++クリスマスの奇跡++〜雪の贈り物〜[2]
投稿者名:姫桜
投稿日時:(02/12/25)
私は急いでエレベーターに乗って、下に下りた。マンションを出たところは、中庭がある。そこの小さなベンチに、彼はちょこんとすわっていた。その姿がなんだか可愛くて、自然と口元が綻んでしまった。
「横島くん?」
私は、ゆっくり彼に歩み寄った。
「あ、美神さん、すんません。寒い中。」
彼は立ち上がって頭をポリポリ掻きながら言った。
「ホント、寒いわねぇ。で、何?用事は?」
私は、さっき彼が座っていたベンチにエラソーに腰掛けた。こんなときでも素直じゃない自分に腹がたつけど、これが美神令子なんだからしょうがない。
「えっと・・・その・・。」
彼はモジモジして、なかなか話そうとはしない。
「何?」
「あの・・・・・・。」
・・・・・・10分経過。
「話がないなら帰るわよ!寒いんだから!」
私はも〜イライラが最高潮に達した。10分も待ってあげたんだから、私にしては上出来だ。まぁ、この10分間の間、ドキドキしっぱなしで、心臓が飛び出そうだったっていうのは内緒だけど・・・。
私が、立ち上がって歩き出したその時、冷たい手が、私の腕をつかんだ。
「あの!!」
彼は、顔を真っ赤にして俯いていた。
「あの・・・俺、俺・・・。美神さんに会いたくて・・・。毎日会ってて、急に会わなくなったら、その・・・寂しくなって・・・。そんで、会いたくて会いたくてしょうがなくなって、気がついたらここに・・・。俺、美神さんの事・・・、好きでしょうがないみたいなんすよ・・・。」
彼は、らしくない事を、一生懸命に言葉を選んでゆっくり話し出した。
「え・・・・。」
私は、彼の冷たい手が心地よく感じるほどに、胸の底から熱いものがこみ上げてきた。
「・・・・守りたい。」
彼はポツリとつぶやいた。
「俺、美神さんのこと、これからずっと守っていきたい。」
今度は、まっすぐに私の瞳を見て、はっきりとした口調で言った。
「美神さんの気持ち、聞かせてください。」
わ、私の気持ちって・・・・。まだ心の準備ができてないわよ・・・。
「な、何言ってんのよ・・・」
と、その時、白い雪が舞いはじめた。ただ、静かに、周りの色を白く染め上げていく。
「・・・・守らせてやってもいいわよ。」
私は、彼が雪に見とれている間に、早口で言ってやった。恥ずかしいから、こんな事1度しか言ってやらない。
「へ?」
彼はマヌケな顔でパッとこっちを振り向いた。
「い・今なんて??」
やっぱり聞いてない・・・。
「1回しか言わないわよ!寒いんだから!」
寒いからっていうのは何か関係ないかも・・・。自分で言っておきながらそう思う。
「・・・・守らせてやってもいいかなぁ・・・って言ってんの!」
1度しか言わないって決めたのに、2度目の言葉を口に出してしまった。今日の私、何かおかしいわ!絶対!だからクリスマスはいやなのよ。
「美神さんっ!!!!」
「ちょ・ちょっと!!」
彼がいきなり抱きついてきて、私は身動きが取れなかった。いつもなら、殴り飛ばしてるところだけど、今日は・・・ね。
「俺、美神さんのこと、絶対に守り通しますから!」
「・・・バカ。そんな言葉は、一人前になってから言いなさい!」
雪は、尖ったものを丸くしてくれる。今日の私のらしくない、以外に素直な心も、雪のせいにしてしまおう。雪が止んだら、こんなヤツ、張り倒してやるんだから。
―――でも、雪が止むまではこのままでも、ま、いっか♪
☆HAPPY END☆
**こんばんは!姫桜です☆どうにかクリスマス中には書き終わりました(笑)クリスマス前から書きはじめたくせに、書き終わったのが25日の夜(笑)ものすごく遅いですが、クリスマスの物語です♪私の得意な横島君×美神さんの物語でクリスマス物語を書きました☆あったか〜い気持ちになっていただけたら幸いです☆みなさん、良いクリスマスを!!・・・もうすぐ終わっちゃうけど(笑)**
今までの
コメント:
- うふふふ♪(あたたかくなってます) うふふ(以下略)...。こーゆー展開が好きな私には堪らない作品でした(爆)。拙い言葉で不器用ながらも一生懸命に自分の気持ちを伝える横島クン、そして直接「好き」と言う言葉を使わずにこちらも不器用な様子でその想い受け止めた令子がそれぞんに「らしい」感じでした。ラストの方の普段とは打って変わって可愛らしい心情を見せる令子がツボでした(笑)。投稿お疲れ様でした♪ (kitchensink)
- 『ラブ』ですねぇ(はあと)
『ラブ』は良いですよ、ホント。(うっとり)
こんにちは、姫桜さん!ハルカと申します!!
正に正統派『ラブ』。堪能させて頂きました。
ホントに心が幸せになってくるSSでした。
おつかれさまでした。 (ハルカ)
- うわ♪ うわ♪ うわわ♪
クリスマスにひとりぼっちでいたところに、こんなこと言われちゃったら、もう、「きゅーん☆」ですよね♪ きゅーん☆(=^w^=)
よかったね、美神さん♪ (猫姫)
- 心温まる作品です(TT)
相変わらず素直じゃない令子・・・それでも10分待ってやるとは心境の変化ってやつでしょうか?(寒空の中10分って一般人でも怒りそうです・笑)
今後の二人が幸せになることを祈ってます♪ (ユタ)
- ■□kitchensinkさん□■
前回に引き続きコメントありがとうございます!こちらにまとめてお返事させていただきます☆最後の美神さんは自分で書いててもツボでした(笑)最後の「雪はとがったものを丸くしてくれる」っていうのがどうしても書きたくて、このお話が出来上がったんですよ。温まっていただけてよかったです♪
■□ハルカさん□■
ラブはいいですねぇ、本当に(笑)私も大好きです(笑)特にこの2人が☆幸せを感じていただけて嬉しいです☆コメントありがとうございました☆ (姫桜)
- ■□猫姫さん□■
前回に引き続きコメントありがとうございます☆コチラにまとめてお返事させていただきます☆本当、キューンですよね(笑)私も自分で書いてて「言われたいなぁ、こんな事」って思ってました(笑)
■□ユタさん□■
コメントありがとうございます☆10分待てたのは、ドキドキしっぱなしで、自分でも10分が10秒ぐらいに感じてたから・・・と、思ってます(笑)今後の2人の様子も書いていこうかなぁなんて、ユタさんの一言で思いました☆ありがとうございました♪ (姫桜)
- はうっ・・・美神さん、横島くんに夢中ですな・・・。恋する少女になっておられますな・・・。何か寒空の中で二人、十分間も向かい合っている光景ってのももう既に微笑ましい感じが・・・。見てみたいっ・・・顔をほのかに赤らめているであろう美神さんと、真っ赤にして口篭もってそうな横島の姿が見てみたいっ!! (veld)
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