ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−25


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/28)




「フ、フフフフフフフ・・・・。
 アハハハハハハハ♪
 OK♪
 認めようじゃないか♪
 確かに僕の夜天光は負ける。
 これは確定のようだ。
 でも僕はまだ死ぬつもりないんだよ♪」

ついに気が触れたのか?
そんな視線がヤマサキに注がれる。

「さ〜、みなさん♪
 ここは撤収の準備だよ〜♪
 大事な資料はバックアップを取って4Fに移動しまーす♪」

ヤマサキの意図が読めない部下達。

「ヤマサキ博士・・・?
 逃げるのではなく、4Fに行くのですか?」

「そうだよ〜?
 どうせこの研究所の周りは協会の特殊部隊が包囲してるよ♪
 美神達だけではなく、僕達をも逃がさないようにね♪」

「な?!どうして我々が?!」

「機密保持のためさ♪
 この研究所がどういう場所かなんて君だって知ってるだろ〜?
 協会としては知られちゃまずいことのオンパレ〜ド〜♪」

大げさなジェスチャー交じりで解説するヤマサキ。

「だから最低限、彼女達は僕達で始末しなきゃいけないのさ♪」

「それが4Fに行くのとどんな関係が?」

「彼らはそこの横島君を見つけたら解放するだろうね〜♪」

うんうん。何故か頷きながら言う。

「で、横島君を解放した後は僕達の捕縛にかかるだろうね♪
 そう!!!
 ”横島君”を筆頭に4Fまで来るだろうね〜♪」

「あっ!!4Fにはルシオラ・・・」

「そういうことだよ〜♪
 分かったなら動いた動いた♪
 そうそう、横島君の霊波ジャミングは止めておいてよ〜♪」


一瞬、照明が暗くなる。
施設の電力が大量に、一気に消費されてる証拠だ。


ズンッ!!


そして腹の底に響くような重低音が研究所全体に響く。


「さぁ!!
 夜天光もやられちゃったようだよ!!!
 急いで撤収!!!
 残ってる試験体もバンバン出しちゃって!!!!」









完全に吹き飛んだ究極の魔体を眺めつつ、タマモとシロは同時に回想していた。



断罪の炎を纏った剣<レヴァーティン>。
最初にそう呼んだのは美神だったか。
もちろん、熾天使ミカエルが持つ本物ではない。

そもそもの発端は、タマモの悪戯だった。
常日頃から、シロを幻術でからっていたタマモだったがシロも馬鹿ではない。
次第に幻術を見極めるようになってしまった。
そこでタマモはさらに強烈な幻術を試すことにした。
犬族同士のシンパシィ(共振)を利用して、表層的ではなく、もっと深い場所で幻を見せようと試みたのである。
悪戯どころか意地になって幻覚を見せようと、シロの本能の部分にまで干渉を始めたタマモ。
そこでタマモは凄まじい物を見つけることになる。


シロの本能――――無意識の原初の海に眠っていたのは天狼フェンリルであった。


元々、シロの一族にフェンリルの血が流れているのは犬飼ポチの件で聞かされていた。
そしてシロの無意識の海の端末がフェンリルにアクセスする力を持つことタマモは知ってしまったのだ。
下手に弄くって意識がフェンリルと直結してしまえば、シロは破壊欲求の権化フェンリルと化してしまう恐れがある。
それ以来、タマモはシロに幻術を見せることを諦め、フェンリルの件は胸にしまっておいたのだった。

しかし、横島の行方不明という非常事態。
それに焦りを覚えていたタマモは同じく焦るシロにそのことを話し、1つの提案をする。

自分と共にフェンリルの力を制御してみないか。

と。




その結実が目の前に転がっている。
吹き飛んだパーツは未だに燃え続け、直撃を受けたパーツは炭すら残らず消滅している。
しかも、敵を挟んで向こう側にいた美神達すら一部巻き込んでしまった。





「な、なんて非常識な威力だ・・・」

瓦礫の山を吹き飛ばして出てきたのはワルキューレとジーク。
徐々にチームのメンバーが姿を現す。

「まだ威力の調節が出来ないのよ」

タマモが肩を竦めて応じる。

「全く・・・末恐ろしいよ」

ジークが唐巣の救出をしつつ呟く。

「だから私の許可がなければ使わせないようにしてるのよ」

埃を払いつつ美神。

「それは別の意味で不安なのは俺だけか?」

言った直後に吹き飛ばされる雪乃丞。

「アンタだけよ!
 全員生きてる〜?」

赤い海に沈む雪乃丞。
キジも鳴かずば撃たれまい。
そんな哀れみの視線を向けつつ、味方の確認とヒーリングを始める一同。


と、急に奥への扉が開く。


「「「「「「「「「「ん?」」」」」」」」」」


一同が視線を向けた先からは、有象無象の人造魔族・人造妖怪が溢れ出していた。










「済まないね〜。横島君。
 後でもう一度やってあげるから、ちょっとだけ我慢しておいてくれるかい?」

そう言って、一番最後に地下3Fから地上4Fへ直通のエレベーターに乗り込むヤマサキ。

「ん〜。
 試験体が30体。
 それでどのくらい保つかな〜?」

「精々、10分ほどでしょう。
 神族・魔族まで参戦してるようではあまり期待出来ません」

「だよね〜。
 さ、着くよ♪」


チンッ


4Fに到着。
エレベーターの扉が開く。
視線をクローン室への通路へ向けるヤマサキ。



赤。赤。赤。



通路中に研究員達だった肉の塊が転がっている。


「な・・・なんだい?これは・・・」

ズシャッ!!!

振り向くと、すぐ後ろに立っていた部下の胸から鉾が突き出ている。

「カ・・・ハッ・・・」

部下が倒れると一人の女が立っていた。
そしてその女はニヤリと笑いながら言った。


「ヤマサキヨシオだね?
 アンタに力を貸してやるよ」










「いい加減に死んじまえ!!!!」

雪乃丞が口汚く罵りながら留めを刺す。
そこら中に人造魔族・妖怪の骸が転がっている。
周りを見渡せば、仲間達もうんざりした様子で戦っている。

とにかく敵が固い。
そして固いだけ。
敵の攻撃はショボショボ。
魔装術無しでも無問題なほどにショボショボ。
しかし固い。
雪乃丞や美神の一撃をもってしても、削る程度のダメージしか与えられない。

「美神の姐さん?
 さっきのレヴァーティンをもう一発ってのは駄目か?」

いい加減、うんざりして提案する。
ちらりとシロ・タマモに目を向けると、タマモは無表情。シロはぎこちない笑顔を返してくる。

「?」

「・・・あんな威力の技を連発出来ると思う?
 いくら頑丈で妖力が高いからって限度ってもんがあるのよ」

令子が呆れた口調で突き放す。

「じゃあ何か手はないのか?
 このままじゃ時間を食い過ぎるぜ?」

分かっている。
令子にもそれは分かっているのだ。
そして敵をさっさと片付けてしまえるプランも頭に浮かんでいるのだ。
後は令子の決意1つ。
その躊躇いを容赦なくぶち壊す・・・
あるいは、令子が決断を下すまでもなく”彼女”が暴走を始め、最後の手段と定めたカタストロフィが起こる。



ビシュッ!!

ぴっ!

鋭い敵の一撃が彼女の頬を掠める。

「あ・・・・血が・・・」

「え”・・・」

令子が悪寒と共に彼女を見つめる。

「ふ・・・ふえ・・・」

「あっ・・・バカ!!泣いちゃ駄目よっ!!」




「ふえ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!」



彼女は暴走。
式神も暴走。


「落ち着いて冥子!!
 式神のコントロールを・・・・・!!!!」


「ふええ――――――――ん!!」



































10分経過。



「ま、またこのパターンですか・・・」

おキヌが疲れた顔をして呟く。

「け、結果オーライよ。
 敵は全滅してるじゃない?
 ・・・・こっちも壊滅寸前だけどね」

部屋を見渡すと、そこかしこが瓦礫に埋もれている。
レヴァーティンに冥子の暴走。
よくもまぁこの部屋が保ったもんだ。
ちなみに彼女はおキヌを抱えて地下3Fへのエレベーターの前へ移動。
エレベーターをカタストロフィから守ってたりする。
何時の間にかカオスとマリアがちゃっかりと令子の後ろに陣取ってるのはご愛嬌。

「ほんと・・・乱戦向きの娘よね。
 被害を考えなければだけど」

何時の間にか身だしなみまで整えている美智恵。

「ん?いつの間にここに来たのかって?
 最初からよ。
 ね?ピート君、唐巣神父?」

それに答えてヴァンパイアミストを解くピート。
同時に唐巣神父も姿を表す。

「光の屈折角度の調整・・・か。
 便利ねー」

「いえ、知性のある敵には霊波でバレちゃいますからね。
 ミスト化状態は霊波の塊みたいなものですから」

「まぁ良いわ。
 さすがに時間を食いすぎたわね・・・」

そんな会話を続けていると、続々と集まりだすメンバー。
結局、先に令子チームが揃ったので地下3Fに先行することになった。




「それにしても・・・ほんの15分の間、瓦礫に二度も埋められても生きてる私達って・・・」



美智恵の苦悩は尽きない。










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一度くらい暴走させとかないと出番が無さそうな冥子w
冥子ファンのみなさまごめんなさいw

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