすればいい・・」


夕日は答えずただ佇む


「・・・これからどうしよう・・・」





・・・・そしてその日から横島 忠夫は皆の前から姿を消す・・・・

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