ザ・グレート・展開予測ショー

温かい想い(最終話(B))


投稿者名:ユタ
投稿日時:(02/12/ 3)



ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!




まるで鐘を突いたような轟音が美神の頭の中に鳴り響く・・・




「・・・・・・・・・・・・・あ、あ、あ、あれだけ頑張ってタダ働き・・・タダ・・タダ・・・お金なし・・・
 ・・・・・むしろ・・・・赤字・・・大赤字・・・・赤・・・・あかかかか・・・・・・・・・・」

「ああああ、美神さんが壊れていく・・・・・・(汗)」

ピシっと石化した美神がサラサラと崩れていく光景を、苦笑いしながら見るしかない横島とおキヌ。
ひのめはそんな美神が面白いのか、純粋な笑い声をあげるだけだった。

「・・・・・・あの、私が言うのもなんですけど・・・・美神さんあんだけ頑張ったんだし・・・・」

おキヌがこそ〜っと申し訳なさそうに美智恵に声をかけた。

「・・・あとで、これを令子に渡しておいて・・・」

少しだけ口元を緩めながら美智恵が、数枚の書類をおキヌに渡す。

「え、は、はい」

いきなり差し出された、書類を戸惑いながらおキヌは受け取った。
おキヌは書類をパラパラとめくり軽く目を通す。そこには・・・・・
ソウト除霊証明書と各機関への賞金、報奨金、賞品の申請書・・・・など。紙面に書かれている金額は併せれば20億くらいだろうか・・・
その書類は見た限りではほとんどの必要事項がすでに書かれており、後は提出するだけという状態だった。
おキヌは必要事項を書いたであろう人物に微笑みながら言った。

「クス・・・はい、分かりました」

美神さんが素直じゃないのはこの人の遺伝だろうか・・・・
美智恵を見ながらそんなことを思い、さらに微笑みをこぼすおキヌだった。

笑顔で包まれる(美神以外)オフィスに和やかな空気が流れる。
そのとき、美智恵はスクっと立つと真剣な顔で横島にむかって頭を下げた。

「横島クン・・・・ルシオラさんの残留思念が使役されているとは知らなかったとはいえ・・・・・
 ・・・・・・・・・・・あなたにまたツラい想いをさせてしまって・・・・・・・・・・
 …・・・・・・・本当にごめんなさい!」

「た、隊長!頭をあげて下さい!!!」

「・・・・・・・・」

美智恵のいきなりの行動、謝罪の言葉に驚く横島。
横島の声にゆっくりと美智恵は頭をあげた。

「そりゃぁ・・・・ルシオラのことが悲しくないって言えば嘘になりますけど・・・・・
 でも・・・・・前みたいにつらいだけじゃないんです・・・・・」

横島は照れたように自分の右手を胸に当てた・・・

「俺の・・・・俺の心は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・美神さんの・・・」

横島の声に気付きハっと石化から解ける美神

「おキヌちゃんの・・・」

横島の視線に少し赤くなるおキヌ

「せんせー!一緒に散歩行くでござるー!」
「横島、どうでもいいけどなるべく早く帰ってきてよね。今日は極楽寿司行くんだから」

ドアを勢いよく開け入ってきたシロとタマモ

「シロと・・・タマモの・・・」

順々にクシャと頭を撫でる・・・シロはクーンと気持ちよさそうな表情を浮かべ、タマモは子供扱いしなでと顔をそむけるが
手は払いのけたりせず、少しだけ顔を赤らめる。

「そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ルシオラの・・・・みんなの想いに支えられてるって気付いたんです・・・」

優しい・・・そして、温かい微笑みを浮かべる横島。

「横島クン・・・」
「横島さん・・・」
「先生・・・?」
「横島・・・?」

感嘆の言葉を漏らす美神とおキヌ。シロとタマモは途中から来たせいか
少し状況がわからないという表情だが、その場の雰囲気から何となく言ってることは分かった。

「なんて・・・少しクサかったですか?」

苦笑いを浮かべ頭をかく横島に

「「うん」」

と即答する美神とタマモ、しかしその表情はどこか嬉しそうなものだった。

「横島さん・・・」
「先生格好いいでござる!」

前者の二人とは逆に感動にひたるおキヌとシロ。

「にーに」
「あ、もちろん!ひのめもな」
「だー!」

「高い高い」をされ、嬉しそうに笑うひのめ。

「よかったわね、ひのめ」
「きゃっきゃっ」

ひのめは母の腕の中に帰り純心の笑顔を浮かべた。

「ま、少しは男前になったんじゃないの・・・」
「え!?み、美神さんが褒めてくれるなんて珍しいっすね!!?」

美神の言葉に目を丸くする横島。というか少し警戒してしまった。
横島の態度に少しぶすっと表情した表情になる美神。

「正しい評価くらいするわよ!」
「と、と、いうことは・・・・」






(『もう、横島クン・・・こんなに立派になって・・・私なんかじゃ釣り合わないわね・・・・』
 『そんなことないですよ!いつでも俺の胸に飛び込んできて下さい!!』
 『私なんかでいいの!?』
 『いいさ!さあ!』
 『横島クン!』
 『令子おぉぉーーーーーー!!!」


「だから、それをやめろと言うッとんじゃあああああああああっ!!!!!」
「ああああああああ!!!!!また声に出てたぁぁ!!!(大泣)」


今日も美神除霊事務所にキレのいい打撃音がこだます・・・・・・・・・・
苦笑いを浮かべながらもその光景にどこかほっとする面々。



天下泰平こともなし・・・・・・・・平和な日々の一場面だった・・・・・・・





プルルルルルルルルルルルルルルルるるるる・・・・・・・・・・・・・・・・・


そのとき事務所の電話が急かすように鳴り響く。

カチャ・・・

「はい、もしもし。こちら美神除霊事務所です・・・・・はい、・・・・ええ・・・では一度所長のほうに聞いてみますので少々お待ち下さい」

愛想よく電話にでたおキヌは、静かに保留を流すと美神に声をかけた

「美神さん、TOYATA自動車さんが除霊をお願いしたいそうです」

「ふ〜ん、いつ?」

「それが今すぐにでも来てほしいそうですよ」

「パス!まだソウト事件で体中痛いんだから、あと2日は休養♪」

「そうでござる!拙者は今から先生と散歩だし」
「今日は極楽寿司に行くんだから」

いつもなら大抵仕事を断らない美神だが、さすがに大きな戦いの後だけに断りを入れる。
もちろん霊力が完全に回復しきれてないなどの理由もあるが、基本的に自由気ままに依頼を受ける美神だ、
「5000万以下の仕事」は明後日までしないと決めていた。
ちなみにTOYATA自動車に前に依頼を受けたときの額は3000万円。

「そいう事だから適当に断っといて」

「は、はい・・・・・。・・・・・・あ、すみません・・・今日は霊的に不調とのことでまた後日・・・・え、・・・あ、はい・・・・・・少々お待ちを
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・美神さん」

「何よぉ〜、しつこい依頼主ねぇ」

美神は明らかに「面倒」という表情を浮かべながら応える。

「いえ、それが・・・今日中に除霊してくれた場合は三億出すって言ってますけど・・・・・・・・・」

「さぁ!みんな!出動準備よっ!!!!」
「「「いいっ!!」」」   

美神はピキーンと瞳を輝かせ、勢いよく立ち上がる。
素っ頓狂な声をあげる、横島、シロ、タマモ。
おキヌはその光景に苦笑いしながら、依頼主から必要事項を聞き出し電話を切った。

「今、AM10時だから、ちゃちゃっとやって昼は松坂牛!そのまま買い物行って、夕飯は極楽寿司ってコースなら文句ないでしょ!?」

「行くでござる!松阪牛!」
「まぁ、それなら」

あっさり懐柔されるシロとタマモ。

「お、俺は・・・・ちょっとまだ筋肉痛がああ〜〜〜」

「あんたに拒否権はないって言ってんでしょ!?ほらさっさと準備しなさい!」
「しくしく・・・」

いつも通りの扱いに涙する横島。
まぁ、涙を流したからって、強くなったからって美神の横島に対する態度は当分変わらないだろう。

「あ、私も手伝います」

泣きながら準備する、横島を慰めながら手伝うおキヌ。

「じゃあ、ママ!行ってくるから戸締りお願いね」

「わかったわ・・・ほら、ひのめもバイバイしなさい」
「だ〜、ばーい」

手を振るひのめに笑顔を返しながら
そのまま、ダダダダと走り、勢いよく部屋を出て行く美神除霊メンバー。
その光景に美智恵はクスリと笑みを浮かべた

「さ、ひのめ・・・私達も帰りましょうか?」
「だー」

美智恵はオフィスの中のカップや、水晶のカケラを片付けるとひのめを抱きかかえ部屋のドアノブに手をかけた。
そして、自分達以外いなくなったオフィスを振り返り・・・・・・思った・・・・・・・・・・・・・・

(あの子達なら・・・・・・大丈夫ね・・・・
 どんなにつらいことがあっても・・・・悲しいことがあっても・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・きっと乗り越えていくでしょう・・・・・・・・・・・・・・・・・・だって・・・・・・・・・・・)



































    ・・・・・・・・・・・・・・・・温かい想いでつながっているのだから・・・・・・・・・・・・・




パタンっ・・・・・・・・・・・・・・



笑顔のひのめを抱きかかえた美智恵が微笑みながら静かに事務所の扉を閉めた・・・・・・・・・・・・・・







                                  『温かい想い』     完









次回予告


 「・・・・・・・・・私は誰?」
  
  美神のその一言に固まる、横島、おキヌ、シロ、タマモ
  
 「ま、まさか・・・これはお約束の・・・・」
 「そ、そんな使い古されたネタ・・・使うんですか?(汗)」
 「で、でも・・・・これは間違いなくアレでござるよな?」
 「ええ・・・間違いなくね(汗)」
 
 「あなた達は誰?」

  お約束の一言にただただ苦笑いしかできない4人だった・・・・・』




 
 次回、短編SS「ロストメモリー」に続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・かな?




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あとがき

           今回のあとがきは一言・・・・・・・・・
              一番言いたかった一言です・・・・・・・・・・・・・



















         この作品は皆さんの『温かい想い』で完成しました・・・・                          
         ご愛読・・・本当にありがとうございましたm(__)m・・・・・   二言かな?(笑)
          






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