ザ・グレート・展開予測ショー

魔人Y−17


投稿者名:NAVA
投稿日時:(02/12/ 9)



 『ワルキューレが怪しい研究所の位置をキャッチした』

 『六道女史が、さらに二箇所ほど秘密研究所を発見した』




 この二つの連絡がほぼ同時に美神の元へ届けられたのは、横島が失踪してから3ヶ月ほども経った頃だった。

 六道女史が発見した二箇所はヨーロッパとアラブ。

 ワルキューレが報告してきたのはヨーロッパである。(無論、情報源は魔王リリス)

 この2人の見つけたヨーロッパの研究所は同じポイントであった。






 『最近この研究所が〜、頻繁にGS協会の幹部へ〜、連絡を入れているのよ〜』

 とは六道女史の言。

 『最近、というか、ここ数ヶ月ほど物資の流入が急激に増えているのがこの研究所だ』

 とはワルキューレの言。








 美神令子の第六感が、報告される情報が、この研究所こそ当たりだと告げている。

 「・・・この研究所の情報を出来る限り入手して」

 そう言って、母に、唐巣に、雪ノ丞に、カオスに、仲間と呼べる存在に連絡をする。

 かつてアシュタロスの乱で共に闘った戦友達。



 そして傍にいるおキヌ、シロ、タマモに向かって不敵に宣言する美神。




 「さあ、アシュタロス以来のパーティーの時間よ!準備なさい!」






 魔界、リリスの紅き居城アンタレスにて。

 遠見の魔力で美神達を眺めるリリス。

 「フフフフ。そうね。出来るだけ盛大なパーティーにしましょうね♪」

 ――――こちらの準備はもう整っているしね。

 しばらくして、3つの光がアンタレスから飛び立った。

 

 

 


 妙神山。行方不明者横島忠夫調査隊本営。

 「さぁ、みなさん!GS協会が何を企んでいるのか。それを暴きに行くとしましょうか?」

 元々、曲がったことが好きじゃない小竜姫。

 厄介事に首を突っ込むのが大好きなヒャクメ。

 戦友を心から心配しているジーク。

 リリスの干渉で本来の人格が引っ込み始めたワルキューレ。

 その他の神族・魔族の情報仕官達。

 それぞれが一斉に目的地へ飛び立つ。







 決戦の地はヨーロッパ某国某所。

 文珠と人界最高の技術者達と防衛システムが待ち構える研究所。

 横島とルシオラ15体が眠る場所。





 「横島君?少々困ったことになってるみたいだよ?」

 文珠生成機に取り込まれ、石像と化した横島に話し掛けるヤマサキヨシオ。

 「どうやって歓迎するのが良いと思う?」

 呟きつつも動き始めるヤマサキ。

 この研究所内は治外法権の地。

 強力な霊力を誇るモルモット達が自分から集まってくれるというなら、それ相応の歓迎をしてみせようじゃないか。











 人間は誰も気付いていない。

 そこが悲劇の地となることを。

 脚本リリス、監督メドーサ、主演横島忠夫の悲劇が幕上げされようとしていることを。

 今は誰も知らない。







      
          ********************************************







 ヨーロッパ某国某所。

 GS協会の秘密研究所のはるか上空。

 そこに3体の魔が霊波迷彩を纏いつつ浮かんでいた。



 「で、おおまかな計画は聞いてるね?」

 尋ねるは、魔の力に満ちた三叉鉾を小脇に抱えるメドーサ(コギャルバージョン)。

 「リリスの指示によれば「あいつの指示に従う必要なんてねえ!!」」

 応えるデミアンを遮って、吐き捨てるように断言するのはベルゼブル。

 やれやれ。そう言わんばかりに肩を竦めるデミアン。

 「良いか!俺の指示に従ってやれば間違いねぇんだ!」

 「言ってくれるね。落ち目の元魔王様が」

 デミアンが冷やかす。

 「なんだと?!!!!」

 「良い加減にしな!」

 リリスから与えられた三叉鉾を2人に向けるメドーサ。

 「あんたらはどうしてここにいられるんだい?デミアンは執行猶予中。ベルゼブルは試験中だろうが?!」

 グッと詰まる二体の魔。

 「アタシはあんた等の監視役も勤めてるってことを忘れるんじゃないよ!」

 「・・・分かった。で、アンタには具体案があるのか?」

 一足先に冷静に戻ったデミアンが尋ねる。

 こうなったらベルゼブルも黙らざるを得ない。

 それに満足したメドーサは応えた。

 「あの坊やはねえ、知り合いが傷付くのを一番嫌がるのさ」

 黙って聞き入る2人。

 人間の美談としてよく聞く話だ。彼らにとっては愚かしい話でもあるが。

 「で、今ここにあの美神令子達が向かって来てる。横島を助け出すためだそうだ」

 「目の前で八つ裂きにしてやるんだな?」

 ベルゼブルが即反応する。

 「バーカ。それが横島の絶望に繋がるってのかい?アタシらを目の敵にしてくるだけさ」

 「何だと?!!!」

 スチャッ

 三叉鉾を黙ってベルゼブルに向けるメドーサ。

 リリスから与えられた三叉鉾はまさにリリスの権威と力そのもの。

 メドーサがリリスから全権を預かっているという証拠だ。

 それを振りかざされてはベルゼブルとて黙るしかない。


 「安心しな。アタシに名案があるのさ」


 美神令子達が研究所をかき回してくれるはずだしね。そう言ってメドーサはニヤリとワラッタ。













 「拍子抜けなくらい、あっさりここまで来れちゃったわね」

 オカルトGメン隊長美神美智恵が呟く。

 「敵は我々の接近に気付いていないんでしょうか?」

 独り言にも律儀に応じるのは西条輝彦。

 「それは無いんじゃない?むしろ袋のネズミにしようって魂胆でしょ」

 美神令子が横から口を挟む。

 美神令子。
 美神美智恵。
 西条輝彦。
 氷室キヌ。
 タマモ。
 シロ。
 Dr.カオス
 マリア
 伊達雪乃丞。
 唐巣神父。
 ピート。
 小笠原エミ。
 タイガー。
 六道冥子。
 そしてオカルトGメンの下っ端。 

 総勢20名が秘密研究所を一望出来る丘の上に集結していた。

 さらにその遥か上空には、神魔による調査隊が美智恵達にすら隠れて待機している。


 「さて、もう一度確認するわ。今回の作戦は横島君を救出するだけではいけません」

 美智恵が一同を集めて演説する。

 「横島君の救出だけではなく、この研究所内で行われている違法な実験の物証を集めることも任務の1つです」



 『GS協会内の不正を告発する』

 
 美智恵はそういう名目でオカルトGメンを正規の手順も踏まずに動かしている。

 当然、連れてきたメンバーは美智恵が実力と人格を吟味した、間違いなく信用出来る人間である。


 「そこでチームをいくつかに分けます。まず、オカルトGメンのメンバーは物証集めを担当します」

 研究所の違法性を証明出来なければ、彼女達は問答無用でテロリスト扱いだ。

 「GSチームは横島君の救出をメインに物証集めをしてもらいます」

 そこで西条が手を上げた。

 「先生。神魔の調査隊が動いてるはずですがそちらはどのように?」

 「・・・・調査隊は調査以上のことは出来ないと思った方が良いでしょう」

 「つまり、当てにするなと?」

 「ええ・・・」

 神魔の参戦はこの作戦の成功率を格段にアップさせるものだ。

 しかし、「たら」、「れば」、「かも」の不確定要素を組み込んで作戦を立てるわけにはいかない。

 美智恵は調査隊の存在を無視することにした。

 どうせ敵にはならないのだから。

 「さ、後は打ち合わせ通りにいきましょう」

 美智恵はそう宣言して、移動を始めた。










 「来たようだね〜♪」

 ヤマサキは監視モニターを覗き込む。


 美神親子−時間移動能力

 六道冥子−式神

 西条輝彦−聖剣ジャスティス

 氷室キヌ−ネクロマンサーの笛

 タマモ−九尾の狐

 シロ−人狼

 ピート−バンパイア・ハーフ

 タイガー−精神感応

 伊達雪乃丞−魔装術

 マリア−メタソウル


 「いやぁ〜♪
  滅多にお目にかかれないサンプルが目白押し♪
  科学者冥利に尽きるねぇ〜♪
  でも残念だなぁ。戦姫・小竜姫や千里眼のヒャクメが居ないようだねぇ」

 うんうん。そう頷く彼の目には、鴨が葱を背負ってきたようにしか写っていなかった。

 「それにしてもDr.カオスさんですか。
  私は運が良い♪
  一度じっくりお話をしてみたかったんですよ〜♪」

 嬉しそうに呟くヤマサキは兵鬼格納庫のモニターに目を移す。

 「最高クラスのGSによる実戦テストも出来る。良いことずくめじゃないか♪」

 そのモニターには、かつて究極の魔体と呼ばれた魔神によく似たゴーレムが鎮座していた。








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 ちなみにヤマサキは若い頃のドクターカオスくらいの知力と霊力を持つ人間という設定。
 やはりマッドサイエンティストは不敵で知的じゃなきゃ(ぉ
 ベルゼブルは馬鹿だけどね。

 つーか、やっと戦闘シーンに入れそう。
 書けるのか?自分(ぉ

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