ザ・グレート・展開予測ショー

横島 IF 第三、五話  (A)


投稿者名:777
投稿日時:(02/12/28)

気絶から覚めると、おキヌちゃんがエラいことになっていた。


『しゃ〜こ しゃ〜こ しゃ〜こ』

「うふふふふふふふふ・・・・・・」



どこかイッちゃったような顔して、ごつい肉切り包丁を研ぐおキヌちゃん。

………一体、何をさばくつもりなのカナ?

けれど、おキヌちゃんは何も答えない。




『しゃ〜こ しゃ〜こ しゃ〜こ』

「うふっ、うふふふふふふふ・・・・・・」




イッちゃった顔して研ぎ続けるおキヌちゃん。

………君の後ろに置いてある、『人間大の何かを塩漬けに出来る』くらい大量の塩は、一体何を意味するのカナ?

けれど、おキヌちゃんは何も答えない。




『しゃ〜こ しゃ〜こ しゃ〜こ』

「うふっ、うふっ、うふふふふふふふふ・・・・・・」



イッちゃったまま帰ってこないおキヌちゃん。

………俺を縛る、この呪縛ロープは何なのカナ?

けれど、おキヌちゃんは何も答えない。



視線で美神さんに助けを求めてみる。

だが、美神さんは憐れむかのような眼でこっちを見て・・・








「味見するの、私なんだってさ」

何の味見だ。





『しゃ〜こ しゃ〜こ しゃ〜こ』

『ぎらっ』

「うふふふふふふふふふふふ」

どうやらおキヌちゃん的に満足のいくところまで研ぎ終えたらしい。

包丁を光らせて満足そうな笑みをもらすと、おキヌちゃんはくるり、とこちらを振り向いた。

「あら、『肉』島さん…いえ、横島さん、気づいてたんですか?」

何故そんな間違え方をする。

片手に肉切り包丁を光らせたまま、笑顔でにじり寄ってくるおキヌちゃん。

「私…いま、実はすっごく怒ってるんです」

包丁をフリフリ、笑顔でおキヌちゃんが迫ってくる。

美神さん、俺の目の前に悪霊がいます。

早く除霊してください義弟がピンチ。

「何で怒ってるか…分かりますよね?『肉』島さぁ〜ん」

あ、訂正してくれない。

心当たりかぁ…あれ、だろうなぁ…。

「お、俺がおキヌちゃんを…その、し、塩漬けで食べようとしたから…です」

俺の答えに、おキヌちゃんが笑みを深くする。

そのまま顔を俺の目前5センチほどにまで近づけて……同時に、ぴたり、と俺の首に肉切り包丁を押し当てる。

「…………どうして?」

おキヌちゃんの、たった四文字の問い。

目の前の温かい笑顔が、押しつけられた冷たい刃が、俺の理性を狂わせる。

だから俺には、この言葉しか言えなかった。





「………ごめんなさい」





俺のその言葉を聞いても、おキヌちゃんはじっと俺の顔を見つめたままだった。

だが、やがてふい、と顔を逸らすと立ち上がり(浮き上がり?)そのまま何も言わずに部屋を出ていってしまった。

「あ、あの…おキヌちゃん?」

呆然としたまま呟いた俺に、美神さんが苦笑しながら近づいてくる。

「とりあえず、目の前でスプラッタだけは避けれたみたいね。でも、彼女すっごく怒ってるわよ。今日はもう帰って良いから、何かご機嫌取りでも考えたら?」

呪縛ロープを解き、アドバイスをくれる美神さん。

そう言えばこのロープって誰がやったんだろう?

「…うぃっす。お疲れさまでした〜」

美神さんの事務所からでて、歩きながら考える。

ご機嫌取りかぁ…そう言うの、苦手なんだよね。

冥子さんあたりに相談してみようかな・・・。

治療もして欲しいしな、と俺は冥子さんの家に足を向けた。



――――――――――――


横島は知らない。

彼が立ち去ったあと、こんな会話があったことを。





「ちょっと…やりすぎちゃいましたかね?」

「平気よ。あいつにも良い薬になったでしょ…。ま、ちょっと怖かったけどね」

「そんなぁ。シナリオ考えたのは美神さんじゃないですかぁ〜。ひどいですよ、縛ったのも、お塩用意したのも、みんな美神さんなのに」

「あはは、ごめんごめん。でも、名演技だったわよ。おキヌちゃん」

「うー………。あの、横島さんに嫌われたり…しませんよね?」

「あれくらいで人を嫌うような奴じゃないわよ。自分が悪いって分かってるみたいだし。・・・ま、無い知恵絞って考えたご機嫌取りでも待ってたら?」

「へ?何ですか、それ」

「実は、あいつが帰るときにね………」




――――――――――――
第四話が思いつかない…。

苦し紛れに三、五話です。

字数オーバーのために次へ続きます。

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