ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−20a


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/14)






 Aチーム。研究所内客室、横島の部屋。



 「ここでござる!」

 散発的に現れる人造妖魔やらの魔法兵鬼を退けた一行が辿り付いたのは、横島の部屋だった。



 ガチャッ!!!


 ドアを開けて一気に飛び込む美神。

 同時に入り口で援護とばかりに狐火と霊波刀の準備をするタマモとシロ。

 その後ろではおキヌが霊体ボウガンを構えている。



 「いない・・・わね」


 神通棍を構えつつ、部屋を見回して結論付ける美神。

 「この部屋にいたことは間違いないわ。ベッドから横島の匂いがする」

 タマモが応じる。

 「匂いが充満してるけど・・・薄れて来てる感じ」

 「横島さんはしばらくこの部屋を利用していないってこと?」

 「・・・多分ね。
  どのくらい利用してないかは分からないけど、それ程日が経ってるようでもないと思う」

 同意を求めたタマモに頷くシロ。


 「・・・いないならここに居ても仕方ないわ。
  別の場所を探しましょう」


 横島がちょっと前までこの部屋にいた。

 そう思うとセンチメンタルな気分になる一行を美神は急かす。

 美神は横島本人にしか興味はない。

 「シロ?悪いけどもう一度やってちょうだい」








 Bチーム。ヤマサキの研究室内。




 唐巣と冥子がそれぞれに結界を部屋に張り、敵の侵入を防いでる間に美智恵とピートは資料漁りに熱中していた。

 横島が最後に受けていた実験。

 それが分かれば、今の居場所も分かるかも知れない。

 「・・・・クズですね。こいつらは」

 ピートが抑揚の無い声で呟く。

 怒りが限界を超えて無表情になってしまっている。

 「・・・・・・・・・・・」

 美智恵は応じない。

 応じれば自分の感情が抑えきれなくなるかも知れないからだ。

 ざっと資料を漁っただけでも数十人単位の人体実験―時には妖怪なども―の犠牲者がいることが分かった。

 中には行方不明になった著名なGSだった人間の名もある。

 その資料の全ての備考欄に『廃棄』と記されている。

 美智恵は胸のムカツキを我慢して読み進める。

 正直ここまで酷いとは思っていなかった。

 この廃棄された被験者達の名簿に横島の名が無かったことに心から安堵する。

 「この部屋に横島君関連の資料は置いてないようね。
  さすがに机の上にポンッと置いてるわけもないか・・・」

 そう言って必要そうな資料を自分のバッグに仕舞い込む。

 「こっちもです。行きますか?」

 「その前にピート君。この部屋に隠し部屋の類はないわね?」

 「はい、特に念入りに探しましたがどこにも」

 「準備は良いかい?結界を解くぞ?」



 ドゴーンッ!!!!


 美智恵達が去った後、その部屋は跡形もなく吹き飛んだ。






 Cチーム。格納庫前巨大エレベーター。


 「・・・地下へ通じるエレベーターか」

 「電気は通っておる。恐らく使えるぞ?」

 エレベーターに罠が無いか調べていたカオスが答えた。

 「エレベーター内・に・動体反応・ありません」

 「決まりだな。
  美神の姐さんには悪いが、俺達が一番乗りだ!」

 その発言に反応してタイガーがドアを開こうと近寄る。

 「待って・ください・エレベーター内・動体反応・ありませんが・エレベーター自体に・生物反応・あり」

 マリアが警告する。

 「罠の・確率83%・危険です」

 「・・・どうしますかのー?」

 「俺達が入ったら胃の中に直行ってとこだろ?」

 『そんな食虫植物がいたなー』なんて思いつつ考え込む雪乃丞。

 「そういえばそろそろ1時間近く経つ。定時連絡の頃じゃろ?」

 異論のある者はいなかった。

 このエレベーターのことも警告しなければなるまい。



 マリアはトランシーバー機能を発動させた。






            *************************************






 『ザザ・・・ザ・・・こちらCチーム。
  こちらCチーム。
  Aチーム及びにBチーム、定時連絡だ。
  応答せよ』



 美智恵のトランシーバーが鳴り始めたのは、丁度、一通り2階の探索を終えた頃だった。



 『ザザザ・・・こちらAチーム。
  こちらAチーム。
  定時連絡了解。
  そっちの調子はどう?』


 「こちらBチームよ。
  定時連絡了解。
  状況を説明して頂戴」


 『こちらAチーム。
  現在、3階にいるわ。
  横島君が利用していたと思われる客室を発見。
  だけどもぬけの殻だったわ。
  3階は凡そ調べたと思う。
  外側から見たら4階まであったから、今は上へ進む道を探してるところよ。
  あー、あと、人間の姿は一切見られず』


 『こちらCチーム。
  現在、1階にいる。
  地下へ行くエレベーターを発見したがどうも罠臭い。
  マリアがエレベーター自体から生物反応を感知した
  1階はまだ半分くらいしか調べてねぇ。
  隠し部屋?というか、普通の手段では行けないスペースが多すぎる。
  同じく人の姿はない。
  人が居た形跡はあったけどな』


 「こちらBチーム。
  違法行為の証拠は順調に集まっています。
  しかし、横島君の手がかりはありません
  2階はほぼ回りましたが、隠し部屋の類は見つかっていません。
  こちらも人は見当たりません。
  魔法兵鬼の類しか遭遇していないわね」


 『『・・・・』』


 ――――どのチームもまともな進展無しか。

 美智恵が落胆した時、第四の声がした。


 『ザ・・・ザザザ・・・こちらDチーム♪
  こちらDチーム♪
  応答願いま〜す♪』


 「西条君?外は終わったの?」

 妙にハイテンションな声に怪訝そうに応じる美智恵。



 『え?そっか彼もいたっけ。
  じゃあ、こちらEチーム♪
  こちらEチーム♪
  応答願いま〜す♪』












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