ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−24b


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/25)





 まずはセオリーに沿って中距離から神霊砲を連発する神族達。

 さすがにその威力は凄まじく、防御フィールドに負荷がかかる。

 そしてその神霊砲が止むと同時に小竜姫と数人の神族が近距離戦闘に移る。

 振るう武器は神刀、神槍とバラバラだが、一振りごとに星の煌くが如き光を放つ。


 「「はぁああああああああッ!!!」」


 そこに加わる神通鞭(鞭状に展開した神通棍)の美神と魔装術の雪乃丞。

 その一撃一撃に重い音が響き渡るが、一向に防御フィールドが破れる様子はない。

 その反撃の魔力砲がおキヌ達に向きそうになると、鞭で魔体の腕を巻き取って、力と梃子の原理を応用して角度をずらす。

 同時に神霊砲が降り注ぐ。

 しかし防御フィールドが激しく明滅を始め、全ての攻撃を防ぎきる。或いは弾き返す。

 夜天光は一歩も動かず、魔力砲を拡散して撒き散らすか、ひたすら防御と反撃を繰り返すのみ。

 それが既に10分近く繰り返されている。

 10分も経った頃には美智恵や唐巣達も戦線に復帰し、その攻撃は苛烈を極めた。

 ヒャクメやカオスがそれぞれに結論を出したのはその頃であった。


 「見つけた!!
  フィールドにムラが出来るのねー!
  前に集中している間は後ろのフィールドが弱ってるのねー!!!
  一ヶ所にかける負荷を増大させれば他方はどんどん弱くなるのねー!!!」


 「動力源はずばり電気じゃ!!!
  フィールドの出力が上がると、研究所自体の電圧が下がっとる!!!
  巧妙に隠されておるが、足元に電気を魔力に変換する魔方陣が書かれとる!!!
  その証拠に奴はそこから一歩も動いてはおらん!!!」 



 「その程度のことくらいすぐに見つけんかー!!!
  このボンクラどもーーー!!!!」



 令子の神通鞭で吹き飛ぶ2人。




 ちらりと母美智恵に目をやる令子。

 ――――貴女に指示を任せるわ。

 アイコンタクトでそう伝えてくる美智恵。


 「OK!!!
  足元を集中的に狙って!!
  まずは動力を絶つわ!!!
  別に敵にダメージを与える必要はない!!!
  とにかく床を削って魔方陣を消して!!!」







 ズドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!



 一斉に夜天光の足元に降り注ぐ魔力と霊力と神力。

 場所が場所だけに態勢も悪く、さすがに捌ききれなくなった夜天光が後退を始める。

 そして徐々に徐々に不可視の魔方陣が削られていく。

 魔方陣が半分も無くなった頃には、フィールドの出力はかなり低下していた。



 「良し!!!次はシロ!!タマモ!!!」

 指示を出しながらも令子の息は荒い。

 令子だけではなく、参加している全員の息はかなり荒くなっている。

 そんな中、令子の指示で戦いを見守っているだけだったシロとタマモ。


 「楽をさせてあげてたんだから、準備は出来てるんでしょうね?!!!」

 「当然でござる!!!今か今かと出番を待ってたでござる!!!」

 「ふーん。もしかして一番美味しい所かな?」

 余裕で応じる2人。

 他の面子はこんな子供に任せて良いのか非常に不安になったが、2人の術を見た途端に目を見開く。


 「行くわよ!ドジるんじゃないわよ馬鹿犬!!!」

 「誰に言ってるでござるか!!!!」


 シロが今まで練り上げた霊力を霊波刀に注ぎ込み、ソレは限界まで極大化される。

 その脇ではタマモが目を閉じて集中する。9本のポニーテールが重力に逆らって宙を漂う。

 そしてシロが霊波刀を高々と掲げる。

 タマモの狐火がシロの霊波刀に纏わりつき始める。

 霊波刀の色が徐々に紅く染まっていく。

 霊波刀と狐火が完全に1つになった瞬間、熱気が噴出し、部屋の温度が一気に上がる。



 「だ・・・断罪の剣?」

 神族の誰かが呟く。

 「そうよ。
  神界の実力者の一人であり、炎を司る熾天使ミカエルが持つ断罪の剣<レヴァーティン>。
  ま、本物には及ばないけど威力は折り紙付きよ」

 美神が得意げに話す。

 「そうですよね。シベリアの研究所なんて、一撃で吹き飛んじゃいましたもんね♪」

 おキヌもまた自慢げに話す。

 美神はそれを聞いて一瞬で青ざめる。













 一瞬、時が止まった。











 「・・・・・・令子。
  旧日本兵の亡霊って話じゃなかったかしら?」

 「オホホホホホホホホホホホホホホホ!」

 「フゥ〜。
  今はそれどころじゃないから良いけど・・・」

 「そ、そうよママ!
  第一、あそこだってGS協会管轄の秘密研究所だったのよ?!
  裏で何をやってるか分かったもんじゃないわ!!!」

 必死で弁明する美神。

 「あの・・・その件は置いておいて、さっさと始めませんか?」

 「そ、そうね!
  シロタマがあの位置から。
  私達は回りこんで正反対の位置から一斉攻撃よ!!!」

 「後でじっくり聞きますからね?」

 美智恵が令子の耳元で囁いた。アーメン。







 地下3F、監視室にて。

 「ま、参ったな〜。
  弱点を見破られた上に倒されちゃいそうだな〜」

 さすがにヤマサキの表情も優れない。

 「あのレヴァーティンって技。
  シベリア研究所を一撃だったよね〜?
  さすがに夜天光でも厳しいなぁ・・・。
  フィールドの出力を上げれば防げるだろうけど、研究所のブレーカーが落ちちゃうよ・・・」

 見れば部下の研究員達も浮き足立っている。

 彼らは舐めすぎていたのだ。

 夜天光の圧倒的な強さに溺れていたのだ。

 アシュタロスを破ったメンバーがアシュタロスより弱い夜天光を倒せないはずがない。

 例え中核を成した横島を抜きにしても、その強さは圧倒的なのだ。

 その矛先が今、明らかに自分達へ向いている。

 法の外にあるこの研究所。

 この研究所では何をしても彼らが罰せられることはない。

 つまり逆を言えば、彼らが何をされても罰せられることはないのだ。

 事ここに至って初めて、研究員達は強者(研究者)に対する弱者(モルモット)の気持ちを味わい始めていた。






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