ザ・グレート・展開予測ショー

鯉。


投稿者名:hazuki
投稿日時:(02/12/10)

この笑顔を見ると動悸、息切れ眩暈を起こしてしまうのだ。
ああっこれって鯉?
とある、一室にてである。
調度品も、どこかおかしいがまぎれもなく一流のものがあり絶妙なバランスで配置されている。
そしてそこに向かい合う二人。
ひとりは、少女である。
いや、年齢的には、少女というよりも、女性と言った方が正しいのだが、いかんせんかもしだす、空気がどこか甘さを含んだ少女というに相応しいのだ。
その少女は、艶やかな光沢を放つ黒髪を肩までそろえている。
顔は、まあすこしばかりたれ目だが、造形じたいは整っている。
美しいと言うよりも、可愛らしいと言った方が正しいだろう。
肌は、白いが病弱なもしくは不健康なものはカケラも感じない。
極上の白い絹を連想させる肌である。
髪の対比がまた美しい。

少女は、頬に手を当てすこしばかりこまったかのように口を開いた。

「だめかしら〜まーくん〜」
と。
間延びしている。
しかもこのうえなく、呑気な声である。
なにやら短気な人が聞いたら一発で、ぶちきれらること請け負いである。
そしてこの男こと、鬼道政樹は短気ではないがこの女性、六道冥子の言葉に、それに近いものを感じていた。
怒鳴りつけたい…駄目だとおもいっきしいってやりたい。
が、彼女の申し出は単に、ピクニックにいきましょう?というものである。
申し出自体はこの上もなく健全でありその目的も健全なものであろう。
しかも、彼女になんらかの邪悪(笑)なものがあるわけじゃないのだ。
ただ単に、いっしょにあそびましょーっといっているだけなのである。
が、しかし、
それは相手にしてみれば、この上もなく迷惑なものでしかない。
彼女だけならばいい。が彼女についてくるオプションというか、いわゆる式神が問題なのだ。
…遊ぶだけだというのに、命の危機さえ感じる。(事実瀕死体験もした)
けれども、彼女に悪気はないのだ。
ぐっと、怒りを抑え、なにやら理由をつけて断ろうとした時
縋るような、わくわくと、答えを待つような瞳を見てしまったのだ。
そして紡がれる言葉は─
「駄目やあらへんけど…」
であった。


そうして彼、鬼道政樹は、日曜日に何度目かの臨死体験に望む事になる。


─病室にて。
そうして、例によって例のごとく病室で包帯グルグルまきになっている政樹はふうっとため息をついた。
こんこん
と、ノックの音と共に二人の女性と一人の少年が入ってきた。
「んだ?オマエたちか?」
「ま、いちおーね」
そのうちの一人、多分一番の年長者であろう亜麻色の髪の女性が言う。
「にしても毎度毎度大変よねーっほんっとーにその境遇には同情するわ」
どうやらこの女性、なにやらにたような体験をしているらしい。
その言葉にはしみじみといた実感が込められていた。

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