ザ・グレート・展開予測ショー

パラレル大作戦!! こんな出会いでもいいじゃない!2


投稿者名:★
投稿日時:(02/12/19)



 構内に響き渡った絶叫から始まった朝のHRは、収拾の事態を見せることなく、逆に更なる混乱を招き、そのまま阿鼻叫喚の1時限目に突入した。

「キミ、人生を投げちゃいかんッ!キミの人生はまだまだこれからなんだぞ!?どうか、考え直してくれッ!!」

 大慌てで教室に飛び込んできた担任の教師は、クラス委員から説明を受けると一瞬気を失いかけるが、何とかとどまることに成功すると、蛍に対し必死の説得を開始した。

「ぐ、具合は悪くない?体調は大丈夫?……風邪気味なのかしら?ひょっとして、インフルエンザ!?」

 担任の説得を、困った顔をして聞いている蛍を、心配そうな顔で女生徒たちが代わる代わる話しかける。

『こ、これも青春なのかしら?そ、そうね、青春よね!?』

 この場で一番の年長だが、その割に絶対的に人生経験の少ない机妖怪の愛子。蛍の返事を聞いて感じた胸の痛みに首をかしげながら、これも『青春』なのだと自分を納得させていた。

「う、嘘じゃーー!!横島さんに彼女ができるなんて嘘じゃーー!!」

「信じんっ!我輩は信じんぞぉー!!」

「ばかなっ!なんで横島がっ!?」

「こんな、こんなことは間違ってる!!」

「悲しいけど、これってっ戦争なのよね(?)」

「横島に彼女ができるはずなどないのだッ!!何故かァ!!」

「坊や(?)だからさ……」

 絶叫するタイガーを筆頭に、右往左往し中には自己崩壊しかけている男子達。

 そして、肝心の横島はと言うと、

「ふへへへへ……お、俺に彼女?……彼女が俺に?……い、いや、これは、ゆ、夢に違いない!そうかー、夢かー、そうっ!目が覚めたら教室で居眠りってオチに決まっとる!!……ってゆーか、ならっ覚めるなッ!俺の夢ーー!!」

 いい感じに錯乱していた。

 そんな混乱の中、蛍は何かに気がついたように立ち上がると、いまだブツブツと「覚めるな夢、覚めるな夢……」呟いている横島に近づいていく。

 これから何が起こるのかと、何とか正気を保っている皆が見守る中、蛍は横島の手を取ると、

「まだ、名前言ってなかったですよね。私、芦蛍って言います。」

 そう言って、ニッコリと微笑む。

「え?あっ、え〜と、俺、横島忠夫……え〜と、よろしく、芦さん。かな?」

 いままで経験しなかった状況に、戸惑いつつもまともな(!)返答をする横島。

「こちらこそ、よろしくねヨコシマっ。そ・れ・と、私のことは蛍って呼んでね。」

 蛍はそう言って、少し恥ずかしそうにウインクする。

「え?あ〜、うん……よ、よろしく、ほ、蛍さん(汗)」

 横島は生まれて初めて感じる煩悩ではない何かに、胸をドキドキさせながら蛍の手を握る。

「もぅ、さん付けじゃなくてもいいのに。」

「えっ?あ〜、そのっ?」

 すこし拗ねたような表情で自分を見つめてくる蛍に、頭の中が真っ白になってしまい返答に困る横島。

「まっ、いいか。でも、そのうち蛍って、さん付けしないで呼んでよね、ヨコシマ?」

「え〜と……努力します。」

「よろしい!」

 と、太陽のような微笑を浮かべる蛍。

 そのまぶしいくらいの笑顔を、横島はいつかどこかで見たような気がする。

(俺は、キミのその笑顔が見たかったんだよ……)

 不意に、そんな声が聞こえた気がした。




 二人が二人だけの世界から抜け出すと、クラスの皆はこの世の終わりを見たような苦悶の表情で固まっていた。

 当然、この日一日授業らしい授業にならなかったのは言うまでもない。




【あとがき】

 最近忙しくて書くのが遅れていた★です。

 と言う訳で、第2話をお届けします。

 書いといてなんですが、ギャグなんだかラブなんだか…

 まあ、こんな調子で進むと思いますが、今後ともよろしく。

 次回、美神徐霊事務所編です。多分……

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