ピートのお悩み相談
投稿者名:通行人A
投稿日時:(02/12/29)
それは毎度、突然の事だった。
「うわああああああああっ!!!!先生ーーーーーーっ!!!!」
GS界においてその実力は十本の指に入るであろう、と評判の高い唐巣神父の
もとにその弟子であり、半吸血鬼のピートが駆け込んできたのは。
「先生!!僕は、僕はーーーーーーーっ!!!!(泣)」
(・・・ああ、またかね・・・確か以前は学校で十字架型のアクセサリーが流行ったらしいし、その前は調理実習でニンニクを使う料理ばかり作らされたとか言ってたような・・・)
唐巣は以前からピートの悩み・・・毎回同じようなものを延々聞かされており、いい加減うんざりしていたが、それを表面に出すわけにもいかない。
これが最後と願いながら、いつものように対応することにした。
「どうしたんだね?何があったか話してごらん。きっと楽になるから・・・」
見る者全てに安堵感を与えるような笑顔を前に、ピートは少しずつ口を開いていった。
「うぅ・・・実は・・・明日・・・・・・」
「うんうん、明日に?」
「明日、学校で・・・・・・
・・・・・・・音楽のテストがあるんです!!!!あぁガッデム!!」
「・・・お、音楽のテスト・・・かね・・・?(汗)」
「しかも・・・・・・歌のテストなんです!!!!・・・あぁ、もうおしまいだ・・・そう、僕は結局半人前で音痴なバンパイアハーフでしかないんです・・・
諸行はあまりにも無情だぁ・・・」
真っ白に燃え尽きているピートを見て、唐巣神父は疲れた顔を隠すように手で顔を覆った。
「・・・あぁ・・・それは大変だね・・・ハァ(溜息)」
ピートが音痴なのは周知の事実であるが、今更それを直すだけの時間は絶対的に足りない、かと言ってこのままにしておくのは唐巣やピートの精神面にとってよくない。(特に唐巣)
結局いつものように、唐巣は悩めるバンパイアハーフを励ますことにした。
「・・・ピート君」
自分の名を呼ぶのを聞き、ピートは焦点の定まっていない目を唐巣の方に顔を向けた。
「・・・歌というものは上手下手の問題じゃあない、肝心なのは心なんだ・・・」
「・・・・・・heart?」
「そう、心だよ。歌とは心の表現なんだ。だからピート君はありのままに自分の心を表現すればいい・・・。一生懸命歌れば、きっと聞く人たちの心にも、君の心はきちんと届くものなのだよ・・・。私はそう思っているよ」
ピートは顔を俯けたまま、小さく言葉を紡いでいった。
「・・・うたは・・・ココロ・・・そうか・・・音痴でもいいのか・・・!!
ぼくは音痴であることを恥じていた・・・でも音痴でも心がこもっていれば・・・
音痴な歌もミリオンヒット、紅白出場も夢じゃないということなのか・・・!
そういうことですよね!先生!!」
(・・・いや、そういうことじゃあないだろう・・・)
唐巣は思わず出そうになったツッコミを防いだ。本人がよければそれでいいし、なによりこれ以上面倒なことは御免被りたい、という思いが強かったから。
しかしさすがに次の日、ピートの音楽のテストの最中に学校の校舎が半壊したのを聞いてキリキリと痛む胃をおさえずにはいられなかった。
ピエトロ・ド・ブラドー。彼の人間との共生への道は遠い・・・・・・・・
今までの
コメント:
- 通行人Aさん、お久しぶりです♪ ピートの殺人的な音痴をネタにしたストーリー、面白かったです(笑)。ピートの場合、性格面などでは非の付け所がほとんどない人ですから、多少は弱点っぽいものがあった方がいいですよね。けどそう言った点も彼の場合女の子にモテル理由になるみたいですし...少なくとも女性とは共生するのはたやすいかもしれません(爆)。あぁ! 憎しみで人が(以下略)。そんな彼の贅沢な悩みに一応でも耳を傾ける素振りを見せる唐巣神父が「らしい」気がしました。投稿お疲れ様です♪ (kitchensink)
- なるほど、音波殺人兵器ですか(違う)
音痴だろうが、確かに心がこもっていれば感動を呼ぶってのは、何気にあるもんです。むしろ、下手な歌だからこそ、気持ちが伝わるってことも。ただ、学校を半壊させるほどの―――もはや、悪意以外の何者も感じることは出来ませんな・・・(苦笑)精神衛生上良くない音痴ってのもそうそういませんが、ピートかジ○イアンくらいなもんでしょうね・・・多分。
(veld)
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