ザ・グレート・展開予測ショー

ロストメモリー(中編)


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/12/14)











美神が記憶喪失になってから三日が経過した・・・。
あれから精密検査を施したものの、脳に異常はなく手の打ちようがないとの事だった。
医者からは、「前と同じ日常生活を送れば記憶が戻る可能性がある」と言われたので、
身体的に問題のない美神は自宅へと戻っていた。









バタンっ!



「令子ちゃんが記憶喪失だって!!?」

美神除霊事務所オフィスのドアをノックもせずに慌てて入って来たのは
肩で息をしている西条だった。


「あ、西条殿」
「こんにちは」
「何しに来やがった、西条」

シロ、タマモと違い、あからさまに不機嫌な表情になる横島。

「やぁ、こんにちはシロちゃん、タマモちゃん♪・・・・それでおキヌちゃん、令子ちゃんは!?」

西条はさらりと横島を無視すると、おキヌに詰め寄るように美神の状態を尋ねる。
おキヌはそんな西条に少し驚きながらも、指を差しなが言った。

「は、はい・・・・・・・今、自室の掃除に・・・」
「・・・・・・・・・・・れ、令子ちゃんが掃除!!?」

美神が掃除・・・。
日頃、おキヌ頼りっぱなしの美神からではありえない行動に驚愕する西条

ガチャっ


扉が軽快な音ともに開く。その扉を開けた者・・・・美神が、西条が入室したのとは別のドアからそっと入ってきた。
西条はその元気そうな美神の姿に安堵の息を漏らす・・・・だが、その美神の容姿に違和感を感じるのを禁じえなかった。
今の美神の服装・・・・・・・・それは、いつもの色気のある服装ではなく・・・・
トレーナーにオーバーオール、髪型はポニーテール、靴もヒールではなくスニーカー。
一瞬西条の頭に「誰?」という言葉が浮かんだくらいだった。

「あら、お客様?」

まるで初対面の人に会うように軽いお辞儀をする美神。
その他人行儀な仕草に西条は一瞬めまいを覚えたがすぐに持ち直し、
美神の目の前にズカズカと歩み寄った。

「れ、令子ちゃん!本当に僕のことを忘れてしまったのかい!?」
「は、はい!ごめんなさい・・・失礼ですが、私とは一体どういうご関係だったんでしょうか?」


西条の狼狽ぶりに、美神も驚いた声で返す。
自分を見ても他人行儀な美神に更にショックを受ける西条。
もはや、ショックで涙がでそうだが、西条は力を振り絞り・・・・美神の両手をそっと握り締め・・・・そして、やさしい口調でこう言った・・・













































「僕は西条と言って君の恋人だったんだよ!!」
「え!!?」

ズシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!



横島、おキヌ、シロ、タマモが派手にコケた。

「コラァァ!西条、てめぇぇっ!!」

横島は態勢を立て直すをすぐさま西条の胸倉を掴んで激昂した。

「ふふ、・・・・・どうせキミも同じことを考えていたのだろう?」
「うぐっ!」

美神に聴こえないよう横島に耳打ちする西条。
図星をつかれた横島の腕が西条の胸倉からダラリと垂れた。

(ちくしょーー!こんな事なら様子見などせず、すぐに言っときゃよかったーー!!!)

後悔先に立たず・・・後の祭り・・・・・・・

そこへ

「は〜い、令子が記憶喪失になったって聞いて遊びに来たワケ〜」
「令子クン、お邪魔するよ」
「何ならワシの一発目覚まし薬をやろうか?」
「お邪魔します・ミス・美神」
「令子ちゃ〜んが私のことを忘れちゃうなんて〜、うわ〜ん〜」
「わ〜!冥子さん落ち着いて!」
「ワシもいるケンノー」


エミ、唐巣神父、ドクターカオス、マリア、冥子、ピート、タイガーがぞろぞろと入ってくる。


いきなりの訪問に、いそいそと全員分のお茶を用意するおキヌ。
西条は取り合えずその場の全員に美神の状況を解説していた。当の美神は大量のお客の困惑の表情・・・・
そして、横島は・・・・・・・・・・・


(あかん・・・他の奴らまで来てしまうとは・・・・・・・・)

ぐぬ〜っと拳を力強く握るそして!

「くっ、こうなれば先手必勝!」

横島は美神の手を取り叫んだ!





「美神さんは俺と結婚しましたーー!」
「へ!?」





突然の横島のセリフに今日一番の驚愕を浮かべる美神。
そして、横島の声に始めはボ〜としていた他のみんなも・・・・・・・・・・・

「あんたは私の舎弟なワケ〜!」
「金に汚い女じゃったぞ〜」
「キミは師匠を思いやる、やさしい子だー!」
「令子ちゃんは〜、私の親友よ〜!」

次々と勝手なことを言い出す始末。
美神はその状況に「え?え?」と困惑するしかなかった。


「横島さんの時と同じことやっとるノー(汗)」
「せ、先生まで・・・(汗)」

前に横島が記憶喪失なったときと同じ展開にあきれるタイガーとピート。
その隣では

「ひ、ひどい・・・・・・・・・(汗)」
「でも本当の事も混じってるでござるな(汗)」
「中には嘘のほうがいいこともあるわね(汗)」

おキヌ、シロ、タマモが今の状況を苦笑いしながら見ていた。


「ちょ、ちょっと待って下さいっ!!」

美神が全員にSTOPをかける

「み、皆さんが言ってることは全部本当なんですか!?」
「「「「「「「「うんっ!」」」」」」」」」

息の合った声で即答する横島ら。
美神は顔に縦線が走りながら・・・・・・・


「で、でも、皆さんの言ってることを全て信じるとすると・・・」

一呼吸置いて言った。




「私は恋人がありながら年下の未成年と結婚したことがあり冷酷非常でワガママ、自己中で金に汚く
 それでいて、礼儀正しくて義理人情厚く、気前がよくて思いやりがあるというワケの分からない人間になってしますよーーーっ!!?」 
 

「「「「「「うっ!」」」」」」

全員が声に一斉に詰まる

「西条さん!どっちが本当の私!?前半!?それとも後半!?」

「うっ、・・・それは」

汗をタラタラ流す西条

「・・・前・・・・・・・いや後半・・・・・・・・かな・・・」
「なぜ、目をそらすんですか?」

その光景に全員が乾いた笑いしか出来なかった。




















ロストメモリー(後編)に続く
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あとがき

読んでもらうと分かるんですが、元ネタは26巻の「心の旅」です(汗)
実はこの「ロストメモリー」、温かい想い(その4)を書き上げた時点でほぼ完成してたんですが・・・・
「やっぱり連載終わってないのに、短編やるのも無責任かな〜(汗)」
と、変な責任感に悩まされ封印(?)してた作品ですが、今回このような形で投稿することができました(笑)

もし、よろしければ票は後編のほうへお願いしますm(__)m





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