ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−20b


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/14)



 『え?そっか彼もいたっけ。
  じゃあ、こちらEチーム♪
  こちらEチーム♪
  応答願いま〜す♪』






 「あら・・・どなたかしら?」

 聞きながらも、美智恵には大体の見当はついている。



 『あはは♪
  ですからEチームですよ〜♪』


 「・・・ではEチーム。
  現状を報告せよ」

 相手のフザケた態度にわざわざ合わせてやる。

 それで情報が得られるなら安いものではないか。


 『こちらEチーム♪
  現在、地下3階にいま〜す♪
  すぐ目の前には横島君もいますよ〜♪』


 聞いているはずの美神や雪乃丞は口を挟まない。


 「そう?良かったわ。
  じゃあ早く横島君を連れて来て頂戴。
  エントランスで合流しましょ?」


 『はっはっはっは〜♪
  きっついな〜♪
  この手の冗談はどこで止めるべきか分からないのが難点ですよね〜♪』


 「あら?私はいつでも本気よ?」


 『いや〜♪
  失礼しました。本題に入りましょう。
  初めまして♪
  ワタクシ、ヤマサキヨシオと申します。
  高名な美神美智恵さんとお話出来て光栄ですよ♪』


 「初めまして、ヤマサキヨシオさん。
  お噂はかねがね・・・失礼、つい最近から聞いておりますわ」


 『おお♪
  それは喜ばしいことです♪
  どうです?今度一緒に夕食でも♪』


 『バギッ!!!ツー』


 『おや?何の音です?』


 「さぁ?電波が悪いんじゃないかしら?」


 『そうでしたね♪
  つい、有線のつもりで話してましたよ♪
  こちらは地下からなんで仕方ありませんね♪』


 正解:美神がヤマサキの態度にキレてトランシーバーをぶち壊した。


 『さて♪
  今度こそ本題に入りましょうか♪
  ゲストの皆様♪
  失礼ですが、地下3階までご足労願えませんか?
  私どもがおもてなしを用意させて頂きました♪』


 「あら?地下が3階まであるってのは知らなかったけど、地上4階まであるのは知ってるのよ?
  貴方が地下で待っててくれてる保証はあるのかしら?
  デートのすっぽかしはゴメンよ?」


 『いや〜手厳しい♪
  ですが地下実験施設ってのは科学者の浪漫でして♪
  信じてもらう以外はありませんな〜♪
  ちなみに4階は扱いがデリケートなモノが保管してあるだけですよ♪』


 「ふ〜ん。まあ良いわ。
  どうやって地下3階まで行けば良いのかしら?」


 『さすが美智恵さん♪
  話が早い♪』


 下の名前を呼ばれて悪寒を感じないでもないが、美智恵は冷静に対処する。


 「やっぱり地下1階や2階には厚い歓迎をしてくれる人がいるんでしょうね?」


 『ええ、もちろんですとも♪
  では一旦、エントランスの方へお戻りください♪
  隠しエレベーターを出しますので♪』










 同時刻。研究所入り口前。


 「仕方ない・・・動ける者は怪我人の介護を。それ以外の者もとにかくヒーリングだ」


 結局、数にモノを言わされた形となり、敵を全滅させた頃にはオカルトGメンもまた深く傷付くこととなった。

 西条自身もいくらか手傷を負っている。


 「君達はここで退路の確保をしていてくれ。
  僕は今から先生達と合流する」

 そう言って研究所内に入り込んだ西条。

 「ん?いやに静かだが・・・・」

 まさか美智恵達が全滅したのか?

 そんな不安に囚われてトランシーバーに呼びかける。

 「こちら西条。
  こちら西条。
  誰でも良い。
  応答してくれ!」


 『ピー・・・ザザー
  西条君?私よ、美智恵。
  今、どこに?
  外は済んだの?』


 「今、エントランスへ入り込んだところです。
  外の奴らは一掃しましたが、こちらも被害は少なくありません。
  そこで退路の確保の意味も含めて、待機させてあります」


 『ご苦労さま。
  実は・・・』


 グゥィーン!


 「ん?」


 『どうしたの?』


 「床から変な筒がせり上がって来てるんですが・・・」


 

  
 


 所変わって研究所内、地上部4階。

 
 「忍び込んだ時に、間違いなく神魔の調査隊に気付かれたぞ?」

 厳重にロックされた扉を力づくでこじ開けながらデミアンが問う。

 「腰抜けどもに用はないさ。
  第一、問題が起きたらワルキューレが何とかしてくれる」

 「ふん・・・どうせなら派手にやりたいんだがな」

 ベルゼブルが扉の電子ロックのパスワードを押しながら呟く。


 ピッ


 パスワードが解け、自動的に開いた扉の向こうにはルシオラクローン15体が眠っていた。

 それを見てメドーサはニヤリと笑う。

 「さぁ、お人形さん達。パーティーの準備の時間だ」








 「あれは・・・メドーサ達ですよね?」

 狼狽したように小竜姫がワルキューレに確認を取る。

 「そのようだな。
  アシュタロスの残党が今更何をするつもりだ?
  アシュタロスの魂は完全に消滅して、復活させることは不可能だ。
  親玉の敵討ちでもするつもりか?」

 敢えて”アシュタロス”を協調するワルキューレ。

 現在、アシュタロスの名は反主流派、非主流派といった、魔界の決定意思とは別の存在を象徴している。

 当然ながら、それを小竜姫や他の神族達も知っている。

 リリスの名を出さないためにも、ここはアシュタロスに泥を被ってもらおうというわけだ。

 「私達も行きましょう。
  今回の事件に彼らが絡んでいるとしたら・・・。
  十分、干渉する理由になります」

 「確かにそろそろ頃合だな。
  我々魔族は外の結界の強化・維持を担当しよう。
  無論、私は侵入部隊に加わるが」

 「一応、お互いの上層部へ報告もしておきましょう」

 そう言って、一名づつ報告係としてこの場を離脱させた。

 ただし、ワルキューレは別の任務も連絡係に命じている。


 「では行きましょうか?」

 2人の神魔が飛び立つのを見届けて、小竜姫達も飛び立った。













 ゴォォォォォォオオオオオオオッ

 超高速で移動を続ける一人の神族。

 彼は小竜姫から任された任務(上層部への連絡)を達成するため、

 最寄の神族駐留地へと向かっていた。

 そこへもう一人、超高速で近づく者がいた。

 しばらくすると、彼は自分を追ってきている魔族がいることに気付く。

 一瞬、アシュタロスの残党の者か?と緊張もしたが、魔力の波動からすぐに顔見知りだったと安心する。

 ここ一週間ほど共に過ごした調査隊の一員のはずだ。

 情報仕官の癖に高い戦闘能力を持っているように思えた。

 だが、それを鼻にかけるわけでもないし、寡黙だが非常に任務に忠実な奴。

 それが相手に対する評価だった。

 彼はスピードを落として追いつくのを待つ。

 追いついて来たところで振り返って声をかける。


 「どうしたんだ?報告することでも増えたのか?」


 そう言った彼が最後に見た光景は自分に向けられる魔銃の銃口だった。







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