ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−19b


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/11)



 Aチーム。研究所内3階、横島の客室へと続く廊下上にて。




 クンクン、クンクンクンクン。。。。。

 壊れそうになる鼻を酷使して横島の追跡をしているのはシロである。

 その前後では美神とタマモが10体以上の人造魔族達と戦っていた。

 その姿は人型をしており、例えて言うなら初期の雪乃丞の魔装術を醜悪にゴテゴテにした感じだ。

 右手がサーベル状に変形しており、左手は巨大な爪状の刃が3本並んでいる。


 「クッ!耐火処理がしてある?!」

 狐火の効きが悪いことに苛立ちを隠せないタマモ。

 「美神さ・・・」

 おキヌが霊体ボーガンを片手に、タマモの劣勢を美神に知らせようと振り返ると、

 美神はタマモの倍以上の敵相手に獅子奮迅の働きを見せていた。

 神通棍が鞭状に展開され右へ左へと舞う。

 その一撃ごとに敵は吹き飛ぶが、すぐにムクリと起き上がる。

 ――――段々、強くなってる?

     そういえばタマモも最初以上に梃子摺っている。

     私達の攻撃に対応し始めている?

     この知性を感じさせない人造魔族が?

     人造?!

 「タマモ!場所チェンジ!!!」

 わけも分からず、美神の指示に従うタマモ。

 場所を交代して、その数の多さにちょっと引きながらも広範囲に狐火を放つ。



 轟!!!!!



 「あれ?」

 あっけなく焼け崩れる人造魔族達。

 振り返れば美神も神通棍で一刀両断を繰り返している。

 程なく人造魔族の殲滅は成った。

 念のためにタマモが死体を焼き払う。

 「どういうこと?」

 相対した当初は圧倒的な火力で一方的になぎ払っていたが、次第にそれが叶わなくなって苦戦を強いられた。

 ところが場所、つまり相対する敵を変えた途端に最初みたいに焼き払えた。

 「要するに、戦っているうちに自己進化みたいなのをしたようね」

 美神が答える。

 「でも・・・違いが顕著過ぎる気もする。
  研究所の誰かさんが設定パラメータを弄ったのかもしれない。
  対美神、対タマモって感じにね。
  だから対美神に特化したこいつらは狐火に耐えられなかったのよ。
  私とアンタ。全く正反対のスタイルだからチェンジした途端にこの様よ」


 攻略法が見えると同時に、それは相手の技術力の高さを示す発言だった。








 Bチーム。研究所内2階、ヤマサキ研究室近くにて。




 他の2チームとは違い、違法性を示す証拠集めに専念することにした美智恵達。

 ついでに他のチームのサポートとばかりに、目に付く敵全てを排除にかかる。

 「令子達・・・上手くやってると良いけど」

 「ハハハハハ。美智恵君は心配性だな」

 「そうですよ〜。令子ちゃんが〜失敗するわけないですよ〜」

 ワリと暢気に会話をする3人。

 美智恵が神通棍で敵を受け止め、弾き飛ばす。

 冥子が式神で多角的な攻撃を加える。

 唐巣が局所的に結界を張って、閉じ込める。

 3人揃うことであらゆる敵にオールマイティーに対応する。

 ピートは身体を霧状に変え、隠し通路などを探索しながら先導する。

 ある意味、一番バランスの取れたカルテットだった。
 


 






 Cチーム。研究所内1階、物資搬入庫近くにて。




 「おりゃぁぁぁぁあああああああああ!」

 気合と共に分厚い鉄の扉をぶち破る雪乃丞。

 「マリア!スキャンじゃ!とにかく怪しいモノを探せ」

 「イエス」



 ドドドドドドドドドドガーン!!!



 「雪乃丞さん燃えとるの〜」

 派手に霊波砲を乱れ撃ちする雪乃丞。

 それを見て苦笑いするタイガー。

 テレパシストの一種である彼にとって、意思を持たない魔法兵鬼は鬼門だ。

 とりあえずは地味に銀の弾丸を撒き散らしている。


 「他のチームは大丈夫かのー」

 当面は出番があるまい。そう決め込んで暢気なタイガーだった。




 
 研究所内地下3階。監視モニター室にて。



 「いやぁ〜♪圧倒的な強さだね〜♪さすがアシュタロスを破った最強チームだよ〜」

 そう言いつつ、次にぶつける実験体の指示をするヤマサキ。

 その光景を見ても部下達に動揺はない。

 これはただの実戦テストだ。

 例え地下への通路が発見されても、地下2階に紅い禍々しき最強の障壁がある。


 かつてアシュタロスの乱の際、その最終局面にて究極の魔体という化け物が戦場に姿を現した。

 結局、知性のないその化け物は神界・魔界の両指導者の手によって葬られたが、

 幸運なことにその肉片の回収に成功したのである。

 それを培養したモノこそが彼らの自信の源であった。

 しかしただ培養させただけでは、成体になった途端に破壊本能に従う恐れがあった。

 そこで操れるように、制御出来るようにと機械的な処置を施し、

 魔法兵鬼北辰を制御用ユニットとして組み込んだのがヤマサキ版究極の魔体であった。



 通称『夜天光』



 彼ら裏世界に身を置く研究者達の希望の光。







今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa