ザ・グレート・展開予測ショー

パラレル大作戦!! こんな出会いでもいいじゃない!


投稿者名:★
投稿日時:(02/12/16)

「ふん、ふふ〜んっ♪」

 ここは都内の某億ションの一室。
 その台所で黒髪の少女が流行歌を口ずさみながら朝食をこしらえていた。

「さてと、あとはご飯が炊けるのを待つだけね。」

 そう言って、コンロの火を止め炊飯器を見る。
 と、タイミングよくピィーーーー!と炊飯器が炊き上がりを知らせる電子音をだす。

「ご飯も炊けたみたいだし、みんなを起こさなくちゃね♪」

 少女はセーラー服の上からきたエプロンをそのままに、パタパタと台所から走り出す。

「あっ、おはよう。優兄さん」

「ああ、おはよう。」

 居間を覗くと、この一家の大黒柱である青年が似合わない花柄のパジャマのままで新聞を読んでいる。
 少女は彼に朝の挨拶をし、そのまま妹達の部屋に向かう。
 


「蜂那っ!アゲハっ!おきなさい!もう朝よっ!」

「う〜〜。おはよ、姉さん。」

「ムニャムニャ、蛍ちゃん。アゲハはまだ眠いでちゅよ……」

 少女の声に、二つのベットがもぞもぞと動き、片方は茶髪の少女が眠そうに目をこすりながら上半身を起こすが、もう片方は毛布に包まったまま抗議の声を上げる。

「ア〜ゲ〜ハ〜!!」

「はいっ!起きまちゅ!起きまちゅ!だからオシオキは嫌でちゅ〜!!」

 だが、黒髪の少女、蛍の真綿で首を締め上げるような声(?)に、慌てて毛布から転がりでる。

「まったく、アゲハも懲りないね……」

 そんないつものやり取りを見ながら、蜂那はあくびをかみころした。



「蛍ちゃーん、おかわりでちゅ!」

「はいはい。」

「あれ?姉さん、味噌汁の味付け変えた?」

「あら、わかった?ちょっとだしを変えてみたの。前の方が良かったかな?」

「別に……あたしはこっちの方が好きかな?」

「蛍クン、僕にもおかわりくれるかな?」

「あ、ちょっと待ってね優兄さん。」

 蛍たち三人が居間に入ると、いつのまにかパジャマから着替えた青年、優太郎が居間のテーブルに食事を並べて待っていた。
 そして、声を揃えて、

「「「「いただきます(まちゅ)」」」」

 芦家のいつも通りの朝食が始まった。



「そういえば、三人ともこっちに越してきてから、初めての学校だったね?」

「そうだよ、姉さんはここから結構近いけど、アゲハとあたしはバス通学だね。」

「二人とも、そろそろバスの時間よ。」

 食事も終り、優太郎と蜂那がお茶を飲みながら話していると、蛍が台所から声をかける。

「はーいでちゅ!」

「わかってるって。アゲハ、行くよ!」

「二人とも気をつけるんだぞ。」

「ああ、叔父さんも遅刻しないようにね。」

「いってきまーちゅ!」

「いってらしゃい。」

 二人が部屋から出ると、途端に静寂が訪れる。
 台所から聞こえる食器を洗う音を聞きながら、優太郎はゆっくりとお茶をすする。

「優兄さん、そろそろ私も出ますね。」

「ん?もうそんな時間かい?わかった、戸締りは任せておきたまえ。」

「ええ、お願いしますね。それと、今日は遅刻しないで下さいね。」

「……僕ってそんなに信用ないかな?」

「それはもちろん。ここから歩いて5分の会社に、週4回のペースで遅刻する人に信用なんてありません。」

 蛍はニッコリ微笑んで言い切ると、エプロンを外し椅子にかけてある鞄を手にとる。

「それでは優兄さん、いってきますね。」

「……ああ、いってらしゃい。気をつけてな。」

 ショックでかたまっていた優太郎も、我に帰り玄関まで見送る。



 蛍を見送った後、優太郎は居間に戻りソファーに腰を下ろすと新聞を手に取る。
 ふと、窓の外を眺め、

「……平和だねぇ。」

 と、しみじみと呟いた。



 この後、やはり会社に遅刻した優太郎は姪の三姉妹から散々に説教を受けることになる。





【あとがき】

 初めまして、これが初投稿になる★です。

 美神さんも横島くんも出ていませんが、まあプロローグですのでご容赦を。

 勘のいい方はわかるかもしれませんが、ヒロインは彼女です。 

 そんなに長くなる話ではないと思うので、是非お付き合いください。

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